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キヤノン、「EOS Kiss Digital X」発表会を開催

~「国民的一眼レフ」で単機種45%のシェアを狙う

 キヤノンは24日、同日発表したエントリー向けデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss Digital X」の発表会を、都内で開催、EOS Kiss Digital Xの特徴と販売戦略を説明した。


「出さない、着けない、残さない」ゴミ対策

 同社イメージコミュニケーション事業本部長の岩下知徳 取締役は、同社デジタル一眼レフのラインナップを「プロ向け」、「ハイアマ向け」、「一般向け」に分類し、EOS Kiss Digital Xはコンパクトデジタルカメラからの買い増しユーザーや銀塩カメラからの乗り換えをターゲットとする「一般向け」に位置づけた。また、一般向け市場だけでなく、より上位のハイアマやプロ市場の拡大の牽引車としての役割も、EOS Kiss Digital Xに期待する。


岩下知徳 取締役
EOS Kiss Digital Xの位置づけ

 EOS Kiss Digital Xの特徴は、「進化した高画質」、「チャンスを逃さない快速レスポンス」、「快適さの追求」。

 「画質」の点では、画像処理エンジンにEOS Kiss Digital Nと同じDIGIC IIを継承するのに対し、撮像素子は同社内製のAPS-Cサイズ有効1,010万画素CMOSセンサーに変更。画素数を増やしつつ、画質を維持するために、センサー製造プロセスやマイクロレンズを改良した。また、新たに色調整機能「ピクチャースタイル」が搭載された。

 「レスポンス」については、EOS 30Dと同じ9点AFを採用し、精度と速度を向上。特に中央センサーは、Kiss Digital NでF5.6対応だったのに対し、F2.8対応に引き上げられた。またバッファメモリが増え、連続撮影枚数がKiss Digital Nの約2倍のJPEG27枚、RAW10枚となった。


新開発のAPS-Cサイズ有効1,010万画素CMOSセンサー
基板。画像処理エンジンはDIGIC II

9点AFセンサー
AFの中央センサーはF2.8対応

 「快適さ」では同社初となるセンサーダスト対策「EOS Integrated Cleaning System」(EICS)を採用。EICSはセンサーのゴミ落とし機能だけでなく、ゴミが出にくく付着しにくい内部構造、画像に写り込んだゴミの除去機能を統合した、総合的なゴミ対策システムで、
岩下氏は「社内では“出さない、着けない、残さない”を合言葉に開発した」と述べた。

 「出さない」に関しては、ミラーボックス内のメカから出るゴミを防ぐため、削れにくい材料や構造を採用した。

 「着けない」では、ゴミが付着する原因でもっとも大きなものを「静電気」とし、各部品からアースして静電気を逃すなどの対策が施された。また、圧電素子でローパスフィルタを振動させ、ゴミをふるい落とす「セルフクリーニングセンサーユニット」を採用。このユニットの開発には、「レンズの超音波モーターの開発で培われた、超音波振動に関するノウハウを活用した」としている。

 最後の「残さない」は、粘着性がある物質などの取り除きにくいゴミが付着し、画像に写り込んだ場合の対策。カメラのメニューで「ダストデリートデータ取得」操作を行ない、模様のない壁などを撮影すると、画像上のゴミの位置情報を記録し、以降に撮影する画像にその情報を付与する。同梱されるPC用ソフト「Digital Photo Professional Ver2.2」にその画像を取り込むと、ゴミの位置情報を元に画像に写り込んだゴミを消去する。


セルフクリーニングセンサーユニット
セルフクリーニングセンサーユニットは、ローパスフィルタを圧電素子で振動させる

起動/終了時にクリーニングするほか、任意にクリーニングすることもできる。また、起動/終了時にクリーニングするかしないかを設定することもできる
クリーニング中の表示

最高1/4,000秒のシャッターユニット。内部にはゴミが出にくい部材を使用
EOS Kiss Digital Xの内部。ゴミが出にくく、静電気が帯電しないよう工夫されている

