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日本HP、秋冬向けプリンタ新製品発表会を開催

~新プリントエンジン「SPT」でシェア10%越えを狙う

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は28日、同日発売した2005年秋冬商戦向けインクジェットプリンタの新製品発表会を、都内で開催した。

 発表会では今期新製品から搭載された新プリントエンジン「HP Scalable Printing Technology」(HPスケーラブル・プリンティング・テクノロジー、以下、SPT)の詳細と、日本市場におけるマーケティング戦略が説明された。


開発費1,500億円、開発期間5年のSPT

前田悦也マーケティング本部長
 同社イメージング・プリンティング事業統括の前田悦也マーケティング本部長は、「1,500億円の費用と5年の歳月をかけた」というSPTの概要を「スケーラブル(拡張性のある)」という言葉で説明した。

 これまで同社では家庭向け、スモールビジネス、エンタープライズ、プリントサービス、グラフィックス、産業印刷の各分野のニーズに特化したヘッドを開発してきたが、SPTは1つのヘッドのアーキテクチャでこれらの全分野をカバーする。これにより開発期間を短縮し、開発/製造などのトータルコストを削減でき、低価格な製品を提供することが可能になった。

 また、SPTの家庭向けプリンタにおけるメリットとして「L判12秒/枚の高速プリント」、「無駄のないインクシステム」、「優れたプリント品質」をあげた。

 高速プリントは、1色あたり合計3,900ノズル、1インチあたり1,200ノズルの高密度多ノズルと、毎秒1億4千発のインク噴射により実現。過去20年間に、同社製インクジェットプリンタのパフォーマンスは18カ月ごとに倍増したとし、これを「インクジェット版“ムーアの法則”」として紹介した。

 無駄のないインクシステムとしては「アクティブ・エアー・マネージメント」を紹介。ヘッド内の気泡除去時に、これまでは気泡とともにインクを捨ててきたが、アクティブ・エアー・マネージメントでは、インクを捨てずに回収する。また、ブレードによるヘッドクリーニングなど、ヘッドのクリーニングを減らす仕組みも備える。

 プリント品質の向上は、同社独自の新開発Viveraインクと、用紙で実現したとした。

 このほか、中小/中堅企業におけるSPTのメリットとして、導入コストとランニングコストが安く経済性が高いこと、高速の大量印刷が可能なこと、品質と保存性が高いことをあげた。


1つのヘッドでさまざまな分野に対応 SPTの3つのメリット

従来は気泡除去時にインクも捨てていた
SPTではインクを回収する

SPTが今後10年を支える

小田晋吾 代表取締役社長
 小田晋吾 代表取締役社長は、HPのインクジェットプリンタのシェアが、世界市場では40%に及ぶのに対し、日本市場では10%を切っている現状を鑑み、「日本市場におけるインクジェットプリンタの強化が我々の至上命題」とした。

 そのために、「日本市場で受け入れられた製品は世界で通用する」という発想のもと、日本人スタッフを開発拠点に常駐させ、製品開発に深くかかわってきたとした。SPTはその成果で、「今後10年を支える技術」とした。


世界シェアは4割だが、日本市場では1割以下
HPは21年間で3億7千万台のプリンタを販売、過去4四半期のビジネス規模は約2.7兆円

高速プリントをデモ

SPTのヘッドを持つ黒沼進治氏
 同社 製品企画担当の黒沼進治氏は「解像度やインク滴サイズでプリンタを選ぶ時代は終わった」と述べ、同社独自の画像自動補正技術「Real Lifeテクノロジー」や、用紙のバーコードによってプリンタを最適に設定する技術による、高品質なプリントをアピールした。

 また、インクカートリッジとヘッドを分離し、ホースで繋いだSPTのメカニズムを解説。インクカートリッジは、誤った位置に挿せないように、各色に違った形の切り欠きを付けるなどの工夫がされていることを紹介した。

 さらに、高速プリントをデモンストレーションし、実際にL判の写真を12秒以内でプリントする様子を見せた。


SPTのハードウェア。左下が6色独立インクタンクで、右上のヘッドにホースでつながる。動くのはヘッドのみ
SPTの様子がわかるストリップダウンモデル。インクタンクはメンテナンス性を考慮して前面に置かれる
インクタンクの上の黒いヘッドのみが動く。ポンプは写真手前の白い部分

各インクタンクには各色固有の切り欠きが設けられ、誤挿入を防ぐ
HP製インクジェットプリンタのラインナップ。SPT搭載機は「頻繁にプリントするユーザー向け」との位置づけ
HDDを搭載したコンパクトフォトプリンタ「Photosmart 475」はTVに画像を出力することができる

HPは価格競争力で勝負

 同社の滝澤敦 執行役員は、日本国内における販売戦略を説明。同社のPCやサーバ、低価格インクジェット複合機「PSC1510」などで実績のある「eコマースモデル」を強化することで、迅速な納品と、従来に比べ2~3割安い価格を実現するとした。

 eコマースモデルでは、同社直販サイトのほか、Amazonなどのeコマースサイトとのパートナーシップも活用し、eコマース販売でのトップシェアを狙う。量販店などの店頭販売も「パートナーダイレクト」として維持するが、販売応援などは大幅に削減。タレントなどを起用した大掛かりな広告宣伝を行なわないことと併せ、浮いたコストを価格に反映し、エンドユーザーに還元する方針をとる。

 なお本年のシェア目標は昨年比2倍の15%としている。


滝澤敦 執行役員 eコマースモデルは順調に成長してきた


URL
  日本HP
  http://welcome.hp.com/country/jp/ja/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2005/fy05-178.html

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( 本誌:田中 真一郎 )
2005/09/28 16:03
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