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【インタビュー】フォーサーズの長所を引き出したフラッグシップ「E-3」

〜オリンパス デジタル一眼レフ担当部長 渡辺氏に聞く

E-3
 およそ4年ぶり、オリンパスファン待望のフラッグシップ機「E-3」が発売された。

 「オリンパスの何が変わったんだ? と思われるぐらい、2007年はいろいろな製品が出てくる」とオリンパスイメージング 商品戦略部 商品グループ デジタル一眼レフ担当部長の渡辺章氏が1年前に話していた通り、今年はE-410、E-510とエントリー機、中級機を揃え、そしてE-1後継機が出そろった。

 その渡辺氏に、E-3の開発コンセプト、そしてE-Systemの将来について話をうかがった。


2機種分の力を注いだE-3

渡辺章氏
──まずは素朴な疑問ですが、なぜ「E-2」ではなく「E-3」なのでしょう?

 前モデルの発売から4年も経過しました。E-1発売後、2年ぐらい経過したころから、“次はいったいいつなんだ”と、ユーザーから厳しい意見をいただいていました。4年と言えば、通常のモデルならば2世代分の期間です。その間、我々が製品に注いだ力も2機種分です。個人的な気持ちとしても、間にもう1機種あるべきだったということから、E-3という名称にしました。1桁型番(最上位機種)の開発は、それ以外の製品とは必要なエネルギーが異なります。

──プロ機といっても、さまざまな分野、さまざまな切り口があります。E-1からのフィードバックを得て、オリンパスはフォーサーズのプロ機のコンセプトをどのようなものに練り上げたのでしょう。

 我々としては、E-1とE-Systemのレンズに投資をしてくださっているユーザーから、“次はまだ出ないのか”と、残念な声で言われるのが一番辛かった。まずは、そうした次機種を待ちこがれていたE-1ユーザーに、すべての面で満足してもらえる製品を目指しています。つまり、開発の目標としては、(単純にデジタル技術の進歩だけでなく)すべての面でE-1を超えるカメラを作ることでした。

──具体的には、どのような点に開発リソースを割いたのでしょうか?

 E-3の開発は、4つの点に重点を置いて進めました。

 1つは高速化です。レリーズレスポンスやファインダー消失時間といったスピードもそうですが、AFの高速化に特に力を入れています。そのAF高速化の軸になっているのが、オリンパスが10年をかけて開発してきた高性能な超音波モーター技術です。元々、顕微鏡向けに開発していた高性能超音波リニアモーターの技術を基礎に、これをボディ内手ブレ補正と高速AFのためのレンズ内モーターに使っています。非常にトルク、出力が大きいことと、ミクロン単位の細かい制御が行なえます。AF世界最高速を実現できました。

 超音波リニアモーターは、もう1つの重点開発項目である手ブレ補正メカにも使っています。約5段分の手ブレ補正は、レンズ内、ボディ内にかかわらず、あらゆる手ブレ補正機能の中で最高の性能になっています。


2軸可動式フリーアングル液晶モニター
 3つ目はライブビューです。我々はE-330で業界初のフルタイムライブビューを実現させました。この分野では常にナンバーワンであり続けたい。そこで、ライブビューの使いやすさを上げるため、縦でも横でも使えるようにモニターを動かすメカ(フリーアングル液晶モニター)を組み込んでいます。さらに、ライブビュー中にSAT(シャドウアアジャストメントテクノロジ)の結果を反映、表示します。

 このSATは、ハードウェアで被写体の部分ごとに異なるトーンカーブの補正を瞬間的に判断・変換するので、結果をモニター上で確認しながら撮影ができます。単にコントラストを眠くして、映像の輝度レンジを広げるのではなく、人間の目で見た場合の明るさ感を出すために、自動的に明暗の描き分けを行うのです。人間の目は、その時点で注目している対象の明るさによって、露出やトーンカーブが変わります。それと同じように、被写体を認識して適切なトーンカーブを作り出すのがSATで、実際にその場面を見た結果に近い像を造ります。この機能の効果をモニタ上で確認できるようにしました。

 最後は信頼性の向上です。ファインダー像の倍率を高めてファインダーを見やすくし、その上で100%の視野率を実現しました。また、防塵・防滴はもちろんですが、雨の中で使っても、ボディやレンズが壊れないように設計しています。


フォーサーズの良さを引き出す

──もう少し前の段階でのコンセプト。即ちE-Systemのフラッグシップとして、どんなコンセプトを打ち出して開発したのか、お話しいただけますか?

