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「OLYMPUS OM-D E-M1X」発表会レポート

機動性と信頼性をキーワードにして生まれたプロフェッショナルモデル

OLYMPUS OM-D E-M1Xを手にする笹宏行氏(代表取締役社長執行役員)。

オリンパス株式会社は1月24日、レンズ交換式デジタルカメラの新製品「OLYMPUS OM-D E-M1X」の発表会を都内で開催した。

E-M1XはE-M1をベースに画像処理エンジンTruePic VIIIをデュアル搭載したほか、ボディにバッテリーグリップ一体型の構造を採用するなど、特に高速連写処理性能にフォーカスした機能強化が施されたモデルとなっている。

ここでは発表会の模様を中心にお伝えしていきたい。

レンズ交換式カメラ市場はミラーレス化へ加速していく

E-M1Xの発表にあたり、笹宏行氏(代表取締役社長執行役員)が登壇し、2018年に35mm判フルサイズミラーレスカメラがニコン、キヤノンより投入されたことで市場が活況を呈していることをうけて、レンズ交換式デジタルカメラ市場におけるミラーレス化が加速していると、その市況感を述べた。

さらに笹氏は小型軽量の価値が鮮明化してきていることが同社にとって追い風となっていると続け、オリンパスの決意として、これからもマイクロフォーサーズシステムに注力していくと、力強く宣言した。

また、マイクロフォーサーズシステムは撮影行為について最適化された規格であると説明し、一眼レフカメラが抱えている問題点(重い、大きい、シャッターショック)を解決するものだと述べた。

そして、機動力の高さ、レンズの解像力の高さ、そして手ブレ補正性能の高さが揃う同社マイクロフォーサーズシステムが高画質な写真表現を実現していると述べた。

2つのプロフェッショナルモデルとして展開

社長挨拶に続いて城田英二氏(映像開発本部 映像商品企画部 部長)が登壇。新製品E-M1Xの詳細が語られた。

E-M1Xについて説明する城田英二氏(映像開発本部 映像商品企画部 部長)。

同氏はまず、E-M1Xの位置付けについて説明。E-M1XはE-M1 MarkIIの後継機種ではないと述べた上で、両機をプロフェッショナルモデルとして展開していくとした。

E-M1Xの登場により、プロフェッショナルモデルが2機になったわけだが、そのユーザー層について言及した城田氏は、写真趣味層向けのE-M5、エントリー向けのE-M10を含めた3つのラインは継続していくとした。

キーワードは“信頼性”と“機動力”

E-M1Xの特徴はいくつかのポイントにわけて説明されていったが、その1つとして「信頼性」がある。

まず「ミスのない操作の実現」、次に「圧倒的な機動性」、そして「あらゆる環境で使えること」、これら3点が特に取り上げられた。

まず「ミスのない操作の実現」とはどういうことなのか。そのポイントはボディのデザインにある。E-M1Xでは縦位置グリップ一体型の構造がとられているが、そのボタンの配置がキーポイントとなっている。

城田氏によれば、縦・横いずれの持ち方をしても同様の操作が可能なボタン配置がされており、また1つのボタンにつき1つの機能を担う構成としていることで、操作ミスが抑制されるのだという。

操作ボタンはレイアウトのほか、ボタンの高低にも手が入れられており、スティック状のフォーカスセレクターの採用などともに操作性の向上が企図されている。

次に「圧倒的な機動性」として、35mm判フルサイズ比でのサイズ・重量での利点を訴求した。

3つ目のポイント「あらゆる環境で使えること」は、高い防塵防滴性能により場所を選ばない撮影性能を獲得している点だ。E-M1やE-M5シリーズでも防塵防滴自体には対応しているが、E-M1Xは、それまでの機種を超える防塵防滴性能を獲得しているという。

耐環境性能の高さによりあらゆる場で使用できることに加え、他にもブラッシュアップされたポイントがある。新しいコーティングが施されたSSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)や放熱構造の採用、USB Type-C採用に伴うUSB PDへの対応、ダブルバッテリーの搭載などだ。

