My Favorite Leica
LEICA Q2(大門美奈)
ワイドからクローズアップまで、1台で完結する魅力
2019年9月30日 07:00
2015年の発売当初から使用していたライカQ(Typ116)は、どこへ行くにも持ち出すほど愛用していた一台だった。有効画素数も2,420万と必要十分で、35mmの画角にクロップしても1,200万画素が確保できるためA2サイズにプリントしても全く問題ない。ライカQと、ライカM10に50mmレンズをつければスナップには無敵の組み合わせだと思っていた。
しかし、「うっかりライカQ2を買ってしまった」のである。ライカは触ると欲しくなる。そう分かっていながら思わず手にとったライカQ2は、多少重量は増したもののすっきりとした背面デザインと、有機ELを採用したことにより格段に見やすくなった電子ビューファインダー、ワンアクションでバッテリーを取り出せるギミック、さらに防塵防滴となれば、ライカQから乗り換えない理由は見当たらない。入荷時期を確認するだけのつもりが、今私の手に握られているのが、ライカQ2だ。
先日、チベットを訪れた。チベットは政情が不安定な地域ということもあり機材には随分悩んだが、小型かつ一台ですべて完結するこのカメラ以外の選択肢はないだろう、ということでライカQ2を持って出かけることにした。
チベットの中心地であるラサは標高約3,700mの高地にある古都。標高が高ければ空気も良いのではないかと思われがちだが、空気が軽いためチリが舞いやすく、一日外で過ごすと喉を痛めるほどの粉塵。ライカQで唯一不満だったのが、センサーにゴミが付着しやすいという点だった。普段は絞り開放近くで撮影することが多いため気づきにくいのだが、いざ絞って撮影し、PCで確認するとゴミが点々と写り込んでいてがっかりしたことが何度もある。私は街を出歩く際はカメラをバッグに入れることはほぼないので、ウェザーシーリングが施されているという安心感は、より多くのシャッターチャンスへとつながるのだと実感できた。
マクロモードの仕様は従来のライカQと同じで、旅先で気軽にテーブルフォトを楽しめるという点では変わりないが、有効画素数が4,730万に増えたことによりクロップ機能は35mm相当だけでなく積極的に50mm相当も使えるようになった点は大きい。50mmクロップでも1,470万画素が保たれるため、困ったことに50mmレンズをつけたライカM10の出番がなくなってしまったのである。プリントを考えずWeb用にと割り切れば75mm相当のクロップも実用範囲なので、撮りたい部分だけをクローズアップ撮影することも可能だ。
また、バッテリーがライカSL用の大きなものに変更されたことで撮影可能枚数も若干増え、充電のストレスからも開放される。チベットは撮影不可のエリアも多く一日中撮影し続けるということはなかったが、一晩充電すれば翌日はバッテリー切れに悩まされることなく使えた。ライカQ2に使用されているバッテリー「BP-SCL4」はなかなか高価なので、動画をメインで撮らない限り、替えのバッテリーが不要であるのも嬉しい点だ。
旅先からSNSに写真を投稿する際にはスマホアプリ「Leica FOTOS」を使用した。さすがに一枚一枚のデータが大きいため表示には多少時間が掛かるが、SNSだからといって適当な写真で済ませたくない私には、気軽にライカクオリティの写真をアップできるのが嬉しい。JPG+DNGで撮影してもJPGだけを選んで転送できるため、スマホ側のストレージ容量も気にせず使える。
現在ライカには様々なカメラがあるが、レンズ交換の煩わしさもなく28mmから75mmの画角までカバーできるという汎用性では、ライカQ2にかなうものはないのではないだろうか。まさにこれ一台で完結できる、理想的な旅カメラである。
協力:ライカカメラジャパン株式会社