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【PMA07】“キワモノ"が写真を変える

〜シグマ 山木和人社長に聞く

山木和人社長
 今回のPMA取材の中で、最後に話を伺った一眼レフカメラメーカーはシグマである。最新作のSD14は発売日こそ遅れたものの、無事出荷を済ませてからPMA 2007に臨んだ。昨年のPhotokina 2006で発表された「18-200mm F3.5-6.3 DC OS」、「DP1」、それに今回のPMAが初のお披露目となる「200-500mm F2.8」などについて、シグマ社長の山木和人氏に話を聞いた。

──今年のPMAに持ち込んだ新製品を紹介してただけますか?

 「発売の延期により、登場を心待ちにしていただいていた皆様にはご迷惑をおかけしましたが、直前にSD14を発売することができました。PMAにおいて実際のビジネスという観点から言えば、SD14が中心の展示になります。そしてPhotokinaではまだ試作段階だった18-200mmの手ブレ補正付きレンズ、それにDP1が、今回はほぼ製品レベルにまで仕上がっています。さらに開発表明という形で、200-500mm F2.8という大口径の超望遠ズームの試作品を持ち込んでいます」。


SD14
──まだ発売直後ということで、実際の売り上げデータは上がっていないでしょうが、満を持して発売したSD14の手応えはいかがでしょう?

 「SD9やSD10を使っていただいているお客様が、SD14の登場を待っていてくれた。このことが大変にうれしいですし、心強く感じています。SD14の発表後、スグに予約という形でバックオーダーが多数入っていたのですが、発売延期のアナウンス後もほとんどの方がキャンセルせず、オーダーを入れたままにしていただいています。Foveonセンサーを搭載したSDシリーズに、引き続き強い支援をいただいていることに本当に感謝しています」。

──SD14ではカメラとしての完成度が大幅に向上しました。操作感にも違和感がありませんし、デザインの完成度も上がっています。SD9/10から間が開いてしまいましたが、それでもSD14はそれらを上回る売り上げになるのでは?

 「従来機種に上積みで販売できるのではという期待はしています。とはいえ、実際に他社、たとえばニコンマウントやEFマウントから、我々のSAマウントに乗り換えてくれるかと言えば、それは大変なことです。我々は少しづつ自分たちの製品の良さをアピールしながら、コツコツとビジネスを広げて行ければと考えています」。

──とはいえ、銀塩時代に比べると、レンズを資産としてとらえる人の割合は減ってきているように思います。ズームレンズの普及で所有本数が減っていることや、オークションなど中古売買の経路が多様化したことも原因でしょうが、ボディで画質が変化するデジタルの場合、マウントへの支持は絶対的なものではない。

 「確かにそうした傾向は感じています。シグマの一眼レフカメラで比べると、銀塩時代のSAマウントボディとデジタル時代のSDシリーズでは、お客様に購入してもらうためのハードルは下がってきました。以前よりは(シグマにとっての)ビジネス環境は改善していると思います」。

──供給に関する問題はありませんか?

 「問題はありません。以前は製造面というよりも、部材調達の問題で供給が不足したこともありましたが、SD14に関しては大丈夫です。発表以来、たくさんのバックオーダーをいただいているので、それを一気に捌けさせるほどは一度に製造できませんが、しかし、供給不足に陥るようなことはないと思います」。

──Photokinaでも展示されていたSD14ですが、PMAにおける北米ディーラーの反応はいかがでしょう?

