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【インタビュー@Photokina 2006】
経験と蓄積と、新技術へのアグレッシブな姿勢

〜ニコンマーケティング統括部第一マーケティング部 風見一之ゼネラルマネジャーに聞く

Photokina 2006
会場:独 ケルン ケルンメッセ
会期:9月26日〜10月1日


 前回のPhotokinaに比べ展示面積を20%増やして臨んだという今回のニコン。国内ではD80の販売好調の声も聞こえてくる。映像カンパニー マーケティング統括部 第一マーケティング部の風見一之ゼネラルマネジャーに現況と、今後のデジタルカメラ市場の見通しについて話を聞いた。


映像カンパニー マーケティング統括部 第一マーケティング部の風見一之ゼネラルマネジャー
−− Photokinaを迎えて、デジタルカメラ事業の現況について教えてください。

 「現在はたいへん好調にビジネスが推移しています。絶好調といってもいいでしょう。市場全体の拡大や生産コストの削減などにより、良い結果を得ています。今年前半には市場に飽和感が出てきたと言われましたが、後半になって伸びてきました。たとえば9月12日にCIPAが発表した見通しでは、前年比4%の成長とされていたのが12%成長に引き上げられています」。

 「ニコンに関しても、この業界全体の好調の波に乗っています。特に第1四半期はデジタル一眼レフカメラが絶好調で、COOLPIXに関しても予定通りに売り上げを伸ばしています。ちまたでは5社が争う戦国時代と言われているようですが、その中できちんと市場で戦えており、D80に関してもたいへんに評判が高い。前半の好調を維持していますし、このまま年末まで行きたいと思っています」。

 「コンパクト機に関しても7つの新機種を発表しています。コンパクトデジタルカメラ市場は成熟が進中で、本当にものすごい各社の戦いになっているのですが、ニコンはきちんと立ち位置を確保してやれています。防振機能や高感度対応といった近年のトレンドに合わせた機能が搭載できたことで、製品の強化を図れているのも大きい」。


カメラネスの向上には経験や蓄積がものを言う

D80
−− 風見さんには今年PMAでもお話を伺いましたが、PMA時点からの変化を何か感じ取っていますか? PMAではコンパクトカメラにおいて、業界全体の卸売り価格低下を懸念する声が強かった。

 「低価格の普及期だけでなく、機能やデザインなどに工夫を凝らした高付加価値製品の評価が、日本以外の地域でも高くなってきました。もっとも、高付加価値製品といっても平均売価が上がるというものではありません。値段の下がり方に一段落ついたという程度です。その一方、生産技術がさらに一歩進み、コストを下げることができています。我々がこの世界に参入して10年。その積み重ねで、コストの下げ方がわかってきたというのが大きい。昨年もコストダウンがコンパクトデジタルカメラの利益を押し上げましたが、その流れをきちんと継続できています」。

−− デジタル一眼レフカメラに関してはいかがでしょう?

 「市場の変化でわかりやすいのは、価格に値頃感が出てきたことでしょう。1,000万画素センサー搭載機が安価になってきました。新しい付加価値を模索する動きもあります」。

−− その中でニコンはどのように立ち回れそうでしょう?

 「市場の変化に対し、的確に周囲をウォッチして立ち回ることを常に考えています。闇雲に動くのではなく、顧客が必要としていることをよく見極めた上で製品を出していきます。先日発売したD80も大変好調です」。

−− D70がD100のテイストを残しながら最新のセンサーなどで魅力あるカメラに仕上げられていたように、D80もまたD200のエッセンスを上手に低価格カメラに持ち込んでいます。この手法は確かに手堅いのですが、やや保守的な印象も受けます。

 「D80が好調な理由は、ターゲットのユーザー層にしっかりと訴求できる製品になっているからでしょう。写真愛好家向けという位置付けです。写真愛好家たちが何を求めているのか。ファインダーの見え味など、写真を撮影する上で必要な性能や機能、その違いがわかる人に、是非D80を感じて欲しい」。

