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2008年度連結業績
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ソニーは14日、平成21年度(2008年4月1日~2009年3月31日)の連結業績を発表した。売上高は7兆7,299億9,300万円(前年同期比12.9%減、以下同)、営業損失は2,277億8,300万円(前年度は4,752億9,900万円の黒字)、純損失は989億3,800万円(前年度は3,694億3,500万円の黒字)。
エレクトロニクス分野は、売上高が5兆4,880億円(17%減)、営業損失が1,681億円(前年度は4,418億円の黒字)。世界的な景気後退に伴う事業環境の悪化や価格競争の激化により減収となった。主な減収要因はコンパクトデジタルカメラ、PC、液晶テレビ、ビデオカメラ。このうちコンパクトデジタルカメラは2,200万台を売り上げたものの、金額ベースでは為替相場の変動、価格下落、市場の鈍化などにより全地域で売上が下落した。
ゲーム分野は、売上高が1兆531億円(18%減)、営業損失が585億円(前年度は1,245億円の赤字)。ユーロに対する円高の影響に加え、PS2の売上が数量ベースで伸び悩んだことなどにより減収。
映画分野は、売上高が7,175億円(16.4%減)、営業利益が299億円(48.9%減)。DVDソフト市場の縮小に伴う新作および過去作品のDVDソフト販売が減少、構造改革費用の計上も減収要因となった。
金融分野は、売上高が5,382億円(7.4%減)、営業損失が312億円(前年度は226億円の黒字)。ソニー生命の損益悪化が主要因となったほか、国内株式相場の下落に伴う債権の評価損などが影響した。
その他分野は、売上高が5,396億円(41.2%増)、営業利益が304億円(50.1%減)。ソニーBMG・ミュージックエンタテインメント(ソニーBMG)の連結が主な増収要因。そのほかの売上は前年度比で減少した。
2009年度の連結業績予想は、売上高が7兆3,000億円(6%減)、営業損失が1,100億円、純損失が1,200億円。
また、2008年度の連結業績発表とあわせて、2008年12月に発表した構造改革の進捗状況についても言及、当初の予定を上回るスピードで順調に進行していると発表した。
費用削減に関しては、当初発表の2,500億円から3,000億円以上の削減に向けて施策を行なっているという。
事業所の統廃合については、57拠点のうち約1割の削減を目指すとしていたところ、現時点で8拠点(国内4拠点、海外4拠点)の削減を決定、国内においては、6月に一宮テックを、12月に小早川テック、浜松テック、千厩テックをそれぞれ終了。海外ではアメリカ・ピッツバーグとフランス・ダックスの製造事業所を既に終了済みで、メキシコの事業所を9月に終了、インドネシアの事業所は9月1日にPT Venturindo Jaya Batam社に事業譲渡予定。
また、ソニーイーエムシーエスが担当しているデジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラモジュールなどデジタルイメージング事業の国内生産オペレーションを、7月1日に幸田テックと美濃加茂テックの統合により新設する東海テックに一元化する。この統合により、重複業務の削減や間接部門の効率化を図るという。小早川テックのカメラモジュール生産も東海テックに統合される。
当初合計1万6,000人削減を目指した人員計画については、早期退職などによって正規雇用8,000人削減の目処が既に立っており、非正規雇用8,000人以上の削減についても2009年3月末時点で達成済みとしたうえで、今後も効率化を進めていくとした。
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エレクトロニクス分野の2008年度業績
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2009年度は1,200億円の純損失を見込む
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構造改革は予想を上回るスピードで進捗しているという
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都内で開催した業績発表会には、代表執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏と業務執行役兼SVPの原直史氏が出席した。
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代表執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏
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業務執行役兼SVPの原直史氏
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大根田氏はデジタル一眼レフカメラ「α」シリーズの方向性について、「当面はファミリーユースなど、エントリー層の市場で台数を稼いでいく方針。デジタル一眼レフカメラの分野においてソニーは後発で、広告宣伝などプロモーションをかけている最中。コニカミノルタと一体となった体制にも時間がかかっているし、まだ利益が出ている状況ではないが、良いものが出始めているので、来年度は黒字を目指したいと思っている」とコメントした。
また、2009年度の売上数量見通しにおいて、コンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」シリーズの売上台数見込みが前年度に比べて200万台減の2,000万台としている点に関しては「台数を増やして価格を下げるというのは避けて、台数を下げても利益を確保していきたいと思っている。台数見込みを下げなければならないのは商品力の差だが、今後商品力がつけば台数の向上も見込めると思う」(大根田氏)と説明した。
中小型液晶ディスプレイに関するエプソンとソニーの事業提携については、エプソンの事業領域とソニーの事業領域がオーバーラップしない点を挙げ、大きなシナジー効果が期待できるとの考えを示した。
生産拠点の統廃合に関する質問に対しては「合理化・効率アップを図るため」としたうえで、国内でやるべきことなのかどうかという点も考慮してのものと説明。半導体関係やCMOSセンサーなどのデバイス関係や基本的な設計などは国内で行ない、アセンブリーなどに関しては海外で行なう可能性も示唆した。
また15日から開始となる「エコポイント制度」については原氏が言及。「国内マーケットに対する需要喚起としては期待しているが、ビジネスに対する影響度は大きくない」とした。
■ URL
ソニー
http://www.sony.co.jp/
ソニー投資家情報
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/
( 本誌:関根慎一 )
2009/05/14 22:27
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