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ニコン、D3/D300に「シーン認識システム」などの新技術を搭載

~画像処理技術を「EXPEED」としてブランディング

 ニコンD3/D300は、「ニコンデジタル一眼レフのフラッグシップ」と「DXフォーマットの最高機種」という違いはあるが、同世代の製品として共通する新技術がいくつか搭載されている。これらは今後の同社製デジタル一眼レフ、あるいはデジタルカメラ全体を支える基盤となることが見込まれており、重要なマイルストーンと言えるだろう。

 ここでは両機種で新たに採用された技術をレポートする。両機種の詳細については、それぞれの記事や発表会レポートを参照されたい。


D3 D300

画像処理技術「EXPEED」

EXPEEDのロゴ
 ついにニコンの画像処理技術がブランディングされるようになった。すでに他社で採用されているブランド名が画像処理エンジンを指すことが多いのに対し、「EXPEED」(エクスピード)は、画像処理エンジンだけでなく、画像処理技術を包括的に表す名称とされ、これからの同社製デジタルカメラに、機種に応じた形で採用されていくものと思われる。

 とはいうもののD3/D300におけるEXPEEDのキーはやはり新開発の高性能な画像処理エンジンであり、これによって「高S/N処理」、「広いダイナミックレンジ」、「倍率色収差の軽減」、「多彩な調色機能」を実現できる。また、高い処理能力のおかげで、後述するシーン認識システムや、D3に搭載された倍率色収差補正機能のような複雑な処理の搭載が可能になり、カメラの起動時間、シャッタータイムラグなどの短縮にもひと役かっている。

 同社によれば、D3/D300の画像処理パイプラインは、撮像素子上の14bit A/Dコンバーターからの14bit出力を、パイプラインの各段階で16bit処理する。同社ではD3のダイナミックレンジの広い撮像素子と、14bit A/D変換、内部16bit処理が、階調の豊かな高品質画像を可能にしているとしている。


シーン認識システム

 シーン認識システムは、D3/D300に搭載されているAE用の1,005分割RGBセンサーからの情報を、AEだけでなくAFやAWBにも適用することで、これらの精度を向上させる仕組みだ。

 たとえばAFでは、画面内の空や背景、前景、人物がいれば人物を抽出し、自動的に人物にピントを合わせることができる。また、被写体の動きに合わせてAF測距点を動かす「3D-トラッキング」も新たに実現された。

 AEではハイライト部分を検出し、測光や調光に応用してより正確なAEを行なう。

 AWBでは、撮影前にシーンを解析し、補正情報をあらかじめ得るほか、撮影後にも画像の補正データとデータベースにより、より正確に光源を判断する。複数の種類の光源がある複雑な状況でも、より正確なホワイトバランスを得られるとしている。


アクティブD-ライティング

 「D-ライティング」は、同社製デジタルカメラの多くにすでに搭載されているが、D3/D300ではこれが「アクティブD-ライティング」に進化した。

 D-ライティングは暗部を持ち上げるなどの処理によって、ダイナミックレンジを広げ、撮影された画像の主要被写体の露出をカメラ内で補正できる機能だが、撮影後の画像に処理を行なう。

 これに対してアクティブD-ライティングでは、撮影前にどの程度のDライティングを施すかを3段階で設定しておくことができる。また、ダイナミックレンジを拡大することで画像全体が軟調になることを防ぐため、局所的に階調を制御しているという。


ピクチャーコントロール

 「ピクチャーコントロール」を同社は「画作り設定システム」と呼んでいる。ピクチャーコントロールでは、輪郭強調、コントラスト、明るさ、色の濃さ、色合いの5つのパラメーターをユーザーが設定することで、好みの画作りができる。D3/D300ではデフォルトのパラメーターセットとして「スタンダード」、「ニュートラル」、「ビビッド」、「モノクローム」を搭載している。

 従来の同社製カメラにもこのようなパラメーター設定機能を持っているものがあるが、ピクチャーコントロールでは、設定したパラメーターセットをカスタムピクチャーコントロールとして保存し、ほかのピクチャーコントロール対応カメラやユーザーと共有できるのが特長だ。このため、異機種間での画作りの統一が容易になる。

 また、D3/D300から同梱されるソフトウェア「View NX」では、撮影時設定と異なるピクチャーコントロールを適用することができる。

 さらに、同社製フォトフィニッシングソフト「Capture NX」でカスタムピクチャーコントロールを調整できるほか、ピクチャーコントロールを搭載する以前の同社製デジタル一眼レフで撮影したRAW画像に、ピクチャーコントロールを適用することもできる。


同梱ソフトを刷新

 同梱ソフトはこれまでのPicture Projectから、View NXとNikon Transferに変更された。

 View NXは軽快かつ高機能で評価の高かった同梱ソフト「Nikon View」の発展版と捉えることもできる。View NXはXMP/IPTCに対応しており、レーティングなどの情報を付加することができる。なお同社製フォトフィニッシングソフト「Capture NX」は現在のところXMP/IPTCに対応していないが、アップデータで対応予定という。

 このほかRAWの簡易補正(露出補正、ホワイトバランス補正、ピクチャーコントロール設定)などの機能を備える。

 Nikon Transferはカメラや記録メディアからPCへ画像を転送するためのソフトウェアだが、テンプレートを設定しておくことで、転送時にXMP/IPTCタグを付加することができる。また、2つのフォルダに同じ画像を同時コピーすることで、自動的にバックアップを取れるようになっている。

 これらは今後の同社製デジタルカメラの同梱ソフトとなるほか、同社サイトで無償公開され、過去の同社製デジタルカメラユーザーも利用できる。



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  ニュースリリース(ピクチャーコントロール)
  http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2007/0823_pc_05.htm
  ニュースリリース(EXPEED)
  http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2007/0823_ex_06.htm
  ニュースリリース(シーン認識システム)
  http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2007/0823_srs_07.htm

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( 本誌:田中真一郎 )
2007/08/23 19:30
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