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デュアル画像処理エンジン搭載の「OLYMPUS OM-D E-M1X」
被写体認識AFや「手持ちハイレゾショット」を実現
2019年1月24日 15:05
オリンパス株式会社は、ミラーレスカメラ「OLYMPUS OM-D E-M1X」を2月22日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は税別34万円前後。
2016年12月発売の「OM-D E-M1 Mark II」に並ぶ位置づけとなる、同社マイクロフォーサーズの最上位モデル。E-M1 Mark IIと同じ有効約2,037万画素のLive MOSセンサーを引き続き搭載し、AE/AF追従での約18コマ/秒の連写(電子シャッター使用時)、AF固定で約60コマ/秒、いわゆるプリキャプチャー機能を使った「プロキャプチャーモード」といった連写仕様を継承している。
ハードウェア面で最大の変更点は、画像処理エンジン「TruePic VIII」を新たにダブルで搭載したこと。E-M1 Mark IIは同じTruePic VIIIをシングルで搭載していた。これにより後述の「インテリジェント被写体認識AF」「手持ちハイレゾショット」「ライブND」といった新機能や、両側UHS-II対応のSDデュアルスロット(E-M1 Mark IIでは片側のみUHS-I)など、ソフトウェアのアップデートでは不可能な利便性向上を盛り込んでいる。
また、各種ログを記録できる「フィールドセンサーシステム」を搭載。GPS(GLONASS、QZSS)に加え、気圧センサー、電子コンパス、温度センサー、加速度センサーを内蔵する。
プロ向け一眼レフのようなスタイリング。USB PD対応、EVF光学系の一新も
ミラーレスカメラには珍しく縦位置グリップ部分を一体化し、プロ用一眼レフカメラを想起させるスタイリングになっているのが目を引く。背面ダイヤルはカメラ上面に露出しないように埋め込まれ、バッテリーカバーや記録メディアスロットのフタはツマミを起こして回すことで開く仕組みになっているなど、こちらもいわゆる「プロ機」らしいつくりになっている。
背面下部に備わる「C-LOCK」スイッチは、事前にメニュー画面から設定したボタン/ダイヤルのみを操作ロックできる機能。一括でボタンロックする「LOCK」と異なり、縦位置操作部だけ誤操作を防止したいシーンなどで活用できる。
バッテリー2個装填。EVFは新規光学系に
バッテリーはE-M1 Mark IIと同じ「BLH-1」。トレー状のバッテリーホルダーに最大2個入り、液晶モニター上にそれぞれの残容量が表示される。最大100WのUSB PD規格電源から給電・充電が可能で、充電時は最速約2時間でバッテリー2個をフル充電できるという。
撮影可能枚数はバッテリー2個装填状態で約870枚(1個でも動作可能)。製品にはバッテリーBLH-1とチャージャーBCH-1がそれぞれ2個付属する。
EVFの接眼光学系を一新し、倍率は35mm判カメラ換算で0.83倍相当。画面下の黒帯部分に撮影情報を表示するスタイルでも、0.74倍相当の大きさでライブビュー像が見えるという。表示解像度は約236万ドットでE-M1 Mark IIと同じ。
液晶モニターは3型約104万ドットの2軸可動式。タッチ操作に対応する。
E-M1 Mark IIを上回る防塵防滴性能とダストリダクション
防塵防滴・耐低温の仕様も継承。従来よりも厳しい同社試験により「IPX1」の保護等級に準拠しているという。新たな特徴として、リモートケーブルやマイク/ヘッドフォン端子にケーブルを接続した状態でも防塵防滴性を確保。レインカバー不要のタフネス仕様を強調している。
秒間3万回以上の超音波振動で撮像素子前面のゴミをふるい落とす「SSWF」(スーパーソニックウェーブフィルター)を、従来通り搭載。埃が舞う中でもレンズ交換ができるようにと、最前面のフィルターガラスに施すコーティングを一新。より細かなゴミを落ちやすくしたという。
フォーミュラカー/飛行機/新幹線を認識する「インテリジェント被写体認識AF」
AFシステムは、121点オールクロスの像面位相差AFセンサーを利用。動体追従アルゴリズムを見直し、不規則な挙動や突然の加減速にも対応するという。また、縦位置/横位置のそれぞれでAFターゲットモードとAFエリア位置を設定可能になった。
