新製品レビュー

Xperia XZ1

「Exmor RS」や「BIONZ」などソニーらしくカメラにこだわった1台

1,920万画素の積層型CMOSセンサーを搭載したAndroidスマートフォン「Xperia XZ1」が登場した。

被写体の動きを検知すると自動的に複数のショットを保存して、シャッターを切った瞬間とその直前の写真最大4枚を記録、ベストなシーンを逃しにくい「先読み撮影」機能を搭載。

また防水性能(IPX5/IPX8)を備えるなど、デジタルカメラのパートナーとして頼もしい端末になっている。

CPU:MSM8998/2.45GHz×4コア+1.9GHz×4コア
RAM:4GB
ROM:64GB
メモリーカードスロット:microSDXC(最大256GB)
ディスプレイ:1,920×1,080ドット 約5.2インチ
バッテリー容量:2,700mAh
OS:Android 8.0
重量:約156g

サイズとデザイン

Xperia XZ1は持った瞬間に「薄い!」と感じる。メタル素材に覆われたボディは、約148×73×7.4mm(最厚部 約8.1mm)というサイズ感。ややザラザラとしたサンドブラスト加工の表面は指先に心地よい感触だ。

右サイドにある電源キーには指紋認証センサーを搭載し、手にしたと同時にロックを解除できるようになっている。

横位置で構えたときにちょうど人差し指がかかる位置に、独立したシャッターボタンを備えるのも本機の特徴で、撮影のしやすさに配慮したデザインとなっている。端子はUSB Type-C仕様だ。

画面

ディスプレイは約5.2インチのトリルミナスディスプレイ for mobile/LCD。解像度はフルHDだ。

広視野角ディスプレイなのでやや斜めから見ても視認性が高く、ハイアングルやローアングル撮影時でも確実にフレーミングが可能だった。

外光の強さによって自動的にディスプレイの明るさが変わるが、発色もコントラストも十分で、撮影および写真鑑賞時にも快適であった。

先読み撮影

Xperia XZ1はメモリー積層型イメージセンサーExmor RS for mobileのスピーディーさを活かした撮影がウリだ。その筆頭がこの「先読み撮影」だろう。

これはXperia XZ1が動きのある被写体を感知すると、自動的に複数のカットを撮影し、実際にシャッターを切った瞬間とその直前の最大4カットを保存するというもの。これならシャッターチャンスを逃すことが少なくなりそうだ。

スポーツのような動きの激しい被写体だけでなく、無表情から笑顔になるというような、僅かな動きにも対応するので何かと重宝する機能となっている。

アウトカメラ

メインカメラは「Motion Eyeカメラシステム」だ。レンズはおなじみのGレンズで、画角は約25mm相当(35mm判換算)でF値はF2.0となっている。

撮像素子は約1,920万画素メモリー積層1/2.3型イメージセンサーExmor RS for mobile。これにより前モデルのXperia XZと比較して約5倍のスピードでデータの高速読み出しが可能になり「先読み撮影」や「スーパースローモーション」、「オートフォーカス連写」を実現している。

映像エンジンはBIONZ for mobileで、高度な絵作りとノイズ低減などを司る。実際にシャッターを切ってみるとキビキビとした軽快感が味わえ、映し出された写真は高精細で色鮮やかなものとなっている。

またカメラ横にはレーザーAFセンサーとRGBC-IRセンサーを搭載。暗いシーンでのピント合わせと、光源を認識、測定してありのままの正確な色を表現する。

料理

二子玉川「chicama cafe」でサラダランチをアスペクト比16:9で撮影。ググッと接近したので手前と奥がボケている。生ハムのしっとりとした素材感や、サラダの瑞々しさなどしっかりと写し取ることができた。

撮影モードは「プレミアムおまかせオート」。13種類のシーン×4つのコンディションを自動判別してくれるので自然な仕上がりとなった。

風景

よく晴れた日、川に架かる橋の上から撮ったヒトコマ。土手上の風になびく草の細かな様子から、遠くに見えるビルの窓のひとつひとつ、川の瀬の描写まで実に精細感ある写りだと感じた。色再現も見た目に近く好印象だ。横位置で撮影する場合、独立したシャッターボタンを使えるのがいい感じである。

