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発表会のためにデジタルモジュールRとともに来日した、Leicaのエリアセールスマネージャー、エンリコ・ドムハート氏
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日本におけるLeica製品の輸入代理店である日本シイベルヘグナーの主催により、「フォトキナ新製品発表会」が都内で開催された。会場はテーブルの上に新製品を展示し、出席者が自由に製品を操作しながら係員に質問をするという型式で実施された。
展示され主なた新製品は以下の通りだ。
- Leica デジタルモジュールR
- Leica アラカルト
- Leica M型50周年記念モデル(Leica M7チタン)
- Leica オスカー・バルナック エディション(Leica 0型)
- Leica ミニルックスズーム
このほか双眼鏡の新製品もリストの中に入っていたが、特に製品は展示されていなかった。いずれにしても今回の発表会で展示された製品は、すべて9月末にドイツで開催されたPhotokinaで発表済みのものだ。
■ ライカ
今回の発表会に展示された製品は、Photokina会場で展示されたサンプルを、そのまま日本に持ち込んだものだ。とりあえず作動するが撮影は不可能というレベルで、残念ながら実写することはできなかった。
海外では12月1日から出荷が開始される予定なので、Leica本社では急ピッチで最後の調整が行なわれているらしいが、可動サンプルは、まだ世界に数台しか存在しないとのこと。そのため今回の発表会実施にあたっては、極東地域を担当するセールスマネージャーのエンリコ・ドムハード氏がたった1台のサンプルを携えて来日した。発表会の翌日には次の訪問国であるシンガポールに発つ予定であるという。
Leica デジタルモジュールRは既発売のフィルムカメラ、ライカR8/R9に取り付けるデジタルカメラモジュールである。モジュールはデジタルバックとパワーユニットで構成され、デジタルバックには26.4×17.6mm、画素数1,000万画素(最大3,872×2,576ピクセル)のCCDを使用。
パワーユニットはシャッターをチャージするためのモータードライブと電源部を内蔵している。取り付け方法は、カメラボディの裏蓋をデジタルバックと交換。ボディの底部にパワーユニットを取り付けるだけだ。このときのサイズは158×140×89mm(高さ×幅×奥行)。
取り付け時のサイズは、Rシリーズ用モータードライブユニット「モータードライブR」を装着したときと同じ。タテ/ヨコ位置用のシャッターボタン、オートブラケット用ダイヤルなどの操作系についても、モータードライブRと共通化が図られている。シャッターを切った後の操作音は、モータードライブRに比べ低く抑えられているようだ 。
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ライカRに取り付けたデジタルモジュールR
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レンズマウントはライカRマウント。3カムレンズのほか、Rカムレンズ、ROM内蔵レンズが使用できる。写真に写っているレンズはROM内蔵レンズ
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記録メディアはこのクラスとしては珍しくSDメモリーカードを使用。RAW、TIFF、JPEGの画像が記録できる。またCCDサイズが35mmフルサイズより小さいため専用のフォーカシングスクリーンが用意される。
カメラとしての撮影機能は、カメラ本体の機能に依存。撮影モードは、プログラムAEのほか、絞り優先AE、シャッタースピード優先AE、マニュアル露出、フラッシュメーターモードが利用可能。測光モードは分割測光、中央部分測光、スポット測光の3種類だ。ピント合わせはマニュアルフォーカスで、ライカR3以降に発売されたいわゆる3カムレンズのほか、Rカムレンズ、現行商品であるROM内蔵レンズが使用できる。
ここで注目すべきは、ピント合わせがマニュアルである点と、かなり古いレンズが利用できることだ。特にライカRレンズの初期製品の中には個性的な描写を持ち味とするレンズが多く、これらのレンズとデジタルモジュールを組み合わせたとき、どんな描写が得られのか楽しみだ。
海外は12月1日から出荷されるが、国内での発売予定は未定で、来春になる模様。価格は海外では4,000ユーロくらいと発表されているが、国内の発売価格は未定。おそらく日本円で70~80万円程度になると思われる。
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デジタルモジュールRに付属する専用フォーカシングスクリーン。専用ピンセットを使用しマウント側から自分で交換する。CCDサイズに合わせたフレームが入っている
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CCDサイズは26.4mm×17.6mm、35mmに画角を換算するには焦点距離を1.37倍すれば良い。センサーはKodak製で、Imaconの技術を導入
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このデジタルバックは、アンチエイリアスフィルターを装備していないが、その代わりにソフトウェアで、モアレを防ぐ機構になっている。このソフトウェアは任意にオン/オフが可能。さらにセンサーの表面には高硬度のコーティングが施され、通常のレンズと同じように拭くことができるという
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デジタルバックと専用カバー。裏蓋を開けたときは、ゴミの付着を防ぐためすぐにダストカバーを取り付けなければならない