 それはフォーサーズというフォーマットの長所を引き出すことです。フォーサーズの長所とは何か? というと、1つめはデジタル前提で設計された高画質のレンズとボディの機能。次に小型・軽量化をしやすいことから来る機動性。3つめはオープン規格の共通マウントということです。

 まず、デジタル前提の仕様ですから、デジタルならではの特徴を出さなければならない。ダストリダクションやライブビューに力を入れているのも、デジタル専用規格へのこだわりがあるからです。画質面では今回、同時発表しているZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2。これはおそらく、業界最高の描写力が出る明るい標準ズームです。こうしたデジタル専用マウントならではのレンズの力を活かすこと。これがE-3の使命です。

 これだけレンズにこだわるというのは、それがフォーサーズ規格を打ち出すことになった、元々の思想、コンセプトと深く結びついているからです。よく画素数で比較されますが、そもそもフォーサーズというフォーマットを選んでいる時点で、画素数で戦うつもりはありません。そこは重要なポイントではありません。たとえば、もし2,000万画素が必要なお客様がいらっしゃるならば、現時点では自分たちからオファーするものはありません。

 では何が重要だと考えているかというと、それはレンズです。写真の画質を決定付けている要素には、レンズ、センサー、プロセッサの3つがあります。しかし、その中で最も重要なのはレンズ。レンズの描写、解像度が一番重要なんですよ。いくら高画素のセンサーを使っても、レンズに解像力がなければ良い画像は取り出せません。フォーサーズの優位性としてテレセントリック性がよく言われますが、これは周辺まで可能な限り真っ直ぐ光を入れることで、画面全体にわたってきっちりと解像できるようにするためです。


ワイヤレスコマンダーにもなる内蔵ストロボ
──よいレンズを設計しやすい。実際によいレンズしか投入していない。だからE-Systemは優れている、という話は当初から言われてきたことです。ボディ側の対応として、フォーサーズの良さを引き出せるよう、工夫をしているということでしょうか?

 はい。たとえば小型化が容易なため、本機には内蔵ストロボを組み込むことができました。可動液晶モニターを備え、完全防滴でこの大きさを実現し、内蔵ストロボを使える。内蔵ストロボはワイヤレスストロボのコントローラとしても利用可能です。しかも、3グループまでのフラッシュを制御可能で、各グループの光量比設定などは、カメラ側のユーザーインターフェイスですべて設定可能です。一瞬ですべてのストロボと高速通信を行なうため、ユーザーはストロボ経由で通信していることを意識する必要もありません。

 内蔵ストロボは一例で、あらゆる面でユーザー本位の開発を行なっています。

──第2世代のE-Systemという意味では、先行して販売されているE-410/510はコンパクトさを武器に独自の地位を築きつつありますが、E-3が持つフォーサーズならではの特徴とは、具体的に何でしょう?

 超高速のAFと効果の高い手ブレ補正機能です。


E-3の強化ポイント

手ブレ補正ユニット
──手ブレ補正機能は、高性能超音波リニアモーターなどの要素技術で見る限り、E-510のものと同じですね。しかし最大5段分という、とんでもない補正能力だと発表されています。どのような点が異なるのでしょう?

 E-510とメカニズムそのものは同じです。しかし、加速度センサーの取り付け精度や強度、位置、それに制御プログラムが改良されています。カメラ自身が生み出すメカ的な振動を考慮して、さらに加速度センサーの信号精度を高めたのが大きい。能力的な比較を数字で行なうのは難しいのですが、我々が評価している条件では従来、もっとも高性能だったE-510よりも、さらに1段分、補正効果が高まっています。

──もう少し具体的に言うと、どんな条件で写真が撮れるイメージでしょう?

 たとえば、シャッター速度1/3秒でも100mm相当の画角で手ブレすることなく写真が撮影できます。たとえば夜の交差点を撮影すると、信号待ちの車のナンバープレートを拡大してハッキリ読み取れる。ところが、何か幽霊のように写っているのは何か? とよく見ると、歩いている人なんです。歩く人が背景に溶けるような条件でも、静止している被写体はシャープに写せます。


AFセンサー
──AFについては、従来機では他社よりも遅れていた部分ですね。同じ位相差検出式AFでも、センサー面積が小さい分、位相差の検出精度(センサーの画素ピッチ)を詰めなければ精度面でも厳しいと思います。ところが、E-3のAFはスパッと気持ちよく動きますね。

 AFセンサーはすべて、最も高精度なラインセンサーを、さらに半ピッチずらして2列としたツインタイプをクロス配置しています。センサーを半ピッチずらすことで位相差検出精度を高めることができるのですが、当然、センサーは2倍配置しなければならない。それを中央部だけでなく、周辺部の測距点にも採用している全く手を抜いていないAFシステムです。

 全ポイントをツインクロスにしているのはE-3だけです。他社のAFセンサーでは、まったくツインセンサーが使われていなかったり、使われていても、クロス全部ではなく垂直線に対してのみツインというような使い方がされています。

 センサー面での充実に加えて手を付けたのが、AFセンサーの情報を専用プロセッサで並列処理する専用LSIです。全点クロスツインのセンサーがもたらす膨大な情報を、測距点ごと並列処理する専用プロセッサとしたため、AFポイント自動で撮影した場合でも、ほとんど速度が落ちず、他社比で約35%高速になります。また、1カ所に固定した場合でも約25%ぐらいは高速化できます。