 「カメラの完成度が上がっていることを評価していただいています。また、スケジュールの遅れはありましたが、今回のPMAにはきちんと出てきたことも評価していただいており、これからはレンズだけでなく、カメラもプロモーションしていきたいとの言葉をいただきました」。


左から銀塩フィルム、ベイヤー配列のセンサー、Foveonセンサー
 「大手のカメラメーカーに比べると、我々のカメラ事業は本当に小さなものです。しかし、ひとつだけ申し上げたいのは、SDシリーズで使っているFoveonセンサーの実力は、本当に高いということです。最近はベイヤー配列のセンサーも映像が安定し、解像度も高まり、すばらしい画質を実現しています。しかし、自分自身でSD10を使い、SD14のテストを行なってきた経験から言うと、画素数という数字以上に、立体的な描写がFoveonにはあります。この点は是非とも理解していただきたい。それがなぜなのか。どのような性能が高いのか、定量的に計測する手法があればいいのですが、そうしたことはやっていませんから、これは実際の映像で評価してもらわなければなりません」。

 「同じように立体感や解像感の高さを評価していただいて、ずっとSD14を待ってくれていたSDシリーズユーザーは、今でもその映像を待ちこがれている。これが心強く、自分たちでカメラを作ろうという強いモチベーションの源にもなっています」。

──センサーは画素数の増加だけではなく、特性などの改善も行なわれているのでしょうか。

 「具体的な特性値の変化については公表していませんが、実力値は確実にアップしています。ベイヤ配列にしろ、Foveonにしろ、センサーから得られた情報をどのように処理し、良い画質の写真とするかは、常に研究が進められています。これは経験の蓄積ですから、FoveonもSD9、SD10の経験を積み、我々自身も含めて画像処理の精度が確実に上がってきました。ベイヤ配列のセンサーが良くなっているのと同じように、我々の画質も良くなっています」。

 「センサーの方式の違いは、画質面でさまざまな違いを生みます。確かに得手不得手はあるかもしれませんが、しかし立体的な描写、細かなディテールの深さ、解像感など、すばらしい表現の部分も少なくありません。是非とも、Foveonならではのすばらしさを体験してください」。


PMA07で展示されたDP1
──次にDP1についてですが、Photokinaにおける試作機の時点から何を変更したのでしょう?

 「Photokinaで公開した後、さまざまな方々から言われていた要望のほとんどすべてを盛り込んでいます。まずホットシューを付けたこと。両吊りストラップに対応したこと。マニュアルフォーカス機能を入れたこと。前面のデザインをフラットにしたこと。フードを装着できるよう、バヨネットの溝をレンズ周囲に刻んだことです」。

 「またオプションとして、ホットシューに取り付けるファインダーと、TTL調光が可能な薄型専用ストロボをアクセサリとして用意します」。

──アルミ外装の仕上げはこれで最終仕様でしょうか?

 「ほぼ最終ですが、少しでも質感を高めるため、現在も調整に調整を重ねています。この部分は、改良される形で若干変更される可能性はあります」。


PMA07で展示されたDP1

Photokina 2006で展示されたDP1

──現時点の進捗状況は何%ぐらいでしょうか?

 「ハードウェアの面では8〜9割は完成しています。あとは絵の作り込みだけです。まだやることは残っていますが、それは技術的な問題というよりも、最終のほんの少しの味付けを念入りに行なっているということです」。

──SD14は高速のRISCプロセッサを2個搭載していますが、DP1は映像エンジン「TRUE」で処理するということでしたね。両者の画質は同じになるのでしょうか?

 「絵作りの思想や処理の基本アルゴリズムはSD14と同じです。しかし、改善できるところは改善しようと努力していますし、処理パイプラインの中で若干異なる処理を行なうところもあります。それは一眼レフカメラとコンパクト機で求められる使われ方の違いにより変更している部分です。また、画質の話で言えば、基本は同じですが、最後の味付けは若干異なったものに仕上げます」。

──今回のPMAでも発売日と価格が発表されませんでした。

 「来年になるということはありません。そう遠くないうちに発売しますから、正式なアナウンスをお待ちください。DP1という製品は、画質が良くなければ存在する意味のない製品です。APS-Cサイズのセンサーを持つコンパクト機という新しい分野を拓くためにも、きちんと高画質をアピールできるものにしたい。現在は、その部分の本当に細かな調整を行なっています」。