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カメラにデジタルバックを取り付け裏蓋を開いた状態。バックをカメラ本体から取り外しやすいよう、ダストカバーには着脱レバー(左側の赤い部材)が取り付けられている
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スイッチをオンにしたときの起動画面。液晶パネルにLeicaの名大きなロゴが現れる
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メニュー画面には日本語表示も用意されている
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日本語メニューの例
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ホワイトバランスやISO感度など撮影中に切り換える頻度が高い項目は、液晶パネル部のパネルとダイヤルで切り換える
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撮影した画像をプレビューした状態。パネルは1.8型で画素数は130,338ピクセル
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パワーユニットと専用電池。パワーユニットはグリップと一体型で、カメラ本体のシャッターをチャージするためモーターを内蔵。機械式カプラーを備えている。専用電池は7.4V、1,800mAhのリチウムイオン
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専用バッテリーチャージャー。プラグは交換式だ。
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【Leica デジタルモジュールR テクニカルデータ】
型式 | ライカ R8/R9と完全互換 裏蓋との交換が簡単なデジタルモジュール |
レンズ | すべてのライカRレンズと、Rカム改造されている初期のライカフレックス/SL/SL2レンズが使用可能 |
撮像素子 | 3,872×2,576画素(1.000万画素)CCDセンサー 素子サイズ26.4mm×17.6mm 5mm換算画角ファクター1.37倍 |
ISO感度 | ISO100~ISO1600 |
メモリーカード | SDカード(最大2GB) ファームウェアのアップグレードによって容量アップ |
ファイル形式 | RAW、TIFF、JPEG圧縮レベル×2 |
カラーマネジメント | AdobeRGB、sRGB |
記録画素数 | 3,872×2,576 2,576×1,712 1,936×1,280 |
モノクロディスプレイ | 1,280×848画素 表示内容:イメージカウンター、露出補正、バッテリーレベル、セルフタイマー、圧縮率、記録画素数、モアレフィルターon/off、ホワイトバランス |
カラーモニター | 1.8型カラー液晶モニター、130,338画素 |
メニュー | シャープネス、彩度、コントラスト、ファイル番号、モニターのコントラスト、モニターの明るさ、オートレビュー時間、ヒストグラムon/off、電源オプション、メモリーカードのフォーマット、警告、オーディオ・ヒストグラムon/off、日付、時刻、ユーザープロフィール、ファームウェアの更新、リセット |
メニュー言語 | ドイツ語、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、日本語、オランダ語 |
機能表示 | モノクロディスプレイ、各種設定を表示 |
インターフェース | IEEE 1394(FireWire) |
電源 | 充電式リチウムイオンバッテリー、7.4V、1800mAh バッテリーチャージャーの電源00-240V、50/60Hz |
シャッターチャージ | sパワーユニット内蔵のモーターを使用 |
カラーデプス | 16bit |
ファイルサイズ | RAW:約20MB TIFF:30/60MB |
ソフトウェア | FlexColor for Leica DMR(Mac/Win) Adobe Photoshop Elements 2(Mac/Win) ACDSee PowerPack 6(Win) |
最長シャッタースピード | 16秒 |
連続撮影 | 2コマ/秒、最大10コマ |
付属品 | 本体、パワーユニット、バッテリー、カーアダプター付きバッテリーチャージャー、FireWireケーブル、CCDカバー、デジタル・モジュール用ケース、256MB SDカード、ソフトウェア、画角フレーム入りフォーカシングスクリーン |
■ Leica アラカルト
このシステムはLeica MP/M7の外観デザイン、ファインダーなどの仕様を自分でチョイスし、世界で一台しかないオリジナルのカメラを作り上げるシステムだ。
べースとなるボディはライカMPとM7。最初にどちらかのボディを選び、次いで上カバーの形状、仕上げ方法、刻印。さらに巻き上げレバーや巻き戻しクランクなど外観部品のほか、ファインダー倍率やフレームの表示、革張りなどを指定。計算上状の組み合わせは全部で4,000通り以上になるという。
海外では11月から、国内では準備が整い次第受け付けを開始する予定。選んだ内容によって異なるが、値段はおよそ50~70万円くらいになるとのこと。なおLeicaのウェブサイトでは、さまざまな組み合わせをシミュレーション体験できるページがすでに公開されている。
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細部の形状、革張りなどを選ぶための見本帳と商品
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上カバーの形状や仕上げ方法のほか、巻き上げレバーや巻き戻しクランクの形状、刻印など、自分の好きな組み合わせを選ぶことができる
