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【インタビュー】ニコン デジタルカメラのこれから

〜後藤統括部長に聞く

ニコン執行役員、映像カンパニー開発統括部統括部長 後藤哲朗氏
 ニコン待望のハイアマチュア向けデジタル一眼レフカメラ「D200」は、早くも入手難。同時発売の「AF-S DX VR Zoom Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G(IF)」はさらに大人気で、来春までは入手しづらい状況が続くとか。2005年後半からのデジタル一眼レフカメラ市場の中にあって、その注目度は発売後の今でも高い。

 そのニコン製デジタルカメラの今後について、D200本体の話題に引き続いてカメラ開発全体を統括するニコン執行役員、映像カンパニー開発統括部統括部長の後藤哲朗氏に話を伺った。


デジタル一眼レフ市場は、まだまだ飽和からは遠い

D200
−− 現在は各社の業績をプラス方向に振れさせる成長エンジンになっているデジタル一眼レフカメラですが、コンパクト機の成長頭打ち状況を見て“いつ止まるか”といった議論もありますね。急な頭打ちの可能性はありませんか?

後藤 デジタル一眼レフカメラ市場には、まだまだ伸びしろがあるでしょう。今年、デジタル一眼レフカメラは400万台市場に成長しましたが、フィルム時代には800万台市場だったことがあります。少なくとも年800万台ぐらいの潜在市場はあると思います。しかし、実際にはもっと増えるのではないでしょうか。1,000万台を超える潜在力がデジタル一眼レフカメラ市場にはあるかもしれません。

−− コンパクト機の例を出すのは正しくないかもしれませんが、急激な上げ止まりがコンパクト機の時にはありました。デジタル一眼レフカメラに関しても、何らかの“刺激”がなければ、決して楽観視はできないでしょう。急に市場の動きが止まることは、メーカーにも打撃でしょうが、ユーザーにとってもマイナスです。

後藤 2006年は3つ、家電業界とカメラ業界のコラボレーションがあります。オリンパスが松下電器と、コニカミノルタがソニーと、そしてペンタックスがサムスン電子と協業を行なった成果が市場に投入されます。カメラメーカーよりもずっと大きな市場を相手にビジネスを行なっている家電メーカーが参入するということは、それだけ大きな市場があるとみんなが確信を持っているとも言えます。

−− 家電メーカーが参入することでシェアの食い合いにならないでしょうか?

後藤 一眼レフカメラって、シンプルなようでいて、これがなかなか開発も生産も大変なんですよ。きちんとしたノウハウがなければ良い製品を作ることはできませんし、システム全体を再構築するのも大きな努力が必要です。家電メーカーがやるからといって、そう簡単には長年の経験を積んだ我々のシェアが落ちるとは思いません。

−− 家電メーカーに簡単には負けませんよ、ということですか?

後藤 はい、彼らにも当然、それなりの勝算があるのでしょう。しかし電子機器と一眼レフカメラは、商品としてかなり異なるものです。また、家電メーカーの参入が市場に良い影響を与える可能性も少なくありません。

 現状のまま、デジタル一眼レフカメラを売り続けていれば、確かに年800万台+α程度の市場にしかならないかもしれません。しかし、家電メーカーが我々にはない技術やアイディアを持ち込んで、市場に刺激を与えて活性化すれば、ユーザーニーズが広がってもっと多くのデジタル一眼レフカメラが売れるようになるでしょう。

 そして市場が広がれば、広がった市場でビジネスを大きくするチャンスは、家電メーカーよりも我々の方が大きいと見ています。ニコンが持っているデジタル一眼レフカメラに関する資産やノウハウ、技術などは、簡単に家電メーカーがマネできるものではありません。

−− では家電メーカーとニコンが一緒に新しい市場を作る可能性は?


無線LANに対応したニコン COOLPIX P1
後藤 今のデジタル一眼レフカメラ市場を見ると、3社のメーカーがパートナーを見つけている状況ですね。残りのキヤノンとニコンがどうするか? という話ですよね。

 ニコンとしてデジタル一眼レフカメラ関連の提携を“やる気がない”とは言いません。カメラを開発/販売するだけならば、我々だけでもやっていくことができますが、従来仕様のカメラだけでは、新しい用途の提案が将来は狭くなるかもしれませんね。アプリケーションの幅を広げる相手ならば、パートナーとして共に仕事ができるかもしれないですね。

−− 具体的な提携候補はあるのでしょうか?

