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パナソニック、マイクロフォーサーズの“静止画フラッグシップ”「LUMIX G9PROII」。像面位相差AFに対応

パナソニックは、ミラーレスカメラ「LUMIX G9PROII」(ルミックス ジーナインプロ マークツー。DC-G9M2)を10月27日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格はボディ単体が税込23万700円前後、標準ズームレンズキット(LEICA DG 12-60mm付き)が税込30万3,900円前後。別売のバッテリーグリップ「DMW-BG1」は税込3万8,300円前後。

マイクロフォーサーズ機の静止画フラッグシップ機に位置付けるモデル。35mmフルサイズ機の「LUMIX S5II」と共通の外観・操作性とした点や、LUMIX Gシリーズで初めて像面位相差AFに対応した点が特徴。フルサイズのSシリーズは「妥協なき表現力」、マイクロフォーサーズのGシリーズは「高速性・機動性」で棲み分ける。

G9PROIIとS5IIは、現場での併用時に同じ操作感を得ることを目的に、G9PROとS5の両方の後継機として良い形を目指し、同じ筐体で開発してきたという(内部構造は異なるため、同じなのは外観のみ)。防塵防滴性はS5IIと同等で、G9PROIIのみ耐低温性能も有する。S5II(2023年1月発表)との登場時期の時間差は、G9PROIIがマイクロフォーサーズにおける静止画フラッグシップ機ゆえ、開発に時間がかかったためだという。

LUMIX G9PROII
参考:LUMIX S5II

センサー、エンジンを一新

イメージセンサー、画像処理エンジンともに刷新。イメージセンサーは4/3型・有効2,521万画素。画素サイズは小さいもののS/N比を大きく改善し、従来同等の高感度特性を得られたという。飽和性能も向上し、ダイナミックレンジも広げた。感度は従来のISO 200より低いISO 100から設定できるようになった。

LUMIX GH6のダイナミックレンジブーストを継承。画像生成時に暗部・明部の画像を1つに合成して豊かな階調を得る仕組みで、RAW撮影時のシャドー階調表現が劇的に進化したという。LUTを適用した静止画/動画をライブビュー画面を見ながらカメラ内で記録できる色表現機能「リアルタイムLUT」も搭載する。

動画記録は、4:2:2 10bitのC4K/4K 60p/50p、4:2:0 10bit C4K/4K 120p/100pなどに対応。5.7K撮影、ALL-I記録、13+ストップでのV-Log撮影、USB-SSD対応によるProRes記録を可能としている。

ライカ認証の「LEICAモノクローム」モード初搭載

フォトスタイルに「LEICAモノクローム」を搭載。L²テクノロジーで協業するライカカメラ社が認証したもので、「ライカが長い歴史の中で築き上げてきた絵作りの哲学」を学び、新たな表現として搭載したモードだという。従来の「L.モノクロームD」と比較するとハイライトが明るく、より硬調でダイナミックな印象のモノクロ表現だという。

像面位相差AFに対応。メカシャッター連写も進化

フルサイズのLUMIX S5II/S5IIXに続き、像面位相差AFに対応。マイクロフォーサーズのLUMIX Gシリーズでは初めてとなる。779点の像面位相差AFエリアを持ち、これによりリアルタイム認識AFが進化。被写体追従、複数人数、逆光シーン、低照度、点光源、商品レビューのシーンで進化があり、新たに「人物」と「動物/動物瞳」の区別、「車/バイク」への対応も含んでいる。人物/動物においては、画面内で被写体が小さくなっても2人を1人ずつ認識するようになったという。

連写速度は、電子シャッター時にAFCで60fps、AFSで75fps。バッファメモリーを増やしたことで3秒以上の連写継続を可能としている。シャッター全押し前の写真を記録する「プリ連写」は、遡る時間を0.5秒/1秒/1.5秒から選べるようにした(従来は0.4秒)。メカシャッターでの連写はLUMIX初の10コマ/秒を達成している。

また、ドライブモードから選択できる機能として「手持ちハイレゾモード」を用意。連写合成により約100MPのRAW&JPEGを記録できる。合成の精度はGH6同等としている。

手ブレ補正は最高8段。動画手ブレ補正の周辺歪み対策も

ボディ内手ブレ補正は8段分(LEICA DG 12-60mmの望遠端)、対応レンズと協調するDual I.S.2では7.5段分(G VARIO 14-140mm IIの望遠端)の効果を得られる。高精度ジャイロセンサーの搭載や、アルゴリズムの見直しによるものだという。本機では、LUMIX S5IIで冷却用のファンが入っていたファインダー部分にジャイロセンサーを搭載している。

動画撮影時には、広角レンズの歩き撮りなどで発生する周辺歪みを抑える「動画周辺歪み補正」が動作。レンズデータとイメージセンサー(手ブレ補正ユニット)の動きの情報をリアルタイムに演算して、ボディ内手ブレ補正では補正できずに残っていた周辺の歪みを目立たなくする機能。

※14時40分追記:動画周辺歪みは電子手ブレ補正(EIS)使用時に自動的に働く機能だったため修正しました。また、効果についての表現を改めました。

各部の仕様

ボタン配置はG9PROを踏襲。背面に8方向対応のジョイスティックを備える。別売のバッテリーグリップ「DGW-BG1」(LUMIX S5IIと共用)はバッテリー2本を装填可能。

EVFは35mm判換算約0.8倍・368万ドットOLED(4:3)。アイポイントは21mm。背面モニターはフリーアングル式の3型約184万ドット(3:2)。

外形寸法は約134.4×102.3×90.1mm。質量は約658g(撮影時)、約575g(本体のみ)。記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード2枚に対応する。

実機の外観写真

LUMIX G9PROII

バッテリーグリップ「DGW-BG1」装着例

本誌:鈴木誠