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松戸花火大会を撮る


キヤノンの28-105ズームとトキナーの100-300ズーム。NDフィルターとリモートスイッチを用意した
 8月5日は、江戸川近辺の花火大会が一斉にある日だ。松戸と市川の花火大会が同時に行なわれる。千葉県に住んでいる私は、江戸川沿いで松戸の花火の奥に市川の花火が上がっているのを、何度か見たことがある。

 今年は先週の隅田川花火大会に引き続き、松戸の花火大会を撮りに出かけた。隅田川の2万発に比べ、松戸は8千発と半分以下の規模だが、都心の隅田川に比べれば撮りやすいはずだと考えた。ただ、前回の隅田川でいい場所がキープできなかったので、気を抜かずに3時くらいには松戸の江戸川沿いの河原に着いた。

 本部近辺の江戸川の土手を見ると、既に場所取りが始まっている。空は雲ひとつない快晴。3時からずっと待っていると日焼けしてしまう。そのせいか、シートだけ置いてどこかへ出かけてしまっている人が多いようだ。土手は一番高いところにある道路のそばから順に場所取りがされており、3時では土手の高い位置はもうふさがっている。土手の中腹くらいの位置にレジャーシートを敷いて場所をキープした。土手には虫が多く、虫除けが必須だ。高い位置の方が「川面に映った花火」も撮れるのだろうが、キープできた撮影場所では無理そうだ。そのため花火を主体に狙うことにした。

 用意したカメラはキヤノン EOS 20D、キヤノン EF 28-105mm F3.5-4.5 II USMとトキナー AT-X 340 AF II 100-300mm F4(IF)、コシナ 19-35mm F3.5-4.5 AFを用意した。隅田川の花火の撮影で「ピントを外して周囲をぼかす」撮影を行なったときに、絞り羽根の形が気になったことがあったので、今回はNDフィルターを用意して絞りを調整することとした。

 撮影方法の基本は前回同様、三脚にちゃんと固定してシャッタースピードはバルブ。ただ、実際のシャッタースピードは背面の液晶モニターでチェックしながら、長くしたり、短くしたりをしている。絞りF11を基本にする。シャッターはキヤノンでいうところのリモートスイッチ、つまりレリーズでシャッターを切ってブレを極力避ける。

 前回はオートホワイトバランスにしていたが、花火の色味をカメラ側で調整されないためには晴天モードが正解だろう。今回は全て晴天モードで撮影した。


雲ひとつない晴天。待っていると確実に日焼けする
花火の打ち上げ場所は対岸の金町側にある。夕方には既に準備ができていた

待ち時間の間にもらいもののウチワを黒く塗る。バルブ撮影時に露光量を調整するのに使う
開始10分ほど前の土手。人がいっぱいで動けないくらいだ

 午後7時15分、1発目の花火が上がる。予想よりもずっと花火が近くてびっくり。最初に考えていたフレーミングでは花火が画面に入らない。急いでワイド系のレンズに付け替える。花火単体を狙うときは28-105mmを使って、ズーミングで調整していく。絞りによる写り方の違いをチェックするため、NDフィルターを使って絞りを開いた状態でも撮ってみた。

※作例のリンク先は撮影画像をリネームしたものです。

※作例下の撮影データは、使用レンズ/焦点距離/絞り値/露出時間/ISO感度を表します。


花火がかなり近く、花火全体を入れるにはワイドレンズが必要
コシナ 19-35 / 19mm / F11 / 1秒 / ISO100
花火単体を狙ってみた。中望遠域でもはみ出してしまうくらいだ
EF 28-105 / 63mm / F11 / 1秒 / ISO100

ND4フィルターを使って減光しながらF5.6に設定してみた。なんとなくではあるが、光の筋が太く見える
EF 28-105 / 28mm / F5.6 / 5秒 / ISO100
ND8を使ってF4に設定。さらに光の筋が太く見える
EF 28-105 / 40mm / F4 / 1秒 / ISO100

シャッターを開けている間にピントをずらす

 前回、隅田川で撮影したときにチャレンジしてみて面白かったので、今回の課題のひとつに「シャッターを開けている間にピントをずらす撮影方法を、もう少し研究してみる」ということを考えた。100-300mmズームで花火が小さすぎた場合に備えて2倍のテレコンを用意したが、場所がかなり近いので、300mmでも十分すぎるくらいの状況。結局テレコンは使わなかった。


花火全体を捉え、露光開始と同時にピントリングを回した。ピントリングが均等のスピードで回っていないので、うねったような形に見える
トキナー100-300 / 100mm / F11 / 2秒 / ISO100
色彩のきれいな花火を捉えることができたのが成功のポイント。絞りの形が見える
トキナー100-300 / 300mm / F11 / 1秒 / ISO100

ND8フィルターを使って、絞りを開放にした。ボケがきれいな円形になる
トキナー100-300 / 300mm / F4 / 1秒 / ISO100
同じくND8フィルター使用。望遠で花火の一部を切り取るときは、切り取る位置で火の流れ方が違う
トキナー100-300 / 300mm / F4 / 1秒 / ISO100

ウチワを活用する

 EOS20Dには多重露出機構がついていない。ニコンD200などにはあるが、これはメーカーの考え方の相違だろう。デジタルはPCで後加工できるからよい、というのも考え方のひとつだ。だが、撮影現場で狙い通りの表現ができれば、やはり楽しいのではないだろうか?

 フィルムの時代から「カメラのシャッターはバルブで開けっ放し、黒く塗ったウチワをレンズの前にかざして遮光し、複数の花火を一枚の写真に写し込む」という多重露光テクニックがある。そこで、今回は待ち時間の間に作った黒塗りのウチワで、レンズの前を遮光し、いくつかの花火をひとつの画面に写し込んでみた。デジタルカメラは「長時間露光が苦手」とされているが、EOS 20Dは、天体向けの特別機種が作られたくらい、長時間露光のノイズが少ない、とされている機種である。安心して長時間露光を行なってみた。


3つの花火の上がる時間にはズレがある。そこで、ひとつの花火が上がり露光されたあと、レンズ前をウチワで覆って、別の花火がきたところでウチワを外して露光、という作業を繰り返した
コシナ19-35 / 19mm / F11 / 32秒 / ISO100
これもウチワを使った多重露光。フィルムの場合、現像上がりまで不安だが、デジタルはこのようなテクニックも、現場で液晶モニターチェックできるのが心強い
コシナ19-35 / 19mm / F11 / 21秒 / ISO100

ピントがあった花火が第1露光、ウチワをレンズの前にかざしたままピントをずらして撮影したカット。特殊なソフト効果のようだ
コシナ19-35 / 35mm / F11 / 14秒 / ISO100
白い花火が第1露光、その上にピントを外した赤い花火を重ねてみた
コシナ19-35 / 35mm / F11 / 11秒 / ISO100

 いい撮影場所がキープするのが、花火撮影のポイントのひとつではないか、ということを再認識した今回の松戸花火大会。これだけ近いと肉眼で見ていてもかなりの迫力である。松戸の花火大会は、少し早めにいけば、十分場所取りができるので、近くの方は来年、チャレンジしてみるといいだろう。


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隅田川花火大会を撮る(2006/07/31)


( 木村 英夫 )
2006/08/07 01:34

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