スナップ

とある商店街でのカット。レトロな表示板と木々のディテールの細かさが素晴らしい。「プレミアムおまかせオート」のせいか、やや露出が明るくなった感はあるが、日常的なスナップショットを撮るのであればこのモードだけでいいだろう。

静物

お寺でカゴの中に入れられたメンコとお手玉を接写した。日陰だったため色合いが冷たくなったものの、おのおのの質感描写はなかなかのものである。メンコの細かい印刷具合や、お手玉表面を覆う繊維の織り方まで実によく撮ることができた。Xperia XZ1の素性の良さが感じられた。

高感度

夜の運動公園を撮影。ISO1000まで感度が上がったが、イヤなノイズ感はなく、むしろ表現が難しいベタな部分における処理の良さを感じるカットとなった。コントラスト、色合いともに現場の雰囲気を確実に残しており、低照度下でも頼りになる印象を受ける。

ポートレート

モデルのスキントーン、髪の毛1本1本の細かさ、ネックレスの質感、ニットの描写など安定感のある写りだ。撮影時のレスポンスも良好で、ボディサイドにあるシャッターボタンを押して、リズミカルに小気味よく撮影を楽しめた。

夕景

雨上がりの河川敷。立体感満点で迫力ある雲の様子と、しっとりと濡れた河原の様子が見事に捉えられている。このようなシーンでも動体を検知すると自動的に「先読み撮影」となり、通行人や雲の様子などベストショット候補をディスプレイしてくれる。あらゆるシーンで積層型CMOSセンサーの恩恵を受けられる端末だと感じた。

連写

いわゆる動体予測AF連写だ。約1秒間で10コマの連続撮影が可能である。

線路脇から走り抜ける東急世田谷線を撮影したが、見事に全カットピントが合った写真を得ることができた。これはなかなかスゴい。動き回るペットや元気に走り回る子どももラクラクと撮ることができそうだ。

連写した中の1枚。

スーパースローモーション

Xperia XZ1は960fpsのスーパースロー映像の撮影ができる。かなりのハイスピード撮影なので十分な光源が必須となるがユニークな映像を撮ることができる。

撮影は日中の屋外などが望ましいが、このようにモデルが吹いて飛ばしたタンポポの綿毛がジックリと観察できるほどの描写には驚いた。

インカメラ

インカメラは有効画素数約1,320万画素で、画角は35mm判換算で約22mm相当。高画素かつワイドな画角のため、風景と自分を広々と写し込むことができる。

二子玉川のカフェでモデルにセルフィーしてもらったが、一般的なスマートフォンより背景が広く写っている。

この画角は大人数のグループでのショットや、旅先で建物を一緒にセルフィーした場合に役立つことだろう。

まとめ

Xperia XZ1は俊敏でシャッターチャンスに強く、メモリー積層型CMOSの良さを活かしたツボを押さえた質実剛健な機種だという印象を持った。

すでにXperia XZ2が発表されているが、メインカメラのスチル機能に変更はないようで、基本性能の高さが継承されている。なのでこのリーズナブルなXperia XZ1をチョイスする価値は薄れていない。

デジタルカメラの相棒として、または普段の「眼」としてXperia XZ1まかせで撮影を楽しんでみるのもいいだろう。

本記事で紹介したXperia XZ1の後継モデル「Xperia XZ2」が5月10日にソニーモバイルコミュニケーションズから国内で正式発表されました。ソフトバンク向けに5月下旬以降に発売されます。
ニュース:ソニー、世界初の4K HDR動画撮影対応スマホ「Xperia XZ2」~画面もHDR対応 960fpsのハイスピード撮影なども

モデル:高実茉衣
撮影協力:chicama cafe(二子玉川)

三井公一

1966年神奈川県生まれ。新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナー、コンサルティングなどで活躍中。有限会社サスラウ、Sasurau, Inc.代表。著書にはiPhoneで撮影した写真集「iPhonegrapherー写真を撮り、歩き続けるための80の言葉(雷鳥社)」、「iPhone フォトグラフィックメソッド(翔泳社)」がある。