TruePic VIIIをダブル搭載したことで実現した、どちらもUHS-IIに対応するSDカードのダブルスロットも、E-M1Xの高速連写性能に一役買っている。

進化したAFシステム

E-M1Xでは、TruePic VIIIをダブルで搭載したことでAF性能も向上している。確実に被写体をとらえることができるとしてモータースポーツ/飛行機/鉄道の3つの場面が例にあがった「インテリジェント被写体認識AF」は、今後もファームウェアのアップデートで補足できる被写体を拡大していくという。

また、像面位相差AFの測距点は121点のオールクロスに対応、E-M1 Mark IIと同じくAF/AE追従で約18コマ/秒の連写が可能となっているほか、プロキャプチャーモードも引き続き搭載する。

E-M1 Mark IIに比べてファインダーの倍率は上がっており、35mm判カメラ換算で0.83倍相当になった(E-M1 Mark IIは0.74倍相当)。

段数が向上した手ブレ補正、ハイレゾショットの手持ち対応も

手ブレ補正性能の向上もE-M1Xの成長ポイントの1つにあがった。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとの組み合わせにおいて7.5段の補正効果が得られるとし、35mm判換算で200mm相当となる100mmで撮影した夜景が紹介された。手持ちかつシャッタースピード4秒でもブレのないクリアな画像が得られるという。

また、要望の多かった機能として手持ちでのハイレゾショット撮影対応も紹介された。アルゴリズム自体も新しくなっているとのことで、三脚が使えない場所での有効性が訴求された。

なお、この手持ちハイレゾショットはTruePic VIIIのダブル搭載によって実現している機能のため、E-M1 Mark IIにファームウェアのアッップデートで実装することは難しいという。同様にTruePic VIIIのダブル搭載で実現している機能としては、起動時間の高速化やインテリジェント被写体認識AFへの対応があるが、これらもE-M1Xならではの特徴となるようだ。

なお、それ以外の機能については、ファームウェアのアップデートで対応していくとのことだった。

ユニークな機能としてライブND機能が紹介された。ライブビューで効果を確認しながらの撮影が可能となっており、この点もミラーレス機ならでの利点だとしている。

この他、高感度領域にもチューニングの最適化の手が入っているため、ノイズ耐性が向上しているという。

動画撮影も強化されている。Log形式の記録に対応したことで暗部からハイライトまで白飛びすることなく撮影できるようになったほか、カラーグレーディングの調整も可能になった。

システム自体の拡充も

他に、ワイヤレスフラッシュ製品やPC用画像編集ソフトウェア「Olympus Workspace」の展開、今後同社マイクロフォーサーズシステムの象徴となるだろうと、その自信をのぞかせる「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」の開発発表のほか、倍率2倍のテレコンバーター「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」の展開予告もあった。

レンズロードマップも公開された。PROレンズでは、ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROも含めた5本のズームレンズの開発が進められているほか、今後大口径単焦点レンズの拡充も進むものとみられる。

オリンパスは2019年10月12日に創立100周年を迎える。これを記念してOM-D E-M1 Mark IIのシルバーモデルが限定発売されることも発表された。

E-M1X実機を確認

会場にはE-M1Xの実機のほか、同時に発表されたシルバーボディのOM-D E-M1 Mark IIも展示されていた。

正面
背面
天面
側面(バッテリー室側)

バッテリーはトレー状のカートリッジに取り付けて、側面から差し込む形式。三脚使用時にも交換しやすくなっている。E-M1 Mark IIと同じバッテリー「BLH-1」を使用する。

記録媒体はSDカードを使用。メディアスロットは2つ。ロックつまみで開閉する構造となっていた。

メニュー構造はE-M1 Mark IIと大きく変わっていないとのことだが、よく利用する機能をあらかじめカスタマイズして登録しておける仕組みとして「マイメニュー」が導入されている。

E-M1 Mark IIのシルバーモデルも展示されていた。

E-M1X(奥)とE-M1 Mark II(手前)を比較してみた。

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROが装着されたE-M1Xも発表会場で確認できた。

手ブレ補正ユニットの実演も。センサーシフトの可動範囲がわかる。

開発が発表されたM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROと2倍テレコンバーターのモックアップも展示されていた。

ワイヤレスフラッシュとテザー撮影を組み合わせたデモも。撮影結果はスムーズにPCへ転送、表示されていた。

本誌:宮澤孝周