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日本サムスン、30型ワイドなど超Adobe RGBディスプレイ3機種


 日本サムスンは18日、超Adobe RGBディスプレイ「SyncMaster XL30」(30型ワイド)、「同XL24」(24.1型ワイド)、「同XL20 PLUS」(20.1型)を発表した。価格はいずれもオープンプライス。発売時期と店頭予想価格はそれぞれ、XL30が4月末で45万8,000円前後、XL24が3月末で24万8,000円前後、XL20 PLUSが4月末で15万8,000円前後の見込み。


SyncMaster XL30 SyncMaster XL24

SyncMaster XL20 PLUS
 いずれも、LEDバックライトを採用することでAdobe RGBを超える色域を実現したディスプレイ。ハードウェアキャリブレーションに対応するほか、全モデルに専用測色機が付属する。いずれもLUT(ルックアップテーブル)は14bit。新たに、S-PVAパネルを採用した。S-PVAは、液晶セル構造を8つのドメインにし、液晶分子8個をすべて違う方向と角度に制御し、視認性を向上するもの。コントラスト低下や、色度の変位が低減できるとしている。

 いずれのモデルにも、独自のキャリブレーションソフト「Natural Color Expert」が付属する。キャリブレーションモードで測定し、ICCプロファイルを作成できるほか、ほかのディスプレイのICCプロファイルを読み込むことでシミュレーションが可能な、エミュレーションモードも搭載する。また、外光を防ぐアルミ製遮光フードを全モデルで標準装備する。内部にフェルトを貼ることで、内面反射も低減した。

 対応ビデオカードについては、流通している製品を広く検証したという。また、新製品のビデオカードが出た場合には、Natural Color Expertのアップデートで対応していく。


SyncMaster XL30と同XL24に付属する測色機 SyncMaster XL20 PLUSに付属する測色機

SyncMaster XL30

 最大解像度2,560×1,600ドット(WQXGA)に対応する30型ワイドのディスプレイ。Adobe RGB比123%の色域を実現した。キャリブレーション用に、X-Rite製のEye-One Display 2タイプの測色機が付属する。測色機はXL30専用にチューニングしたもので、市販のEye-One Display 2とは仕様が異なる。

 輝度は200cd/平方m。コントラスト比は1,000:1。視野角は水平、垂直とも178度。応答速度は6ms(中間階調)。入力端子は、デュアルリンク対応のDVI-D24ピン端子。またアップストリーム×1、ダウンストリーム×4のUSBポートも備える。スタンドは高さが80mm可変できるほか、前3度/後25度のチルト、左右45度のスイーベルが可能。スタンドを含む本体サイズは694×280×514mm(幅×奥行き×高さ、以下同)、重量は13.8kg。


SyncMaster XL24

 最大解像度1,920×1,200ドット(WUXGA)対応の24.1型ディスプレイ。Adobe RGB比123%を実現している。XL30と同様に、専用チューニングを施したEye-One Display 2タイプの測色機が付属する。

 輝度は250cd/平方m。コントラスト比は1,000:1。視野角は水平、垂直とも178度。応答速度は6ms(中間階調)。入力信号はアナログRGBとDVIデジタルリンクに対応。デジタル/アナログDIV-29ピンと、DVI-D24ピン端子を備える。アップストリーム×1、ダウンストリーム×4のUSBポートも搭載する。スタンドは高さが100mm可変できる。また、前3度/後25度のチルトと、左右175度のスイーベルが可能。スタンドを含む本体サイズは563×250×462mm、重量は10kg。


SyncMaster XL20PLUS

 2007年4月に発売したAdobe RGB対応20.1型ディスプレイ「SyncMaster XL20」の後継モデル。XL20からカラーフィルターの改良を行ない、表示ムラの低減を図った。また、XL20で600:1だったコントラスト比を1,000:1に高めた。

 最大解像度は1,600×1,200ドット(UXGA)。Adobe RGB比119%の色域を実現した。X-Rite製のXL20 PLUS専用Hueyタイプ測色機が付属する。

 輝度は250cd/平方m。視野角は水平、垂直ともに178度。応答速度は8ms(中間階調)。入力信号は、アナログRGBとDVIデジタルリンクに対応。DVI-I29ピン端子とDVI-D24ピン端子を備える。アップストリーム×1、ダウンストリーム×2のUSBポートも搭載する。スタンドは、高さ80~100mmの可変が可能。前15度/後5度のチルトと左右150度のスイーベルが可能。画面90度回転できるピボット機能も備える。スタンドを含む本体サイズは448×220×417mm、重量は7.6kg。


