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【インタビュー】インターネット上の貸ギャラリー、富士フイルム「フォトガーデン」とは


フォトガーデンの入口。ギャラリーに展示したい人はメールアドレスとパスワードでログインする必要があるが、ギャラリーを見るだけならログインする必要はない
 デジタルカメラとインターネットの普及によって、インターネット上に写真を掲載するのもごくあたりまえのことになった。なかでもWebサイト上に写真をアップロードし、公開する「オンラインアルバム」は、カメラメーカーやソフトメーカーによるもの、写真共有サービスの専門業者によるもの、SNS機能を持つものなどとりまぜて、10指に余る盛況ぶりだ。

 そんな中、2007年末に富士フイルムが開始した新たなWebサービス「フォトガーデン」が、プレオープン期間を終え、この3日から正式サービスに移行した。フォトガーデンは、「Web上の“レンタルギャラリー”」を名乗り、従来のオンラインアルバムとは異なるコンセプトで設計、運営されているという。

 フォトガーデンがどんなWebサイトで、どのようなサービスになっていくのかを、富士フイルム新規事業開発本部の石川浩二氏と白井勇輝氏に伺った。


写真好きが集まる、美術館の庭

フォトガーデンにはウェブ写真美術館の入口から入れる
──まずは「フォトガーデン」というサービスの概要を教えてください。

白井 富士フイルムは2007年3月26日から「ウェブ写真美術館」というWebサイトを開設しています。これは、著名写真家の作品をインターネット上で鑑賞して、気に入った作品をプリントで買えるサービスです。

 このウェブ写真美術館の隣に作られた写真愛好家向けのサイトが、フォトガーデンです。写真愛好家の方なら誰でも、自分のギャラリーを持ち、作品を展示できます。展示された作品の閲覧は、フォトガーデンの登録ユーザーでなくてもできます。

 フォトガーデンという名称は、「写真美術館の庭に写真好きが集まって、思い思いに写真を展示する様子」をイメージしたものです。写真美術館に作品を展示するのはハードルが高いのですが、庭ならどなたでも展示できるわけです。


──ほかのオンラインアルバムとフォトガーデンの違いはなんですか?

白井 まずフォトガーデンは、写真を見せることを重視したデザインになっています。1画面に作品を1点ずつ表示して、じっくり見せる設計になっています。キャプションなどを入れるスペースもありますが、写真を目立たせるために文字は小さめにしています。

 それから、ギャラリーや、ギャラリー内の「テーマブース」は、誰でも簡単に作れるように配慮しています。ギャラリーのエントランスやテーマブースの壁紙、額縁の有無などをカスタマイズできるようになっていますが、これらの設定はわかりやすいように設計しています。

 ご自分でブログをお持ちになっている登録者の方も多いのですが、ブログよりもフォトガーデンのほうが、写真の展示に向いたデザインを簡単に作れるので、ブログには日常のスナップを、フォトガーデンには作品を、という使い方をされているようです。

 プロの写真家が展示しているウェブ写真美術館の隣にあるということも、フォトガーデンの魅力のひとつでしょう。プロの写真家と同じところに展示できますし、プロの写真目当てで来た方に閲覧されるチャンスもあります。


ギャラリーの作成。ステップを追って名称やデザインを決めていくので簡単。デザインは、用意されたもののほかに、自分で作成したパターンも使える ギャラリーの入口

「テーマブース」はギャラリー内に作る写真展で、1つのギャラリーのサブカテゴリとして複数作成できる。ギャラリーの作成と同様の操作で簡単に作れる「イージーメイキングコース」と、自由度の高い「カスタムメイキングコース」がある
テーマブースの入口

ギャラリーオーナーのプロフィール設定画面。「ガーデンメール」と呼ばれるユーザー同士のコミュニケーション手段も用意されている
──写真の公開にあたって、どのくらいの大きさで見せるかというのは重要なことですが、フォトガーデンではどんな基準で写真の大きさを決められたのでしょうか。

石川 B5サイズのノートPCでスクロールせずに閲覧できるというのが、大きさの基準になっています。また、無断流用を防ぐためにも、写真のサイズはあまり大きくしていません。

──無償のプレオープン期間から、有料の正式サービスに移行しましたが、正式サービスになるにあたって何か変更されたところはあるのでしょうか?