200-500mm F2.8(カメラはSD14)
──今回、手ブレ補正レンズが完成に近づいたわけですが、それよりも200-500mmのズームレンズ。冗談のようなサイズに驚きました。

 「いや、自分たちも“作ってみてびっくり”という状態でして。この製品はスポーツフォトを念頭に置いていて、明るくて超望遠。テレコンを使ってもそこそこの明るさが出る。そんなズームレンズがあれば、スポーツ写真の世界を広げられるのでは? というところから企画がスタートしています。他にもいろいろなスペックを検討している中で、200-500mmという焦点距離が一番バランスがよくできたため、このスペックでの発表になりました」。

──試作機は総重量が約15kg、硝材だけで12kgもあると聞いていますが、そもそも、これだけ巨大なズームレンズを開発しよう。売ろうという発想が普通じゃありません。これは貶しているのではなく、そこまでの熱意がどこから出てくるのだろうという意味でなのですが。


200-500mmのフード
 「最初にCADでシミュレーションして設計を行ない、その時点で“これは、めちゃくちゃでかいなぁ”と思っていたんですが、さらに開発が進んで部品を作る段階になってみると、さらにビックリ。ある日、試作課の前を歩いていたら、窓の向こうでバケツのような筒を削っていて、ものすごい煙が上がっているんですよ。なんで、あんな巨大なバケツみたいなものを削っているんだろうと、担当者に聞いてみたら“社長、これは社長が作れといった例の200-500ですよ”と言われて、ギョっとしました。そして最後、実際に仕上がって組み上がってみると、やっぱりすさまじいサイズです」。

 「しかし、こんな非常識なサイズのレンズですが、作る決断をして良かったと思っています。我々はカメラメーカーとして成功したいという気持ちがありますが、その前にレンズのスペックに変化を与えることで、撮影のフィールドを広げたいというポリシーがあります。たとえば、現在は超広角ズームは一般的なズームレンズのひとつになっていますが、以前は存在しませんでした。広角ズームを最初に出したのは実はシグマで、当時21〜35mmのズームレンズを発売したのが最初です。それが写真に変化をもたらし、いまでは定番ズームレンズのひとつになっている。そういう、“キワモノ”があると、写真の撮り方、写真そのものを変える力がある」。

──実際に最終製品に近づくのはいつ頃になりそうですか?

 「光学設計は終わっていますが、まだ開発のタスクとしては残っている部分もあります。プロやマニアの要求に応じられる製品にするため、完成度を高める時間が必要でしょう。たとえばズームリング、フォーカスリングは電動化しているのですが、その重さやリングの回転速度に対する応答レベルの設定など、使い勝手を高めるためには細かなチューニングが必要です。しかし、今年中の発売はありませんが、遅くとも来年中には発売されるでしょう」。

──価格設定は?

 「まだ考えていません。元々はスポーツ撮影でのプロフェッショナルユースにと考えて開発した製品ですが、PMAに持ち込んでみると、意外に星を撮影するのに使いたいというお客様が多いようで、個人でも購入できる価格にして欲しいと言われました。ただ、現実には大変なコストの手間のかかる製品なので、どのあたりに価格設定をすべきなのか、非常に悩んでいます」。

──今年の新製品がこれで終わりということはないと思いますが、後半にかけて“おもしろそう”なレンズは出てきそうでしょうか?

 「出てくると思います。我々の事業は、やはり交換レンズが主体ですから、一般のお客様に喜んでもらえる標準系のズームレンズだけでなく、マニアに喜んでもらえるような製品もきちんと用意してあります。楽しみにしておいてください」。



URL
  PMA07
  http://www.pmai.org/index.cfm/ci_id/27922/la_id/1.htm
  PMA07関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2007/03/10/5787.html

関連記事
【PMA07】シグマ、改良版DP1や超巨大望遠ズームを参考出品(2007/03/09)


( 本田 雅一 )
2007/03/13 10:29
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