 岩下氏は「カメラの目的は美しい瞬間を捉えること。使い手は感性を磨き上げ、作り手は道具としてのすばらしさを磨き上げていく。EOS Kiss Digital Xは感性を高めるためのすばらしい道具として、必ず名機と呼ばれるカメラになると信じている」と、説明を締めくくった。


EOS Kiss Digital X
EOS Kiss Digital Xのシルバーモデル(左)とブラックモデル(右)

内蔵ストロボ
製品ロゴ

背面液晶の表示 ピクチャースタイルは「SET」ボタンで呼び出せる。このほかISO感度設定などの画面も見やすく改良された

マウントとセンサー

新旧EOS Kiss Digitalの比較

新旧EOS Kiss Digital。左がN、右がX



「X」は「10代目、10Mピクセル」

芦澤光二 専務取締役(左)と岩下 取締役
 EOS Kiss Digital Xの販売戦略についてはキヤノン マーケティング ジャパン コンスーマイメージングカンパニープレジデントの芦澤光二 専務取締役が説明した。

 EOS Kiss Digital Xのターゲットは、「30~40代のファミリー層」で、「コンパクトデジタルカメラからの買い増しユーザー」。Kissシリーズのユーザー構成で特徴的なのは、「実使用者に女性の比率が高く、撮影機会は家族の記念写真や旅行が多い」ところ。

 Kissシリーズの性格を表すエピソードとして芦澤氏は、初代Kiss発表時にネーミングについて社内論争があったことを明らかにした。従来は「おじさん、セミプロ、高価格」というイメージだった一眼レフ市場に、「小型軽量で初心者にもやさしい」と訴え、「母親が赤ちゃんにKissするような気持ちでシャッターを押してほしい」という意味を込めたという。

 また、EOS Kiss Digital Xは、1993年の銀塩一眼レフ「EOS Kiss」から数えて、Kissシリーズとして10代目にあたる。歴代Kissが一眼レフ市場の拡大に貢献してきたことから、Kissシリーズを「国民的一眼レフ」とした。なお、EOS Kiss Digital Xの「X」は、ローマ数字の「10」がXであることから、「10代目」と「10Mピクセル」をあらわすとした。


Kissのネーミングの意味
従来の一眼レフのイメージを覆すKiss

国民的一眼レフ
会場に展示された歴代Kiss

Kissが一眼市場の拡大に貢献
キヤノンの一眼のシェア拡大にも貢献した

交流戦は大歓迎

 銀塩カメラを含む一眼レフカメラの販売台数は、125万台が売れた1980年をピークとして、若干の増減を含みつつ減り、2006年の予想は66万台となっている。芦澤氏は「デジタル化を契機として、2010年には100万台市場にV字回復させたい」とした。また「セ・リーグだけで野球はできない、交流戦も大歓迎」という表現で、ソニー、パナソニックなどの家電メーカーのデジタル一眼市場参入が、100万台市場達成には必要と述べた。

 こうした状況でEOS Kiss Digital Xのシェアについては、発売から12月までを含む4カ月間で「EOS Kiss Digital X単独で、市場シェアの45%を獲得する」と、大胆な目標を提示。そのための施策として、展開店舗数を2,500から3,000に増やすとした。

 なお広告ビジュアルには、ロックバンド「KISS」に扮装した子どもたちが、EOS Kiss Digital Nから続投。キャッチコピーは「WE NEED KISS JAPAN」となり、TV CMでは子どもたちが日本を観光する様子をEOS Kiss Digital Xで撮影するイメージとなる。

 芦澤氏は「インプット(カメラ)とアウトプット(プリンタ)をこれだけもっているのは世界でもキヤノンだけ。写真大国日本の再来とデジタルフォト文化の開花をめざす」とした。


100万台市場へ、家電メーカー参入も歓迎
EOS Kiss Digital Xだけで45%のシェアを目標に


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  ニュースリリース
  http://cweb.canon.jp/newsrelease/2006-08/pr-eoskissdx.html?jp=pr-eoskissdx
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/kissdx/index.html

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( 本誌:田中真一郎 )
2006/08/24 21:24
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