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アドビ、「Lightroom」β3の新機能を解説

~製品版の発売は2006年後半

 アドビシステムズは25日、写真家向けソフト「Lightroom」β3のマスコミ向け説明会を都内で実施した。Windows版公開に合わせたもので、現状の機能と今後のスケジュールについて、マーケティング本部プリントパブリッシング部フィールドマーケティングマネージャーの栃谷宗央氏が解説した。

 Lightroomは、プロ写真家をメインターゲットとしたソフトで、米Adobeが1月9日にMacintosh版パブリックβを無償公開。その後、6月12日に現在のβ3を公開し、7月18日からはWindows版がダウンロード可能になっている。試用期限はMac、Windowsともに2007年1月30日。


Windows版Lightroomβ3 マーケティング本部プリントパブリッシング部フィールドマーケティングマネージャーの栃谷宗央氏

 これまでのダウンロード数は145,000件(Mac版のみカウント)。Windows版の事前登録者数は5万人以上におよぶ。また、オンラインフォーラム(米国サイト)では、プロ写真家を含めた3,000名が活発な議論を繰り広げているという。現在、一般フォーラム、バグレポートフォーラム、機能リクエストフォーラムの3つが稼働中。

 Windows版の公開に合わせ、アドビシステムズではPhotoshop CS2特別サイトを21日にリニューアルし、その中にLightroom専用のページを設けた。日本語での情報の少なさを補うためで、ページではLightroomの主要機能について、一通りの解説を読むことができる。また、アドビが配信する「Photoshopニュースレター」においても、Lightroomに関する情報を発信するという。

 栃谷氏のデモは、基本機能からβ3独自の新機能にわたった。まず、同氏は必要システム構成を述べた。「インストールしたが動かない」といった質問は、特にMacユーザーから多い。具体的な要件は、プロセッサがG4/G5/Intel Core Duo、メモリ768MB以上(1GB以上を推奨)、Mac OS X 10.4.3というもの。一方、Windows版はPentium 4、メモリ768MB以上(1GB以上を推奨)となっている。

 インターフェイスはかなり独自なスタイルで、「Library」、「Develop」、「Slideshow」、「Print」、「Web」の各モジュールを行き来することで、取り込み、管理、RAW現像、スライドショー表示、プリント出力までを行なう。合成や範囲選択を伴う補正は基本的に不可能で、それらはPhotoshop CS2で行なうことを前提としている。栃谷氏は「Lightroomは単体で完結するソフトではなく、Photoshop CS2を補完するもの」と強調した。

 モジュールごとに設けられているのが、「左パネル」、「作業エリア」、「右パネル」、「フィルムストリップ」。このうち、左右のパネルはモジュールによって機能が異なる。基本的には左がテンプレート、右が詳細な設定および表示となる。これらはTabキーで表示/非表示が可能。

 画像はいったんLightroomに取り込む必要がある。記録メディアやHDD内のフォルダから取り込みが可能。取り込んだ画像にキーワードやレーティング情報を付加し、絞り込みを行なうこともできる。Adobe Bridgeと基本的には同じ機能だが、キーワード以外のメタデータを使った検索(例えばExif内の機種名など)には、現時点で対応していない。


Developモードで補正前後の比較が可能になった 補正前後をつないで拡大できる

 Libraryモジュールでは、サムネイル表示の「Grid」、単体表示の「Loupe」、複数画像の比較を行なう「Compair」の3通りの表示方式を利用できる。Compairで追加や削除動作を行なうと、数枚の画像が滑らかに動く。栃谷氏は「Windowsのソフトでこうした表現は初めてではないか」とした。

 β3での新機能は、まずPreferences(環境設定)内のImportタブに、「Enable Auto-Import」というチェックがついたこと。これまでは画像のインポートを手動で行なっていたが、チェックを入れると、自動的に指定フォルダの画像をインポートするようになる。その際、ファイル名や付与するメタデータを設定できる。なお、インポートできるファイルはRAW、PSD、JPEG、TIFF。

 また、Libraryモジュールの「Library Filters」では、前述のキーワードやレーティングによる絞り込みが行なえる。β3からは、レーティングの絞り込み時に、レーティングの数値そのものに加え、「and higher」、「and lower」、「only」を指定できるようになった。

 LibraryモジュールのLoupeモードでは、ワンクリックでクリックした箇所を等倍表示する。初代β版からある機能だが、β3では等倍だけでなく、最大400倍までの拡大が可能になった。設定は右上のナビゲーションウインドウで行なえる。

 Libraryモジュールで選択した画像を現像するのがDevelopモジュール。左パネルが現像パラメータのテンプレート、右パネルが詳細設定項目。β3になって左パネルに追加されたのが「History」機能で、Photoshopのヒストリー機能同様、ユーザーが行なった操作が並ぶ。Developモジュール右下のResetボタンで設定をリセットできるが、リセットしてもHistoryの情報は保持される。


画像側を傾向けるAngle機能
 RAW現像エンジンはCamera RAW 3.4と同等。現在、120種類以上のRAWデータに対応している。また、β2からトリミングと回転機能が加わった。回転は画像そのものを傾ける変わった方式。β3からは、マウスドラッグ(Macではコマンドキー同時押し)で引いた水平あるいは垂直の線に合わせて傾きを補正するPhotoshopと同じ方式も利用可能になった。またExport時に、dpiでの解像度指定に対応した。

 β3でのハイライトは、Developモードでの「Befor After」表示。現像指定の前と後の画像を並べて比較するモードで、任意の箇所をクリックすると、その場所を2画面同時で等倍表示する。このとき「Split Screen」にチェックを入れれば、拡大したまま同時にスクロールが可能となる。

 そのほか、Mac版のβ3のみ搭載する機能としては、撮影者の名前や版権などをプリントやスライドショーに表示する「アイデンティファイプレート」、Lキーを押すことで画像以外のコンポーネントを段階を追って暗くできる「Light out」、HTMLやFlash出力などを行なう「Webモジュール」など。また、スライドショーをBGM(itunesと連携)付きで再生する機能、画像内のGPSデータをクリックすると、Googleマップでロケーションを表示する機能もMac版のみとなる。

 現在Photoshop CS2には、画像セレクトや検索用のソフト「Adobe Bridge」が付属する。Lightroomと重複する機能が多いものの、栃谷氏によると「LightroomとAdobe Bridgeとの融合は今の所未知数」という。現在のところ、現像はCamera RAW 3.4で同等ながら、検索については、メタデータ内を全文検索できるBridgeの方が強力だ。

 なお、Lightroom製品版の発売時期は、Windows版およびMacintosh版とも2006年後半となっている。ただしこれらは英語版で、日本語版の発売時期や価格は未定。今後のフォーラムでの意見によっては、試用や機能もβ3とは異なるものになる可能性がある。特に「Compair画面での複数画像の同時拡大」には、フォーラムなどで強い要望が寄せられているという。



URL
  アドビ
  http://www.adobe.com/jp/
  Photoshop CS2特別サイト(Lightroom情報など)
  http://www.adobe.com/jp/products/photoshop/pscs2new/
  ダウンロードページ(英文)
  http://labs.adobe.com/technologies/lightroom/

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( 本誌:折本 幸治 )
2006/07/25 20:02
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