──デジタルカメラの画質を決める要素は3つあるとお話しになりましたが、画像処理の部分はいかがですか? 最終的にRAWデータをRGBデータに抽出する際に、階調をどのように取り出すかで絵の印象が大きく変化しますよね。その点、これまでのオリンパス製一眼レフカメラは、ハイライト部の階調圧縮が弱めで、素直に白ピークが出る反面、白トビしやすい印象がありました。

 今回はセンサーや信号処理のやり方など、とても深いところから設計し直しています。そのため、秒コマ数が上がり、ダイナミックレンジも拡がっています。最高感度をISO1600から3200にしていることからもわかるとおり、ゲインアップの特性も改善されました。ダイナミックレンジは2/3EVほど拡大しており、その結果、色再現性や階調の豊かさといった面で画質が上がっています。

 さらに先ほど申し上げたSATの効果も大きい。シーンごとに最適なトーンカーブを作り出すため、見た目のダイナミックレンジが拡がります。

──フォーサーズはファインダー像が小さすぎるとの評判がありますが、これはフォーマット自身が小さいので致し方ない部分もあるでしょう。今回、中級APS-Cサイズセンサー機と同等となりましたが、この点に関してどのような方針で設計をしたのでしょう。

 ファインダーサイズは、ニコンD300よりも横が少し小さく、縦が大きい。面積はほぼ同じといったイメージです。ファインダー像倍率を大きくするには、当然、ペンタプリズム部のサイズが大きくなり、重くなります。E-3もデザイン上、ペンタプリズムの突出部が小さく見えますが、実際のプリズムはかなり大きなものです。

 そこでファインダー像の見え味に関する調査を行ない、さまざまな人に見てもらい、どの程度のサイズならば満足できるかを調査しました。そこから導き出されたのが今回のファインダーで、十分満足してもらえるファインダー像の大きさになっていると思います。


E-3はプロだけのものではなく

──E-3は発表前から“プロ機”であることを強調していました。しかし、現実を見ると一部、センサーフォーマットの大きな製品を除くと、プロユースでの採用例はニコンとキヤノンに二極集中しています。この厳しいビジネス環境の中で、あえてプロ機としてこだわる理由は何でしょう?

 E-3はフラッグシップ機として、プロの人たちにも使ってもらえる要素を備えていると思っています。しかし、同時にプロに限定した製品作りをしているわけでもありません。E-1は多くのアマチュアユーザーにお使いいただいていますし、そうしたお客様にもお待たせしたぶん、多くの人に使って欲しいと考えて価格も設定しました。もちろん、E3桁シリーズからのステップアップとしてもお使いいただけます。

──価格的には他社のAPS-Cサイズセンサー採用中級機と同程度。重さも同じぐらいですから、比較対象としてはD300やEOS 40Dが挙げられるでしょう。特にD300とは狙っているユーザー層が大きくオーバーラップしています。その一方でAFセンサーの充実度や全体の作りはプロ機なみということでお買い得感は確かに高い。とはいえ、E-1に比べるとかなりハイアマチュア寄りの、幅広いユーザー層にアピールする製品に仕上がっている印象があります。

 モノとしての性能、完成度は、あらゆる面でE-1を超えています。ただし、なにがなんでもプロ、これはプロ向けだといったことを強調して言う気はありません。ユーザー自身が、それぞれの目で判断して納得して使って欲しいと思います。

──同クラスの製品と比べたとき、実際の質感や撮影感はともかく、たとえば毎秒5枚の連写性能などは低く見えてしまう。十分な数字ではあるけれど、最近のトレンドからすると決して速くはない5fpsというスペックになったのはなぜでしょう?

 開発当初から、毎秒5枚という連写性能でキッチリと性能を出そうとしてきました。レリーズを押しっぱなしではなく、ファインダー像を確認しながらちょい押しを繰り返すといった時、ストレスなく撮影していただくためには毎秒5枚が必要と考えました。

 また、連写性能はAF性能と一緒に評価してほしいと思います。動体撮影時に、何枚撮れるかよりも、何枚にピントが合うかの性能が重要です。この点、AFの追従性のテストはしっかり行なっていますので、自信を持ってお薦めできます。


──E-Systemの第2章と言われた一連のラインナップも、今回で一段落ということでしょうか?

 そうですね。今後、各製品の後継機種は開発していく必要がありますが、今年はこれで終わりとなります。

──“今年はこれで終わり”ということは、来年は新しい仲間が増えるということでしょうか? たとえばE-30といった機種も期待できるのでしょうか?

 E2桁シリーズはE-System発表後には投入していませんから、そこにレンズ交換式という意見があることは承知しています。しかし、現時点ではまだ何もお話はできません。まずは高い完成度のE-3を堪能してください。E-3はこれまでの製品の何倍ものフィールドテストを行ない、画質や機能、使い勝手を追い込んだ製品です。ぜひ、店頭で手に取って、その良さを実感してください。



URL
  オリンパスE-3関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/10/18/7222.html

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( 本田 雅一 )
2007/11/26 00:01
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