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パナソニック、LUMIX初の像面位相差AF「LUMIX S5II」

望遠・動体でAF強化 黒ずくめの高機能版「LUMIX S5IIX」も

左からLUMIX S5II、LUMIX S5IIX

パナソニックは、ミラーレスカメラ「LUMIX S5II」(エスファイブ マークツー)を2月16日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格はボディ単体(DC-S5M2)は税込24万8,000円前後、LUMIX S 20-60mmが付属するKキットは税込28万1,000円前後、KキットにLUMIX S 50mm F1.8も加えたWキットは税込30万円前後。

LUMIX S5II

また、共通の基本性能に加え、より高度な動画機能を備える「LUMIX S5IIX(エスファイブ・マークツー・エックス)も6月下旬に発売。店頭予想価格はボディ単体(DC-S5M2X)が税込27万4,000円前後、Kキットが税込30万6,000円前後、Wキットが税込33万4,000円前後。

10時45分追記:S5IIの発売日を2月→2月16日に改めました。品番の表記(DC-S5M2/DC-S5M2X)を修正しました。

LUMIX S5II Wキットの内容
LUMIX S5IIX Wキットの内容

35mmフルサイズミラーレスのLUMIX Sシリーズにおいて、オールマイティで幅広く支持されているという「LUMIX S5」の上位機に位置付けられるモデル。LUMIX S5も併売するとしている。

従来機のLUMIX S5は、「(ハイエンドの)LUMIX S1シリーズの性能をコンパクトに凝縮したモデル」として2020年9月に登場。S1シリーズに比べてコンパクトなサイズ感や、抑えられた価格などで人気を得た。このLUMIX S5をシステムの中心に据えて、LUMIX Sレンズに開放F1.8の単焦点レンズシリーズが展開されるなど、現在のLUMIX Sシリーズの中心的な存在になっている。

像面位相差AFを初搭載

LUMIX S5IIでは、キーデバイスであるイメージセンサーや画像処理エンジンを一新。LUMIX初の像面位相差AFを採用した。

これまでLUMIXは、位相差画素を配置するために発生する画素欠損が撮影画質に与える影響を避けるため、DFD技術に基づく「空間認識AF」での高速化など、一貫してコントラストAFのみを採用してきた。しかし、望遠撮影や動体追従、動画撮影時のウォブリングなどを考慮した際に、これまでも研究を進めてきた像面位相差AFを搭載する判断に至ったという。LUMIX S5IIにおける位相差画素の配置方法は、一般的なものだとしている。

LUMIX S5IIとLUMIX S5のAF比較デモ

AFポイントは779点で、動体追従性能が大幅に向上しているという。これまでのコントラストAFに像面位相差AFも組み合わせたリアルタイム認識AFは、被写体が向かってくるシーン、複数の被写体が存在するシーン、夕暮れなどの逆光/低照度シーン、イルミネーションなどの点光源を含むシーン、商品レビューをするシーンにおいて、主にAFが進化したという。動体撮影時に撮影者も動くようなシーンにも強くなり、よりアグレッシブな撮り方に対応するとしている。

イメージセンサーは、新開発の像面位相差AF対応2,420万画素(デュアルネイティブISO対応)。画像処理エンジンは新ヴィーナスエンジンを採用しており、ライカカメラ社との協業による「L² Technology」によるものと説明されている。LUMIX S5比で演算性能は約2倍、バッファメモリは約4倍としている。

絵作りはLUMIXの「生命力・生命美」思想を継承しつつ、画質向上を目指したものだとしている。静止画では色再現性と繊細な階調表現をアピールしながら、バッファ強化や最大30コマ/秒のRAW連写といったスピード性能も備える。ローリングシャッター歪みも抑制したという(S5比、電子シャッター時)。

動画機能と冷却ファン

動画はCinema4K 60p 4:2:2: 10bit記録や、6K 30p記録に対応。記録時間は無制限。動画に特化したS1HやGH6のDNAを継承している。ファインダー部(いわゆるペンタ部)の銘板下部分に吸気口、左右に排気口を備え、カメラの電源に連動して動作する。

また、動画の歩き撮りに強いという「アクティブI.S.」を利用可能。補正割合を各軸で最適化し、補正ユニットを最大限に活用する制御で、LUMIX S5と比べて最大200%の効果だという。

操作性の向上

背面のジョイスティックは、従来のLUMIX S5が4方向だったのに対し、本機では8方向に対応。メニュー画面のUIも「クリエイターを迷わせない」をコンセプトに、動画撮影時のコントロールパネルを一新している。

背面モニターは184万ドットのフリーアングル式。ファインダーは368万ドットのOLED。別売のバッテリーグリップはLUMIX S5用を共用できる。ストラップ取り付け部は平紐用のスリットタイプに変更された。

フリーアングル式モニター
別売のバッテリーグリップ装着例

記録メディアはSD×2(両スロットUHS-II対応)。USB充電/給電が可能。防塵防滴のフルマグネシウムボディとしている。

側面の端子/スロット
各部にシーリングを施した

外形寸法は約134.3×102.3×90.1mm。重量は約740g(バッテリー、SD含む)。従来機のLUMIX S5は同約132.6×97.1×81.9mm・約714g。

派生モデル「LUMIX S5IIX」も6月に発売

LUMIX S5IIX

キーデバイスなどの基本部分はS5IIを踏襲しつつ、一部機能(高度な動画機能、ライブストリーミング機能の有無など)に違いがあるモデル。LUMIX S5IIをLUMIX S5IIX相当にアップグレードすることはできないという。

LUMIX S5IIXのみの機能は、ハイグレード動画性能(USB-SSD記録、ALL-Intra動画記録、ProRes動画記録)、ライブ配信(無線ライブ配信、USBテザリング、有線ライブ配信)。HDMI RAW動画出力対応は、S5IIではファームアップ後の有償対応(2023年夏予定)になるが、S5IIXは出荷時から利用できる。

外観上の違いは、LUMIXロゴに黒い色を入れてある点と、それに伴って各部ダイヤル/ボタンの印字もトーンを落としたグレーに変更した点。加えて本機では、LUMIX G9 PRO(2018年1月)において“L”バッジに代わって採用された、モードダイヤル部分の赤ラインも省略している。

【実機で解説】像面位相差AFを搭載したフルサイズ第2世代が登場!
本誌:鈴木誠