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■ Leica M型50周年記念モデル
M型Leica誕生50周年記念を記念しLeica M7の上下カバーをムクのチタン材に変更した限定モデルだ。ボディ本体だけでなくレンズの鏡筒にもチタンが惜しみなく使われている。ズミルックス50mmF1.4付きが1,449,000円(税込み)。28、50、90mmレンズが付いたセットが2,898,000円。製造台数は50mm付きが500セット。レンズ3本付きが50セットだ。
またこのセットにはLeica アカデミーの校長であるギュンター・オスターロー氏の著した「50Years Leica M」がセットされる。この本では、これまであまり取り上げられることのなかったM型Leica 誕生秘話を余すところなく披露。Leica の歴史資料として非常に高い価値を持っている。
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Leica M7チタン、ズミルックス50mmF1.4付きセット
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外装部品はすべてムクのチタン製。もちろんベースプレートもチタン製だ。通常のボディに比べ約80g軽い
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Leica M型50周年記念モデルにセットされる「50Years Leica M」。Photokina会場では、本だけが販売されていたが、今のところ国内での発売予定はない
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M型Leicaの生みの親であるウィーリー・ステイン氏(左)とMマウントレンズの設計者、ヒューゴ・ベーレンフェニック氏
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Leica M6のプロトタイプ
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工場におけるM型Leicaの組み立て風景
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■ Leica オスカー・バルナック エディション
Leica0型Leicaの生みの親であるオスカー・バルナック氏の生誕125年を記念したモデル。2000年に発売された0型をベースに、ファインダーをニュートン式からガリレオ式透視ファインダーに変更。ボディ背面にオスカー・バルナックの肖像を刻印したプレートが貼られている。
バルナックの撮影した映画を納めたDVDとブックレット、バルナックの撮影したネガからプリントされたオリジナルプリントがセットで販売される。1,000セットの限定発売。一般の小売店ではなく、ソニーファミリークラブ( http;//www.sonyfamiiyciub.co.jp/ )を通じて販売される。値段は42万円。現在予約受け付け中で、11月より出荷開始予定。
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オスカー・バルナック エディション。ファインダーが逆ガリレオ式に変更され、使いやすくなった
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ボディ背面にはバルナックの肖像を刻印したプレートが貼られている
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プリントの絵柄は全部で10種類(ここに写っているのは5種類)。すべてオスカー・バルナックが撮影した作品である。各100枚がプリントされ、すべてに限定番号が明記される。なおセットには、この中から1枚が同梱されるが、残念ながらプリントの絵柄を選ぶことはできない
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オリジナルのネガからプリントされたことを示す証明書。Leicaの現社長と次期社長の直筆サインが入っている。なおこの証明証には、Leicaの引伸機フォコマートV35を使ってプリントされたことが書かれている
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セットに同梱されるブックレット。日本語、英語、ドイツ語の3カ国語で書かれている。このほかオスカー・バルナックが自ら設計した35mm映画カメラで撮影した未発表映画を納めたDVDも付属する
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■ Leicaミニルックスズーム
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優れた描写性能を誇るバリオ・エルマー35~70mmF3.5~6.5を搭載。外装は高級感あふれるチタン製だ
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35~70mmのズームレンズを搭載した高級コンパクトカメラ。従来単焦点レンズが装着されていたモデルをズームレンズ付きに変更したものだ。AFコンパクトカメラでありながら、独自のマニュアルコントロール(フォーカスエイド)機構により、レンジファインダー機のような使い方ができる。155,400円で11月発売予定。
■ URL
Leica Camera
http://www.leica-camera.com/
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( 中村文夫 )
2004/10/12 22:58
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