白井 プロラボ仕上げプリントを、特別価格で提供するサービスが追加されました。プロラボ「CREATE」のプリントアーティストのオペレーターが、プロ向けの出力機と印画紙で写真を出力するサービスを、通常価格の25~30%引きで利用できます。プロ写真家と同じ額装も可能です。

──ユーザー数はどのくらいですか?

石川 プレオープン期間の登録者が約1,200人、そのうち約200人の方がギャラリーを開設しています。有料サービスに移行された方はいまのところ約100人です。31日が移行の締め切りなので、それまでにはもっと増えるでしょう。


将来はレッスンや販売も

富士フイルム新規事業開発本部の石川浩二氏(左)と白井勇輝氏
──オンラインアルバムというと、一般的には無償で提供され、容量を追加したいときやプリントサービスだけが有料というものが多いと思います。フォトガーデンは通常の使用でも有料なのはなぜですか?

石川 これまでは各カメラメーカーなどで有料の写真クラブを組織して、写真愛好家のための発表の場や、スキルアップの機会を設けてきました。富士フイルムにも「フジクロームクラブ」というのがあります。貸ギャラリーなどにお金を払ってでも、いろんな人に写真を見てもらって反響を得たいというユーザーは多数いらっしゃいます。

 フォトガーデンも同じような考え方で企画しています。利益を追求するのではなく、本当に写真が好きで、お金を払ってでも発表の場がほしいという方のためサービスを目指してまいります。

 ちなみに富士フイルムは「Fotonoma」(フォトノマ)という無償のオンラインアルバムサービスも行なっています。こちらはもっとカジュアルに写真共有を楽しむ場として運営しています。

──写真クラブのデジタル版、オンライン版という位置づけですね。

石川 そうですね、特にデジタル時代になって、写真の見せ方も、ネット上に保存した画像でコミュニケーションしたり、TVで写真を見せ合うといったことが増えてきました。富士フイルムはこうした中でも、サービスレベルを上げていきたいのです。画像の加工や保存を商品化していくうえでは、こうした場でお客様と接することが大切と考えています。

──写真の発表の場、貸ギャラリーという観点では、写真を見に来る人を集めるのが重要になると思いますが、どのような誘導策をお考えですか?


石川 フォトガーデンにはウェブ写真美術館の入口から入るようになっていますが、これがまず1つの誘導策です。ウェブ写真美術館に来た方に、フォトガーデンをのぞいていただくチャンスがあるわけです。写真家の方のブログなどでもPRしていただいています。

 写真愛好家の集客はできているわけですが、今後は、より多くの方に写真を見ることや、写真を飾ることを知っていただきたいので、写真以外のジャンルのサイトでのPRも行なう計画があります。たとえばインテリア関連のサイトや、百貨店、美容関係などからウェブ写真美術館やフォトガーデンへ誘導を図ることを考えています。日本では写真を飾るということがまだ定着していないので、オフィスなどに写真を飾ることを提案して、ムーブメントを起こしていきます。

──現在は貸ギャラリーとプロラボのプリントサービスが行なわれていますが、今後はどのようなサービスをお考えですか?

石川 さまざまなレッスンを企画しています。写真の撮り方、作り方はもちろんとして、写真の選び方や、ギャラリーや展覧会の作り方のアドバイスをもらえるようなレッスンにしたいです。

 また、作品を販売したいという声も多く聞かれるので、そのような仕組みも作りたいです。フォトガーデンのユーザーから、ウェブ写真美術館で写真を販売する方が出てくるようになるといいですね。

 私たちが提供するのはフォトガーデンの機能で、コンテンツはユーザーのみなさんのものです。これからもユーザーの方と一緒に、フォトガーデンを作り上げていきます。



URL
  ウェブ写真美術館
  http://www.fujifilmmuseum.com/
  フォトガーデン
  http://www.garden.fujifilmmuseum.com/

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富士フイルム、写真家の作品を鑑賞して買える「ウェブ写真美術館&ショップ」(2007/03/15)


( 本誌:田中 真一郎 )
2008/03/25 16:50
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