新製品レビュー

PENTAX K-1 Mark II(外観・機能編)

従来機からなにがどう進化したの!? 気になるポイントを解説

概要

ペンタックスといえば、一眼レフカメラのパイオニアとして知られるかつてのカメラメーカーであり、現在はリコーイメージングが発売する一眼レフカメラのブランドだ。その新作としてPENTAX K-1 Mark IIが登場。2016年に発売されたPENTAX K-1の後継にあたり、PENTAX Kシリーズの最上位に位置する製品だ。

見どころは、有効3,640万画素の35mmフルサイズセンサーと、防塵防滴対応のマグネシウムボディを受け継ぎながら、さまざまな機能強化を図っていること。

改良の主なポイントは4つ。超解像技術リアル・レゾリューション・システムが進化し、手持ちの撮影が可能になったことと、アクセラレーターユニットの搭載によって高感度画質が向上したこと、AFの強化、アウトドアモニターの改良だ。

ちなみに、フラッグシップ機なのに約2年でのモデルチェンジは早すぎるという意見もあるだろう。そんな声にこたえるために、前モデルK-1のユーザーに対して、メイン基板の交換によってK-1 Mark IIと同等の機能が得られるアップグレードサービスを用意。有償とはいえ、ユーザーに配慮した画期的な試みといっていい。

レンズマウントは「ペンタックスバヨネット KAF2マウント」に対応。他社マウントに比べるとフルサイズ対応の現行レンズはあまり多くないが、まもなく登場予定のHD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW(仮称)など、ラインアップは少しずつ増えつつある。

ライバル

実売20~30万円台のフルサイズ一眼レフカメラとして、キヤノンEOS 5D Mark IVやニコンD850、D810などがライバルになるだろう。

これらの製品に勝るK-1 Mark IIのアドバンテージは、全レンズ対応のボディ内手ブレ補正や、上下左右に動くフレキシブルチルト液晶モニター、システム全体での耐環境性などだ。

さらに、手持ちでのリアル・レゾリューション撮影や、ローパスセレクター、アストロトレーサー、自動水平補正といった独自の機能も、他社との差別化になっている。

ボディデザイン

外観デザインは前モデルを踏襲。製品名のロゴ以外に違いはない。一眼レフの象徴であるペンタプリズム部がひときわ大きく、いかにも頑丈そうな雰囲気と存在感が漂うボディである。

外径寸法は、幅136.5×高さ110×奥行き85.5mm。バッテリーとSDカード1枚を含めた重量は約1,010g。手に取るとずっしりとした重みを感じるが、ボディサイズについては前述のライバル機に比べて特に大きいわけではない。

外装は前後と下部がマグネシウム合金で、グリップ部にはラバーを配置。ホールド感は良好で、筆者の大きな手にもしっくりとなじむ。シャッター音は一眼レフカメラとしては比較的静か。レリーズタイムラグはそれなりにある。

大口径ズームレンズ使用時などにさらにホールド感を高めたい場合には、オプションのバッテリーグリップ「D-BG6」が役立つだろう。本体に加えて、バッテリーグリップ側にリチウムイオン充電池1個(または単3電池6本)を装着でき、縦位置用のシャッターボタンや電子ダイヤルなどが使用可能になる。カメラ本体と同じく防塵防滴対応もありがたい。

操作部

各種ボタンやダイヤルの操作についても前モデルを踏襲する。特徴的なのは「スマートファンクション」と呼ばれる独自の仕組みだ。ペンタプリズムの右横にある「機能ダイヤル」を回して機能を選択し、上面の右端にある「設定ダイヤル」を使って、その選んだ機能の設定値をダイレクトに変更する仕掛けだ。

選べる機能は、ISO感度や連写速度、ブラケット撮影の幅、クロップなど9種類。割り当てられた機能のカスタマイズができないのが物足りないが、自分にとって使用頻度の高い機能がある場合は役立つだろう。筆者の場合は、グリッド表示の切り替えや、Wi-Fiのオン/オフ用に重宝した。

上面左側には、撮影モードダイヤルを搭載。一般的なP/Tv/Av/Mモードに加えて、ペンタックスならではのSv(感度優先)モードやTAv(シャッター&絞り優先)モードが選択ができる。さらに好きな設定を記憶できるUSERモードは5つもあり、モードダイヤルは非常ににぎやかだ。

レンズマウントの側面には、ボタンやダイヤルを一時的に無効にできるロックボタンや、カスタマイズ可能なRAW/Fx1ボタン、AFモードボタン、フォーカスモード切替レバーを装備。AFモードボタンでは、AF.SとAF.Cの切り替えや、測距点モードの選択ができるほか、ファインダー内照明を一時的にオンにしたいときにも役立つ。

