新製品レビュー

PENTAX K-1 Mark II(実写編)

強化されたリアル・レゾリューション・システムや高感度画質をチェック!

PENTAX K-1 Mark IIは35mmフルサイズセンサーを搭載した一眼レフカメラだ。2016年に発売されたPENTAX K-1の後継機であり、外観デザインと基本仕様を受け継ぎながら、撮影機能をいっそう強化している。

注目は、独自技術「リアル・レゾリューション・システム」が進化し、手持ち撮影に対応したこと。また、高感度画質の改善やAFの強化も図っている。前回お伝えした外観・機能編に続き、今回は実写編をお伝えしよう。

リアル・レゾリューション・システムII

まずは通常モードで撮影。有効3,640万画素の高画素ということもあり、遠景の細かい部分までくっきりと再現できている。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/125秒 / F11 / 0EV / ISO 100 / 絞り優先AE / 28mm
等倍で切り出したもの

続いて、同じシーンをリアル・レゾリューション・システムIIで撮影した。リアル・レゾリューション・システムIIには「動体補正オン」「動体補正オフ」「手ぶれ補正オン」という3モードが用意されているが、ここでは新機能である「手ぶれ補正オン」を選んだ。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/125秒 / F11 / 0EV / ISO 100 / 絞り優先AE / 28mm
等倍で切り出したもの

この「手ぶれ補正オン」モードは、ほかの2つのモードとは異なり、三脚を使わず手持ちで高解像の効果が得られることが特長だ。合成処理に20秒強の待ち時間が生じるため、撮影のテンポは落ちる。ただ、焦らずのんびり待てば、通常撮影よりもワンランク上の細部描写が味わえる。

「手ぶれ補正オン」は、既存の「動体補正オン」や「動体補正オフ」に比べると効果は弱いが、通常撮影よりは明らかに細部表現力が高まっている。画面下部の風で揺れる木の部分については、「動体補正オン」や「動体補正オフ」よりも「手ぶれ補正オン」のほうがより自然な描写になる。

高感度

青い薄暮の空をバックにして、鉄塔と送電線が作り出す街中の造形美を捉えた。感度はISO4000を選択。拡大表示にしても暗部ノイズは目立たず、彩度やシャープネスの低下もほとんど気にならない。個人的には、さらに上のISO6400くらいまでは十分に実用的だと感じる。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/8秒 / F5.6 / 0EV / ISO 4000 / 絞り優先AE / 34mm

キットレンズ

レンズキットに付属する「HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR」は、幅広い焦点距離をカバーする利便性の高いレンズ。ブラブラと歩きながら目に留まったものを気軽にスナップする用途にもうってつけだ。

ここではズームの中間位置を使用して、見えない部分を想像させるようなフレーミングを選択した。ピントを合わせた部分はシャープに解像し、スニーカーの縫い目や布、木などの質感をリアルに表現できている。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/160秒 / F5.6 / +1EV / ISO 250 / マニュアル露出 / 58mm

AF

キットレンズの望遠側を使用し、ボケのあるポートレートに挑戦。特に明るいレンズではないが、背景の木々は滑らかにぼけて人物のみを際立たせることができた。

使用感としては、逆光ながら位相差検出AFがスムーズに作動したことや、光学ファインダーを通して表情をはっきりと確認しながら撮影できたことがありがたく感じる。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/500秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO 1000 / シャッター優先AE / 105mm

連写

1/1,000秒の高速シャッターを使用し、ランナーの動きを写し止めた。ドライブモードは高速連写に設定。5カットを撮り、最もバランスのいい1枚を採用した。フルサイズで最高約4.4コマ/秒という速度スピードは特に速いとはいえないが、こうしたスナップ用途ではしっかりと役立ってくれる。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/1,000秒 / F4 / 0EV / ISO 160 / シャッター優先AE / 40mm

フレキシブルチルト式モニター

前モデルから継承したフレキシブルチルト液晶を生かし、ローポジション&ローアングルから撮影。近景に植物を写し込むことで、無機質な眺めに色彩感と奥行きを与えた。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO 100 / 絞り優先AE / 28mm

アウトドアモニター

路上のパターンとそこに重なる影に着目し、ライブビューを使ってハイアングルから撮影。アウトドアモニター機能をプラスに設定することで、晴天屋外にもかかわらず明るく鮮明な画面を見ながら、きっちりと狙いどおりのフレーミングができた。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/800秒 / F5 / 0EV / ISO 100 / シャッター優先AE / 58mm

カスタムイメージ

これまでのペンタックス製品と同じく、発色傾向を切り替える機能としてカスタムイメージを搭載。「鮮やか」や「ナチュラル」「ほのか」など13種類が用意されている。

中でも、個人的なお気に入りは、肌色をややピンクがかった色で再現できる「人物」だ。下の写真では、カスタムイメージの「人物」を選ぶことで、薄暗い室内ながら健康的な色を引き出すことができた。

カメラを縦に構えてもローアングル撮影がしやすいフレキシブルチルト液晶を活用したこともポイントだ。レンズに足が当たるくらいの、大胆な構図で被写体に迫っている。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/200秒 / F7 / 0EV / ISO 400 / マニュアル露出 / 28mm

ストロボ撮影

モードダイヤル上でひときわ目立つ、赤文字で「X」と記されたフラッシュ同調速度モードで撮影。かつては他社にもあったが、最近ではペンタックス製品以外ではほとんど見かけなくなった希少な撮影モードだ。XとはX接点のこと。

このモードを選ぶと、シャッター速度をシンクロ同調速度の1/200秒に素早く固定でき、さらにライブビューの露出反映をオフにできる。外部ストロボ使用時に役立つモードである。

ここでは、絞りを絞り込んだ上で、外部ストロボを斜め上からあてることで、周辺を暗く落としてアンスリウムの色と形を引き立たせた。

PENTAX K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / 1/200秒 / F16 / 0EV / ISO 100 / マニュアル露出 / 95mm

動画

フルHDの動画モードを使って船からの眺めを捉えた。動画では、センサーシフト方式の手ブレ補正はオフになり、電子式の手ブレ補正が利用可能になる。防塵防滴ボディ&防滴レンズなので、水しぶきを気にせず撮影できる点も助かった。

まとめ

リアル・レゾリューション・システムIIの「手ぶれ補正オン」は、手持ち撮影での揺れの度合いなど、撮影条件によっては大きな効果が得られないケースも見られた。一方で、うまくはまったときには効果はてきめん。風景や静物をより高精細に記録したいときに活躍してくれる。

向上した高感度画質については、撮影領域を広げる進化として歓迎したい。高感度にボディ内手ブレ補正を組み合わせることで、夜のスナップがいっそうはかどる。

AFについては、位相差AF/コントラストAFともに他社との比較ではまだ見劣りするものの、そのクセをつかめばストレスなく撮影が楽しめる。スポーツ撮影用には厳しいが、豊かな発色と柔軟性の高いボディを生かし、スナップやポートレート、ネイチャーフォトなどを撮るには好適だ。撮り手を選ぶ、使いこなし甲斐のあるカメラといっていい。

永山昌克

フリーランスのフォトグラファー。趣味は文房具の収集と雑貨屋めぐり。好きな被写体は子ども。4月発売の書籍「手帳をもっと楽しく! DIY BOOK」(MdN)では撮影を担当。手帳カスタマイズの魅力を伝える文具マニア必見の書です。