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【PMA09】次のジャンプに向けて力を蓄えるソニー

〜ミラーレス一眼の計画は今のところ無し
会期:2009年3月3日〜3月5日(現地時間)
会場:米国ラスベガスコンベンションセンター


Cyber-shot DSC-HX1
 今回のPMAでは「Cyber-shot DSC-HX1」を全面に押し出したソニー。「サイバーショットDSC-R1」でCMOSセンサーを採用しているソニーだが、新世代のExmor CMOSセンサーとなってからは初のCMOSセンサー採用サイバーショットとして、満を持して発売した。

 さらりと製品スペックの紹介だけを流して見ると、アメリカで特に人気の高いコンパクトなハイズーム機に、高機能な上位シリーズができたのか、程度に見えるが、作り手側のHX1に対する思い入れは相当なものだ。


3つの独自技術を組み合わせた「DSC-HX1」

Image3。レンズ、センサー、画像処理エンジンからなる
 2日にデジタルイメージング事業本部長の石塚茂樹氏が話していた「Image3」(イメージキューブ)というのは、マーケティング用に簡略化した言葉ではあるが、同時に背景にある技術戦略とも直結している。イメージセンサー、映像処理LSI、それにレンズの3大要素でソニーオリジナルの技術を開発し、それを商品開発、マーケティングの各方面において活用しようというのである。

 この取り組みにおいて、最初に成果を挙げた製品がDSC-HX1である。新しい事業戦略による展開を思い描き、その成果としてひとつの製品に各技術が統合されたものということで、作り手側の想いが特に強いのだろう。

 そのDMC-HX1の開発においては、高速でフル画素を読み出せる特徴を活かすことを最優先したと話したのは、パーソナルイメージング事業部ビジネス2部統括部長の手代木(てしろぎ)英彦氏。高速連写により得た映像を組み合わせて低照度撮影能力を大幅に上げたり、クルリとカメラを振るだけでパノラマ写真を撮影できるスウィープパノラマといった機能などに活かされている。


左からαシステムビジネス部商品企画課の関玲二氏、αシステムビジネス部統括部長の一言斉志氏、パーソナルイメージング事業部ビジネス2部統括部長の手代木英彦氏
 この際にこだわったのは「なんとしても、メカニカルシャッターで秒10コマを実現する」ことだった。この点はほかのライバルメーカーも「10連写と言われようと、自動パノラマと言われようと驚きはしないが、秒10コマを(コンパクト機の枠組みの中で)メカシャッターで実現した点は驚いた」と話していた。

 メカシャッターの方が画質面でも、像の歪みという点でも有利だが、秒10コマの連射に対応できるシャッターを供給する部品メーカーはない。どのようなシャッター構造なのかはわからないが、いずれにせよDSC-HX1のために作られたシャッターユニットであることは間違いない。本機の特徴になっているスウィープパノラマも、横方向に素早くパンしても像が歪まないメカシャッターを持つDSC-HX1ならではだ。

 DSC-HX1は北米での予価が500ドル程度と、このクラスではかなり高価な製品だが、Image3に対応した最初の製品が登場したことで、今度はDSC-HX1に搭載された技術が、ほかのサイバーショットに移植されていくだろう。


DSC-HX1はCMOSの良さを活かした製品になった
 一方、カムコーダーから採用が始まったExmor Rセンサー(裏面照射型CMOSセンサー)のスチルカメラへの応用を期待している読者も多いはずだ。1/5型から1/6型程度が主流のカムコーダ用と1/2.5型から1/3型程度が小型機でも下限のスチルカメラでは面積比で4倍も違いがあることから、まだまだ難しいとは予想されるが、早期の実用化となれば、他社に対する大きなアドバンテージとなるだろう。

 「コンパクトカメラと言っても、やはりサイズが大きいですから、まずはカムコーダー用から経験を積んでいかなければなりません。作れるようになった時点で、順次、サイズの大きなセンサーを必要とする製品にも採用はしていきます。まずはCMOSセンサーとなったことの良さを活かした製品を開発しましたので、そのおもしろさ、楽しさを体験して評価して欲しいと思います」

「Image3は製品を開発する上で重要なファクターですが、しかしあくまでも技術に基づくコンセプトです。実際のユーザーが製品を手にとって最初に感じるのは、やはり使いやすさ。技術だけを前に押し出しても使ってもらえなければなりませんから、使いやすさや使いこなしを積極的に評価してもらえるような配慮をしています」(手代木氏)


ミラーレス一眼カメラの可能性

現時点でミラーレス一眼カメラの計画はなく、一眼レフ以外の領域はサイバーショットでカバーするようだ
 PMA2009の展示会場では、サムスンの展示したミラーレス一眼の「NXシステム」が話題だった。かつてはソニーが最初に挑戦するのでは? と言われた時代もあったが、ソニーはコニカミノルタとともに伝統的なαマウントシステムを基礎に製品を展開する方向へと向かった。サムスンの展示を見て、どのように感じているのだろう?

 「ミラーレス一眼といっても、小さめのセンサーを用いたマイクロフォーサーズと、フランジバックを短くしただけのサムスンとは、若干アプローチが違います。とはいえ、カメラの小型化を行なう上で、フランジバック短縮は有効な手段ですから、当然、我々としても興味は持っています」とαシステムビジネス部・統括部長の一言斉志氏。

 というと、ソニーもミラーレス一眼を開発か? という話になるが、現時点では具体的な計画はないようだ。レンズ交換式カメラとしての使命を全うできるだけの性能を出せない領域は、サイバーショットでカバーするという考え方のようだ。


幅広いユーザー層に対応するため、今後新レンズも投入する
 ソニー・αが向いている方向は、ファミリーから中級者まで、幅広いアマチュアユーザー層に対して適したレンズとボディ、それに新しいアイディアを盛り込んだ周辺アクセサリなどを提供すること。まずは「α900」を出したことで伝統にこだわり、そして次からは挑戦。このようにソニーは一貫して話してきた。

 では次は? というと、もちろん誰も話してはくれないが、おそらくAPS-Cサイズセンサーの中級機クラスとなるだろう。一言氏は「α700は我々としても自信作で、実際に使ってみると使いやすい製品になっています。しかし、販売面ではかなり苦戦しました。さまざまな点で不満のないスペックになった一方、突出した何かの特徴が無かったからなのかもしれません」

 α700が挑戦した製品カテゴリーは、キヤノン、ニコンのトップランナー2社も特に力を入れるところだ。ビジネスとして難しいのは当然とも言えるが、しかし、ソニーとしても「α350」などで一眼レフの世界に触れたユーザーに対して、“これぞソニー”と言えるような魅力的なステップを用意する必要があるだろう。

 「景気も悪い中で、新製品がPMAに出ていないと心配しているユーザーもいるかもしれませんが、特に萎縮して事業活動が停滞しているわけじゃありません。我々はシェア3位になることができましたが、しかしトップ2社との差はものすごく大きく、4位以下のライバルとの差も僅かです。ソニーが一眼レフで普通に良い製品を作っても、決して選んでもらえません。明らかに良い製品を作らないと、トップには追いつけないでしょう。今は縮こまるのではなく、次に大きくジャンプするために膝を曲げているところだと思って期待していてください。我々がどれだけ真剣に、この事業に取り組んでいるかを知ってもらうためにも、良い製品をお見せできるよう準備を進めています」(一言氏)

 今回はもちろん、どうやら日本で開催されるPIE2009でも新型機の発表は予定していないソニーだが、しかし、次の飛躍に向けての準備は着々と進んでいるようだ。



URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/

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( 本田雅一 )
2009/03/10 13:30
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