背面右側には、グリーンボタンや再生ボタン、測距点移動/カードスロット切替ボタン、十字キーなどを備えている。

グリーンボタンは、各種値のリセットやISOオートの設定などを素早くセットできる便利なボタンだ。AF測距点の移動については、測距点移動モードとダイレクトキーモードをその都度選択する必要があるのが使いにくい。測距点専用のボタンまたはジョイスティックが欲しかった。

背面左側には、ライブビューボタンと測光方式/消去ボタンがある。

撮像素子と画像処理関連

イメージセンサーには、35mmフルサイズの有効3,640万画素CMOSセンサーを搭載。画素数やローパスレスといった仕様、画像エンジン「PRIME IV」といった部分は前モデルと同じだが、新たに「アクセラレーターユニット」を搭載した点に注目だ。

アクセラレーターユニットの詳細は公開されていないが、イメージセンサーから出力された信号を適切に処理した上で画像処理エンジンに送ることで、ノイズを低減し、解像感や高感度での色再現の向上を図っているとのこと。これによって感度は、前モデルの最高ISO204800から、K-1 Mark IIでは最高ISO819200へとアップしている。

手ブレ補正については前モデルから引き続き、ボディ内5軸対応手ブレ補正機構「SR II」(Shake Reduction II)を搭載。すべてのペンタックスレンズで利用できる。

リアル・レゾリューション・システムII

アクセラレーターユニットと並んで、モデルチェンジの目玉といえるのは、進化した「リアル・レゾリューション・システムII」だ。

これは画素ずらしと画像合成によって、先鋭感や質感を高める超解像技術であり、今回新たに手持ちで撮影できる「手ぶれ補正モード」が追加されている。

これまでのリアル・レゾリューション・システムでは、撮影時にはカメラを三脚に固定することが欠かせなかった。シャッターボタンを押すとイメージセンサーが1画素ずつ動きながら4回の露光(連写)を行い、その4カットを合成して超解像画像を作り出していたためだ。

だが、K-1 Mark IIに搭載された「リアル・レゾリューション・システムII」の手ぶれ補正モードでは、連写中のわずかな揺らぎを利用して超解像画像の合成が行える。

惜しいのは、三脚が必要な既存モードに比べると超解像の効果がやや弱いことと、画像合成に20~30秒程度待たされ、その間、カメラの操作ができなくなること。とはいえ、手持ちで気軽に超解像が楽しめることは、撮影の自由度を大きく広げる進化といっていい。

AF

ファインダー撮影時のAFはTTL位相差検出式で、測距センサーには「SAFOX12」を採用。測距点は、中央25点のクロスタイプを含む33点。測距輝度範囲はEV-3~18となる。

これらのAFまわりのスペックは前モデルと同じだが、合焦プロセスの最適化により、AF.Sの合焦スピードはいっそう高速化した。加えて、動体追従アルゴリズムの改良によって、AF.Cの動体予測性能が向上している。キットレンズ(HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR)を使った実写では、動体に対してもスムーズに合焦するAF性能を確認できた。

下の画面は、AFエリアモードに「33点オート」を選んだときの液晶モニターの表示だ。このほか、選択した9点から自動的にピント位置を決める「ゾーンセレクト」や、選択した1点とその周囲の点を利用してピントを決める「セレクトエリア拡大」などがある。

いっぽうライブビュー時のAF方式については、コントラスト検出AFを継承する。ライブビュー時のAFモードとして、顔検出/追尾/多点オート/セレクト/スポットの5種類が選べる点も同じだ。

下は、ライブビュー撮影でAFモード「セレクト」を選び、十字キーを使ってAFエリアを移動中の画面だ。ファインダー撮影時の位相差AFに比べるとAFスピードが遅くなるため、動体撮影には適さないが、厳密なピント合わせが必要な静物や風景などの撮影では役立つ。

連写性能

連写は、35mmフルサイズの場合、最高で約4.4コマ/秒に対応し、連続撮影可能コマ数はJPEG最高画質で70コマ、RAWで17コマとなる。これらのスペックは前モデルと変わらず、ライバル機に比較してあまり高速とはいえない。

クロップ機能を利用して撮像範囲をAPS-Cサイズに設定した場合は、連写スピードを高速化でき、最高約6.4コマ/秒に対応する。APS-Cサイズでも15M相当の画素数があるので、連写スピード重視ならクロップ機能を積極的に利用するといいだろう。なおAPS-Cサイズ時の連写速度は、前モデルは最高約6.5コマ/秒だったので、わずかにスペックダウンしている。