目玉となる新機能「インテリジェント被写体認識AF」は、コンティニュアスAFの被写体追尾に加わる被写体認識機能。AI技術の一種であるディープラーニングデクノロジーを開発に活用して、オリンパスが数万枚の写真から辞書を作って学習させた。これにより特定の被写体を検出し、その被写体にとって最適なポイントにピントを合わせ追尾する。
発売時点では以下の3ジャンルに対応しており、ユーザーの使用状況によって学習が進むことはない。認識した被写体は白い実線で囲まれる。なお、検出の最大数は8。
・フォーミュラカー、ラリーカー、バイク(ドライバーのヘルメットにピント)
・飛行機、ヘリコプター(コックピットにピント)
・新幹線、電車、汽車(運転席にピント)
被写体に特化した形状のAFターゲットを作れる「カスタムAFターゲットモード」
AFターゲットモードには、新しく「グループ25点」と「カスタムAFターゲットモード」を搭載。グループ25点は鳥や小動物を撮影するシーンを想定し、画面全体をカバーする121点では広すぎる場合に適するという。
カスタムAFターゲットモードは、縦11点/横11点から任意の奇数を選択可能にしたモード。縦3点×横11点や縦9点×横1点といった、横長/縦長のターゲットを作れる。
E-M1Xでは背面にマルチセレクターを新搭載し、AFエリアを8方向に動かせる。縦位置撮影時にも横位置と同じ位置関係で扱えるよう、マルチセレクターは背面の2か所に配置されている。
フリッカーレス撮影
主に室内でのスポーツ撮影に向けて、各社カメラが搭載を進めている機能。人工光の明滅周期をカメラが検出し、光量がピークのところでシャッターを切るように制御することで露出ムラや色ムラを抑える。同モード時はフリッカーの周期に合わせてシャッターが切れるため、連写速度が遅くなることもある。
手ブレ補正と「手持ちハイレゾショット」
5軸の補正が可能な手ブレ補正機構を継承。ボディ内とレンズ内の手ブレ補正機構を協調させる「シンクロIS」により、最高でシャッタースピード7.5段分(12-100mm F4 PRO使用時)の補正効果を実現した。
手ブレを検知するジャイロセンサーを新しくしたほか、その実装方法を工夫することで外来ノイズを減らし、E-M1 Mark II以上に手ブレの検出精度を高めた。
手ブレ補正機構を応用した機能として、三脚ハイレゾショット(従来のハイレゾショット)に加えて「手持ちハイレゾショット」を新搭載。手持ち撮影によるカメラ位置のズレを踏まえて16枚を撮影・合成し、5,000万画素相当の高解像度で記録する。
8枚を合成する三脚ハイレゾショットに比べて撮影後の処理時間は長くなるが、手持ち撮影でもハイレゾショットの恩恵を受けられるという。
ライブND
複数画像の合成で、擬似的に露光時間を延ばす機能。撮影シーンやレンズごとにNDフィルターを付け替える手間が省けるとしている。
効果はND2、ND4、ND8、ND16、ND32(それぞれシャッタースピード1段分〜5段分の減光)から選べる。また、LVシミュレーションにより撮影前にスローシャッター効果を確認できる。
パソコン用ソフトを一新
画像管理やテザー撮影に対応するパソコン用ソフト「Olympus Workspace」を新たに提供。既存のOLYMPUS Viewerを置き換える。
マルチモニター使用を想定したほか、RAW現像のプレビュー速度を高速化。各社編集ソフトが相次いで搭載する「明瞭度」「かすみ除去」の調節にも対応している。
テザー撮影時のカメラとの接続は、USBケーブルもしくはWi-Fi経由。5GHz帯域にも対応している。
電波式ワイヤレス対応のフラッシュが新登場
新たにOM-D E-M1Xと同等のIPX1準拠の防塵防滴・耐低温設計のクリップオンストロボ「FL-700WR」と、電波式ワイヤレスに対応したコマンダー「FC-WR」、レシーバー「FR-WR」を発売する。
動画Log撮影に対応
カラーグレーディングを前提とした「OM-Log」での記録に対応したことで、従来以上にハイライトとシャドーのディテールが残せるようになったという。撮影中のHDMIモニター出力、色補正の幅を広げる4:2:2出力にも対応。
手ブレ補正は光学式と電子式を併用。手持ちでの4K撮影が可能としている。スムーズなフレーミング変更のために、手ブレ補正の強度は3段階から選べるようにした。