日本のユーザーの意見を反映した製品

日本サムスンDMAチームの金周一チーム長
 同日都内で行なわれた発表会で、日本サムスンDMAチームの金周一チーム長は、「ディスプレイは、サムスン電子の戦略的製品と位置づけている」と述べ、「本日発表の3製品はXL20の発売以降、日本のユーザーの意見を反映しながら改善した製品。供給量はタイトになることが予想されるが、サムスンとして日本でのディスプレイ事業には、強いコミットメントを持っている」と挨拶した。


日本サムスンDMAチームの宮田隆次長
 また、日本サムスンDMAチームの宮田隆次長は、「日本での売上の過半は半導体。コンシューマー向け製品は2007年秋から日本での販売を見合わせているが、唯一残っているのがディスプレイ」と現状を説明。また、「ディスプレイは、モジュール構成のため参入障壁が低いが、サムスンのLEDディスプレイは、垂直統合型。グループ内ですり合わせて開発したのが、今回の製品」と紹介した。宮田氏は「デジタル一眼レフカメラの市場が広がっており、PC用ディスプレイに求められる色再現性も変容している」と開発の背景を語った。また、XL20の販売を通じて、Adobe RGBより広い色域の必要性が明らかになったという。


サムスンのディスプレイ事業。2007年は2,200万台を販売し世界シェアナンバー1だった ディスプレイを、「サムスングループによる垂直統合製品」と説明

LEDバックライトは、ノートPCなどの白色LEDと異なり、RGBの光を出すLEDを採用する バックライトユニット前面にLEDを配置

広色域ディスプレイの採用例 水銀やハロゲンなどの有害物質を使用しない点もアピール

SyncMaster XLシリーズの色域は、Adobe RGBを上回っているのが分かる 階調を横軸に、エラーを縦軸に取ったグラフ。14bit LUTの採用で、低階調部分が正確に再現できる

電画代表取締役/電塾塾長/東京芸術大学美術学部非常勤講師の早川廣行氏
 続いて、電画代表取締役/電塾塾長/東京芸術大学美術学部非常勤講師の早川廣行氏が挨拶し、「写真家にとって、よくできたディスプレイが一番重要。それが不確かでは全く役に立たない」とディスプレの重要性を述べた。早川氏は、XLシリーズについて「冷陰極管バックライトのディスプレイに比べると、Adobe RGBという以前に正しい発色として見ることができる可能性が出たことは素晴らしい」と評価した。


社団法人日本印刷技術協会研究調査部長/JPC(日本パブリッシング協会)副理事長/電塾本部運営委員/MD研究会会長の郡司秀明氏
 また、社団法人日本印刷技術協会研究調査部長/JPC(日本パブリッシング協会)副理事長/電塾本部運営委員/MD研究会会長の郡司秀明氏は、「最初の(Adobe RGB対応)ディスプレイはいろいろ問題があったが、今回の製品は改善点が一目瞭然。性能的には数倍になったのではないか」と評した。「広色域印刷では、Adobe RGB対応ディスプレイでは色域が狭すぎる。シアン、エメラルドクリーン、赤などがでなかった。広色域印刷のためにはAdobe RGB比120%程度必要」と説明。「サムスンは素子から開発できる数少ないメーカー。骨太の技術を持っている」と締めくくった。


NTTデータヘルスケアシステム事業本部医療福祉事業部システム企画担当で工学博士の橋本勝氏
 発表会では、超Adobe RGBディスプレイが必要とされる例として、NTTデータヘルスケアシステム事業本部医療福祉事業部システム企画担当で工学博士の橋本勝氏が「6バンド画像による色再現」のデモを行なった。

 6バンド画像は、一般的な画像がRGBの3色で記録しているのに対し、RGBをそれぞれ2つに分けた6色で記録する方式。色情報がより正確になり、鮮やかな色を記録できるほか、白熱灯下で撮影し、太陽光下での色にするなどの照明光変換の精度も高まるという。

 6バンド画像は、Adobe RGBの色域を超えるため、Adobe RGBを超える色域を持つXL24などで表示が可能としている。


色情報を寄り正確に記録できる6バンド画像 6バンド画像(左)と3バンド画像の比較

3バンドと6バンドの色域の違い 被写体の色分布。Adobe RGBの外側にある

XL24では、6バンド画像の色域の一部をカバーできる 6バンド画像を撮影するには、デジタル一眼レフカメラに専用フィルターを取りつけ、フィルターの有りと無しの2回撮影した画像を、専用ソフトで合成する


URL
  日本サムスン
  http://www.samsung.com/jp/

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( 本誌:武石 修 )
2008/02/18 20:57
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