操作部アシストライト

アシストライト機能は前モデルを継承。ボディ上部の照明ボタンを押すと、各部に組み込まれたLEDが点灯する仕掛けだ。これによって薄暗いシーンでも、各種の操作が確実に行える。

光るのは、天面にある表示パネルのバックライトと、背面操作部(可動液晶の内側)、レンズマウント部、カード/レリーズ端子部だ。

ファインダー

ファインダーには、倍率約0.7倍、視野率約100%のペンタプリズムを搭載。やや暗めなのが気になるが、倍率はフルサイズ機として標準的なレベル。透過型液晶によって各種の撮影情報をファインダー上に表示できるのは便利だ。

液晶モニター

液晶モニターには3.2型/約103.7万ドットのTFTを装備。4本の金属製ステーによって保持され、ボディから引き出すことで、上下だけでなく左右にも可動する「フレキシブルチルト式」を前モデルから継承している。

この独自方式のメリットは、レンズ光軸から液晶モニターをずらさずに可動できること。バリアングル式に比べて速写性で勝り、上下のみに動く一般的なチルト式とは違って縦位置撮影時にも可動が役立つ、といった利点もある。

引き出す際にねじれて、液晶モニターの水平が不用意に傾いてしまう場合がある点には注意したい。

端子類

ボディの左側面には、ヘッドホン端子とマイク端子、USB端子、HDMI端子、DC入力端子、シンクロソケットを装備。右側面には、ケーブルスイッチ端子がある。

記録メディア

記録メディアは、SD、SDHC、SDXCメモリーカードに対応し、デュアルスロットを装備する。順次記録やコピー、RAW/JPEG分離記録などが行える。

バッテリー

バッテリーは「充電式リチウムイオンバッテリーD-LI90P」を採用。撮影可能枚数が前モデルの約760枚から、本モデルでは約670枚へとスペックダウンしたのは残念だ。

動画機能

動画は、最大で1,920×1,080のフルHD記録に対応。フレームレートは60i/50i/30p/25p/24pから選べる。また4Kインターバル動画の撮影も可能だ。

通信機能

無線LAN機能は前モデルを継承。スマホやタブレットとWi-Fi経由で接続でき、専用アプリ「Image Sync」を使って画像の再生や転送、リモート撮影などが行える。

リモート撮影中は、カメラ側の操作ができなくなり、各種の設定変更や撮影の操作はすべてスマホ側から行うことになる。しかもカメラ側のライブビューが非表示になるのは少々不便。他社のように、スマホ側とカメラ側の両方で表示や操作ができるようにアプリを更新して欲しいところだ。

前モデルから引き続き、GPSユニットをカメラに内蔵する点はありがたい。位置情報や方位情報を画像に付加できるほか、移動の軌跡をGPSログとしてメモリーカードに保存できる。

まとめ

トータルとしては、前モデルからの改良点は多いとはいえないが、リアル・レゾリューション・システムが手持ちに対応したことは大きな進化である。少しでも高解像を得たい人にとってうれしい機能に違いない。今なら前モデルのほうが安く手に入るが、新旧2台のどちらかを選ぶとすれば、筆者なら迷わずK-1 Mark IIを選択する。

手ブレ補正を内蔵した防塵防滴ボディと、フレキシブルチルト液晶モニターの柔軟性は、前モデルから引き続き、お気に入りのポイントだ。試用では、悪条件下でも安心して取り回せるボディの信頼性と、構図選択の自由度の高さを実感できた。

屋外/暗所でも見やすいアウトドアモニターや、カスタムイメージなどの豊富な作画機能も役立った。残念なのは操作系の改良がなかったこと。ボタンのカスタマイズやメニューUIについては改善の余地がある。

1kgを超えるボディ重量については、いざ撮り始めると不思議と気にならず、撮影に専念することができた。一眼レフならではの光学ファインダーと、自由度の高いフレキシブルチルト液晶を使い分けながら、撮ること自体をじっくりと楽しめる中身の濃いカメラに仕上がっている。

リアル・レゾリューション・システムを含めた作例は、次回の実写編で掲載する予定だ。

永山昌克

フリーランスのフォトグラファー。趣味は文房具の収集と雑貨屋めぐり。好きな被写体は子ども。4月発売の書籍「手帳をもっと楽しく! DIY BOOK」(MdN)では撮影を担当。手帳カスタマイズの魅力を伝える文具マニア必見の書です。