 「一瞬を切り取り、良い絵を探せるために、D200と同じ0.94倍のファインダーを持っています。写真愛好家には、“カメラネス(風見氏がよく使う“カメラ的”を表す言葉)”が重要なんです。“デジタルネス”の部分は、技術レベルが同等であれば、さほど大きな違いは出ません。しかし、カメラネスを向上させようとすると経験や蓄積がものを言います。今までニコンが顧客とのコミュニケーションを積み重ねてきた歴史。それこそが財産です。それを活かして作った低価格機だからこそ、D80は受け入れられているのだと思います」。


我々は決して保守的な企業ではない

−− ニコンの一眼レフカメラは、その使い勝手など一貫性という意味では、上から下まで筋が通っているとは思いますが、一方で家電メーカーという新しいライバルも増えています。風見さんのいうデジタルネスの部分で、より革新的な方向に舵を取るという選択肢はありませんか?

 「2年前のPhotokinaに比べ、一眼レフ市場は明らかに変化しました。ソニー、松下電器が参入し、新しい風が吹き込んでいます。これに対し、老舗としてどのように戦うかを常に考えています。では何がアドバンテージかと言えば、やはりカメラ専業メーカーとして長年の経験を活かした部分でしょう。これはニコンの武器として一貫したものです」。

 「もちろん、デジタルの部分でもきちんと技術的動向をキャッチアップし、先行できる部分は先行して新しい技術にトライしています。保守的という印象を持つ方もいるでしょうが、むしろ我々は先駆者です。手ブレ補正機能、顔認識、WiFiなどには先行して取り組んできました。我々は決して保守的な企業ではなく、新技術に対してアグレッシブです」。

−− ボディ内手ブレ補正に関してはどうでしょう? ニコンにはVRレンズがありますが、すべてのレンズをVRで揃えるわけにもいかないでしょう。

 「要素技術としては、ボディ内とレンズ内、両方に対してきちんと研究開発は行なっています。ボディ内で手ブレ補正を行なおうというアイデアは、この仕事をやっている技術者ならば誰でも実現しようと考えていますよ。しかし、どちらが効果的か、補正しやすいかと言えば、現時点ではレンズ側というのが我々のスタンスです。一眼レフカメラの良さはファインダー内でブレを確認しながら、きちんとした絵を撮影できるかを確認しながら撮影できることです。その意味でもボディ内よりもレンズの方が撮影しやすい」。


−− シグマがAPS-CサイズのFoveonセンサーを用いたコンパクトデジタルカメラを発表しました。大型センサーを用いた高画質コンパクト、たとえば28Ti Digitalとか35Ti Digitalといった企画もニコンらしいと言えるのでは?

 「そう。皆さんが28Tiのデジタル版はやらないのかと訊くのですが、どうでしょう。会社としてはともかく、個人的には方向として少し違うのではと思います。確かに市場はあるでしょう。しかし全体のパイがもう少し大きくなってこないと、ニーズが多様化している現在の状況では難しいのではないでしょうか」。

−− 最近はLBCASTの話もすっかり聞かなくなってしまいましたが、自社センサーはまだ継続しているのでしょうか?

 「自社センサーはまだ考えています。センサーの質はもちろん大切なのですが、入り口から出口までトータルで設計、処理を行ない、品質をまとめることが重要です。現在はセンサーやアナログフロントエンドは他社から購入していますが、それらデバイスベンダーとは密に連携しながら、必要な仕様をリクエストして性能改善を行なっています」。

 「また、求めやすい価格に持って行くにはコストダウンが必要ですが、部品コストを落とすにはより多く量産する方が有利です。そうした意味では、センサーやアナログフロントエンドに汎用部品を使うことは、決して不利なことばかりだとは思いません。実際、画質に関してもキヤノンが苦手なところもあれば、ニコンが苦手なところもあります」。



URL
  Photokina 2006
  http://www.koelnmesse.jp/photokina/

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( 本田 雅一 )
2006/09/30 02:31
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