後藤 いえ、実際にあっても無くても具体的には申し上げられません。自分たちでできる範囲のこと(無線LAN内蔵など)はやっていますが、できないこともあります。たとえば写真プリント技術をキヤノンは持っていますが、ニコンにはない。この点ではある意味でのコラボレーションは既に行っています。そうした部分を補完して、市場を広げることができる相手ならばやる価値があるという意味です。カメラを作って売るという、旧来からのカメラメーカーのポジションを守っているだけでは駄目でしょう。

−− デジタル一眼レフカメラが流行し、その画質に話題が集まるようになると、どうしても話がマニアックな方向に行きがちですが、あまりにマニアックな方向に行きすぎると、対象ユーザーを限定することになりかねませんね。写真をより楽しんでもらうには、どのような方向で他社との協業を進めていけるでしょうか?

後藤 まずは写真を鑑賞する方法について、様々な提案をしたいと考えています。このうち写真データの受け渡しを簡単にすることは特に重要ですね。現在、写真鑑賞はプリント、テレビ、PC、それに小型のビューアで行なわれています。これらの出力とカメラをどのように結びつけるかがカギだと考えています。

 そうした中で、ニコンに不足している要素があるとすれば、それは出力デバイスでしょう。プリンタ、テレビ、PC。これはニコンが持っていない商品です。

−− その意味では無線LANを用いたサービスの開拓が必要でしょう。ハードウェアで搭載するだけではなく、ネットワーク上のサービスとして用途提案は行なう予定はありませんか?

後藤 現在、カメラ内蔵無線LANはプリンタやPCとの接続をサポートするためのツールという位置付けでしかありませんが、将来的には家庭内の様々な機器のイメージ入力デバイスとして、より幅広い製品とワイヤレスでつながっていかなければなりませんね。具体的には言えませんが、アプリソフトのPicture Projectで提案している数多くたまった写真の管理をよりシンプルにするための方法など、いろいろなお客様のことを想定して、検討しています。


−− 画素数に関してはいかがでしょう。一眼レフでは1,000万画素を超え、コンパクト機も600万画素以上が当たり前になってきました。

後藤 A4程度へのプリントならば、すでに満足できるレベルに達しています。しかしフィルムの解像度に関しては諸説あり、1,000万画素とも4,000万画素とも言われています。技術的にはまだまだ画素数が増加する可能性はあります。

−− とはいえ、1画素のサイズとS/N比のバランスの問題もありますね。フィルムとの比較という意味では、階調性の不足という問題もあると思います。どのあたりに画素数とS/Nなどとのバランスを置くのが良いと思いますか?

後藤 ライバルの事も考えに入れて、我々も自分たちの考える良い絵を出すためにバランスを取っていきます。ピクセル等倍で見ながら、細かな点をほじくるように比べるのではなく、写真全体の絵作りや質、プリントした際の仕上がりなどを見比べてほしい。実際の絵で比べた場合の仕上がりには自信がありますから、是非比べてほしい。写真文化としてはもっと発展する余地があると思います。

−− DXレンズの今後についてはいかがでしょうか? エントリークラスとハイエンドクラスの間に、ミドルレンジのレンズシリーズも充実させてほしいですね。

後藤 マイクロレンズやPCレンズなど、特殊レンズも含め、どんどん増やしていきたいですね。DXレンズに関しては、従来からお話ししているように、全面的にラインナップを広げていきます。また手ぶれ補正に関しては、初級者にこそ使ってほしいという気持ちがありますから、低価格レンズにVR2を搭載していきたいと考えています。

−− コンパクト機に関してはどのような展望を持っていますか?

後藤 コンパクト機は価格下落から利益が出しづらくなっていると言われますが、ニコンは利益を出せるようになっています。この分野に関しては世間で言われるほど、悲観的ではありませんし,実際にシェアも次第に増えてきました.

−− コンパクト機は銀塩時代からニコンが不得手にしていたカテゴリですが、なぜ元気がいいのでしょう?

後藤 商品の魅力が以前より増して来たのがひとつ,さらにコストダウンが以前よりも上手になってきました。質感を上手に出しながらコストを下げられるようになったということです。まだまだ不満足ですが、商品発売のタイミングも、世間相場的にタイムリーに提供可能になってきました。デザインの改善や多品種化が成功していることも要因のひとつです。

−− ニコン製コンパクト機の元気の良さは一時的なものでしょうか?それとも継続的な強みになりそうですか?

後藤 今後、コンパクト機市場はまだまだ大きくなる余地があります。ニコンはコンパクト機市場でもっと強くなって行きたいと計画しています。性能や質感も重要ですが、この分野は市場ニーズにいかにミートさせるか、価格とスペックのバランスなどが大切になります。今後は中国や東欧諸国での普及が見込まれています。この分野で、我々はさらに業界を活性化させ、市場を伸ばしていけるとの確信を持っています。


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( 本田雅一 )
2006/01/10 00:00
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