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キヤノン「RF1200mm/800mm」「RF5.2mm DUAL FISHEYE」など最新RFレンズ7本

近年の超望遠レンズに見る設計トレンドとは?

RF1200mm(約3,340g)をEOS R3に装着して構えたところ。超望遠レンズを扱った経験はないが、手ブレ補正との組み合わせにより、手持ちでもある程度のフレーミングを保っていられる重さだった

キヤノンが5月下旬に発売する「RF1200mm F8 L IS USM」「RF800mm F5.6 L IS USM」をはじめ、2021年発売の製品など7本のRFレンズを手に取る機会があったため、外観写真をお届けする。

RFレンズ最長の1200mmが登場。軽量化した800mmも

RF1200mm F8 L IS USM

手持ちも可能な3kg台という重量を特徴とする、2本のRF超望遠レンズが登場。「RF800mm F5.6 L IS USM」(税込226万6,000円)と、EOS Rシリーズ用RFレンズで最長となる「RF1200mm F8 L IS USM」(税込266万2,000円)が5月下旬に発売される。

2本はいずれも、同社の交換レンズ開発担当者が“もはや完成型”と自信を見せる一眼レフカメラ用の「EF400mm F2.8L IS III USM」と「EF600mm F4L IS III USM」で採用された光学系をベースに、それぞれに最適化した拡大光学系を加えているのが特徴。発売済みのRF400mm F2.8 L IS USM(約166万円)とRF600mm F4 L IS USM(約181万円)も、これらの光学系を受け継いでいる。

2本とも200万円を超える価格だが、ベースとなった2本のレンズも元々高価。さらに別売のエクステンダーRF1.4x/RF2xも装着できるため、より長焦点を求めるケースであれば、特にRF1200mmは純正AFレンズとして現状唯一の選択肢となる。キヤノンによると、例えば土木構造物の検査においてドローン撮影では画質が物足りないケースのほか、空港・港湾での監視といった用途も想定しているという。

1200mmといえば、EFレンズで唯一の受注生産だったという「EF1200mm F5.6L USM」(1993年発売)がかつて存在した。発売当時、一眼レフカメラ用AFレンズとしては世界最長の焦点距離を誇っていた製品で、位相差AFセンサーのF5.6光束検出に対応する開放F5.6となっている。価格は980万円だった。

EF1200mm F5.6L USM
レンズ単体の重量は16.5kg。大きなハンドル部分を両手で掴み、腰をかばいながら持ち上げる必要があった

現在のミラーレスカメラではRF1200mmの開放F8どころか、さらに2倍のエクステンダーを装着して開放F16となってもAFや手ブレ補正が動作するとのことで、カメラのデバイス面での技術進化も強く感じられる部分だろう。

RF1200mm(左)とEF1200mm(右)。約13kgの重量差、約30年の時代差がある

RF800mm F5.6 L IS USM(約3,140g)は、一眼レフ用の「EF800mm F5.6L IS USM」(約4,500g)と比べて約1.3kg軽量になっている。あくまで筆者個人の体感だが、片手でしっかり掴める重さと、両手で支えたくなる重さとして、数値以上の差を感じた。

各社が近年のミラーレスカメラ用超望遠レンズに取り入れている工夫として、なるべくレンズ配置を後部(カメラ側)に寄せることで、各レンズの径が小さくなり、結果としてレンズ全体の重量が軽くなり、撮影時の重量バランスにも優れるという設計がある。本レンズもそれに通じており、レンズの操作パネル付近(中央部より少し後ろ、鏡筒が少し細くなる部分)を掴めば、三脚座でなく鏡筒を持っても(オススメはしないが)片手で安定して持ち上げることができた。

上:EF800mm F5.6L IS USM
下:RF800mm F5.6 L IS USM
RF800mm F5.6 LとEF800mm F5.6Lのレンズ構成図。レンズを後ろ寄りに配置して軽量化と重量バランスの向上を狙うのは、近年の各社超望遠レンズに見られる傾向

なおRFレンズには、特に小型軽量で、かつそれぞれ10万円前後で買える「RF800mm F11 IS STM」「RF600mm F11 IS STM」も用意されている。超望遠の同一焦点距離に複数のレンズをラインナップしてきたところには、2018年10月に発売となったEOS Rシステムも着実に充実してきているなと感じさせられる。

そのほか最新RFレンズの外観

ほかにも2021年発売の新顔RFレンズが展示されていたため、外観写真をお届けする。なお、以下のレンズについては“通常よりも納期にお時間を頂戴する場合があります”とキヤノンのWebサイトに掲載されており、「RF14-35mm F4 L IS USM」に関しては“新たにご注文いただく際は、お届けまでに半年以上かかる場合があります”と案内している(2022年3月2日現在)。

・RF16mm F2.8 STM
・RF400mm F2.8 L IS USM
・RF800mm F5.6 L IS USM
・RF1200mm F8 L IS USM
・RF14-35mm F4 L IS USM

RF14-35mm F4 L IS USM

一眼レフ用の「EF16-35mm F4L IS USM」よりワイド側を2mm拡大しながら、重量と全長を抑えた点が特徴の広角ズームレンズ。2021年9月発売、直販価格は税込23万6,500円。

RF100mm F2.8 L MACRO IS USM

球面収差をコントロールしてボケ描写を変化させる「SAコントロールリング」の搭載と、最大撮影倍率を1.4倍(最短撮影距離0.26m)に高めた点が特徴のマクロレンズ。滑らかなフォーカス駆動により動画撮影にも対応するという。2021年7月発売、直販価格は税込18万1,500円。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM

近年人気の高い“100-400mm”クラスにおいて、全長約164.7mm・重量約635gの小型軽量さと、10万円を切る手頃な価格帯を特徴とする製品。1.4倍/2倍のエクステンダー装着も可能。発売は2021年10月、直販価格は税込9万500円。

RF16mm F2.8 STM

別売フードを装着したところ

焦点距離16mmの超広角域ながら、ミラーレスカメラ用の光学設計で小型軽量に仕上げられた単焦点レンズ。サイズ感は「RF50mm F1.8 STM」と同等だという。最短撮影距離の短さ(0.13m)を活かしたボケ表現も可能としている。発売は2021年10月、直販価格は税込4万1,800円。

RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE

EOS R5もしくはEOS R5 Cに装着することで、180度のVR撮影を可能にするステレオ魚眼レンズ。単一のCMOSセンサーでステレオ撮影を行うため、映像の左右同期やスティッチが不要となりワークフローを短縮できるのが特徴。2021年12月発売、直販価格は税込27万5,000円。

【外観レポ】5月発売・RF1200mm/800mmの軽さを体感。キヤノンで最新RFレンズを触ってきた 幻の受注生産品「EF1200mm F5.6L USM」も登場(3分12秒)
【外観レポ】見た目も強い「RF5.2mm F2.8 L デュアルフィッシュアイ」 キヤノンEOS R5で180度VR撮影できるステレオ魚眼レンズ(1分13秒)
本誌:鈴木誠