イベントレポート

【CP+2019】広田泉さん「OM-D E-M1Xで撮る〜写真が変わる・鉄道写真新時代〜」

車輌を認識して自動で追随 レスポンスの良さも健在

CP+2019オリンパスブースでOM-D E-M1Xの実力を紹介した広田泉さん。

オリンパスの新しいフラッグシップモデルとして発売された「OM-D E-M1X」。同社のマイクロフォーサーズ機として最高峰のスペックを誇る1台だ。CP+2019の目玉ももちろんこの機種。今回は3月2日のセミナー、鉄道写真家の広田泉さんによる「OM-D E-M1Xで撮る 〜写真が変わる・鉄道写真新時代〜」をレポートする。

広田さんが最初に紹介したのは、E-M1Xからの新機能、「インテリジェント被写体認識AF」だ。E-M1Xは「追尾被写体設定」があり、「鉄道」「モータースポーツ」など、被写体ごとに追尾モードを設定できる。カメラが画面内の被写体を検出し、最適なポイントにフォーカスを合わせて追尾する機能で、そのフォーカスの様子を動画で紹介していた。

「簡単にいうと、画面の中で鉄道車両を認識してピントを合わせてくれます。手前に架線柱などがあっても反応しにくく、車輌を追ってくれます。ここでは運転席にピントが合い、そのまま追っています。一眼レフと比べてもピントの精度もスピードも上がっていると思います」

「例えばこのように雪が降っているシーンでは、AFを作動すると雪にピントが合ってしまうことは多いです。ところが『鉄道』モードに設定して、形として鉄道車両を認識していると、雪で迷うことなく車両にピントを合わせ続けられるんです」

雪の中で撮影すれば当然カメラは濡れる。しかし、先に発売されているE-M1 Mark II同様、防塵防滴仕様もまったく問題なさそうだ。

「この写真は衝撃的ですよね。カメラに直接水を噴射していますが、これでもへこたれない。むしろカメラが壊れる前に人間が根をあげてしまいそうです。通常に使っている範囲なら、カメラが壊れることはないでしょう」

一方で、マイクロフォーサーズ機としてはかなり大きいボディは気になるところ。縦グリップが追加されたため、E-M1 Mark IIよりもサイズアップしている。

「たしかに大きくはなりましたが、実に持ちやすくなりました。トータルのパッケージで考えればまだまだコンパクトです。僕は撮影に出るときは、ボディ、レンズ2本、スマホ、それとモバイルバッテリーを持っていきます。E-M1XはType-CのUSBケーブル充電ができるようになったので、モバイルバッテリーからの充電が可能です。デジカメ用の充電器を持たなくていいんです」

前作のE-M1 Mark IIで話題だった強力な手ぶれ補正も健在だ。数秒程度の長時間露光なら、もはや三脚を使わずに手持ちで撮影できてしまうという。

「これは夜の鉄道を撮影しました。3〜4秒で撮影していますが、手ぶれ補正はさらに強化されていて、いまやその秒数でも手持ち撮影は当たり前です」

「また、これだけ強力な手ぶれ補正だと、流し撮りにも対応してくれます。電車の動きに合わせて横に動かせば、誰でも流し撮りできるくらいのレベルですね」

レスポンスの良さも健在のようだ。

「今までの一眼レフだと、光学ファインダーなので目を痛めてしまいますが、EVFなら映像なので眩しくありません。さらに連写性能とシャッターのレスポンスが速いので、狙った瞬間に写真を撮ることができます。露出ワークも洗練されているので、一発でこの写真が撮れました」

広田さんの話によると、ミラーレスカメラのデメリットをすべて払拭したような仕上がりのE-M1X。最後に総まとめをして30分のプレゼンを終えた。

「E-M1Xは、撮影と絵作りに集中出来るカメラになっています。本当にプロ向けのカメラに仕上がっています」

「プロがカメラに望むのは考えないことです。常に撮ることを優先に考えているので、E-M1Xもそういう形になっています。みなさんもぜひ手にとって楽しんでください」

中村僚

編集者・ライター。編集プロダクション勤務後、2017年に独立。在職時代にはじめてカメラ書籍を担当し、以来写真にのめり込む。『フォトコンライフ』元編集長、東京カメラ部写真集『人生を変えた1枚。人生を変える1枚。』などを担当。