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左からジョン・ノール、トーマス・ノール、ラッセル・ブラウンの各氏
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アドビシステムズは25日、「Photoshopスペシャルセッション」を開催した。
ユーザーイベント「Photoshop World」に関連して行なったもので、米Adobe SystemsのPhotoshop開発者であるトーマス・ノール氏、同Photoshopエバンジェリストのラッセル・ブラウン氏、米Industrial Ligth&Magic(ILM)の視覚効果スーパーバイザーであるジョン・ノール氏が出席し、CS3でVer.10となるPhotoshopと、25周年を迎えるAdobe Systemsの歴史を語った。
■ PhotoshopとLightroomの同時購入で割引も
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制定されたPhotoshopのブランドマーク
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ブラウン氏とノール両氏のセッションに先だち、アドビシステムズのシニアフィールドプロダクトマーケティングマネージャである栃谷宗央氏から、Adobe Systems設立25周年とPhotoshop Ver.10を記念して、Photoshopのブランドマークが制定されたことが発表された。
また、米国でLightroomとCS3(Extended含む)を同時購入すると最大150ドルが割引かれるキャンペーンが行なわれていることを紹介し、日本でも同様のキャンペーンを計画中であることを明らかにした。
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栃谷宗央氏
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米国で展開中のキャンペーン。同時購入で最大150ドル安くなる
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広がるPhotoshopファミリー
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Photoshopファミリーは左利き用Photoshopやパパラッチ用Photoshopにも拡大……というのは栃谷氏の冗談
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■ WWWとインクジェットプリンタがPhotoshopのターニングポイント
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1.0からCS2までの歴代パッケージ
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ジョン・ノール氏とトーマス・ノール氏は兄弟で、“Photoshopの生みの親”と言われる。実際、トーマス氏の名前は今でもPhotoshopのスタッフリストの先頭に記載されている。生みの親と“Photoshopの伝道師”として名高いブラウン氏の豪華な組み合わせだが、ブラウン氏によると、この3人が集まったことは米国のイベントでもないそうだ。セッションは、ブラウン氏がノール兄弟からPhotoshopの歴史を聞く形で進んだ。
ジョン氏はILMで「スターツアーズ」(映画スターウォーズをベースにしたディズニーランドのアトラクション)の視覚効果などを手がけていたが、その画像処理用に当時は大規模で高価なコンピュータを使わなければならないことに不満を持っていた。
自分で買えるコンピュータでこんなシステムを使いたい、とトーマス氏に話すと、たまたまトーマス氏が博士号論文のために制作していた画像処理プログラムを使わせてくれることになり、それが使いやすかったために商用ソフトとして売り出そうと提案したという。
しかし「私たちは画像処理プログラムのアイデアにわくわくしていたが、売り込んだ先の反応はさまざまで、“誰がこんなもの買うんだ”という人もいた」という。
その原因をトーマス氏は「インフラが整っていなかった。開発していた当時は、フラットベッドスキャナがやっと出てきた頃で、7,000ドルもしたし、出力の方法はプリントしかなかった」と語る。
その後のPhotoshopのターニングポイントについても「最初の波はWWWが出てきた後だった。軽い画像をWWWにのせるために、Photoshopのユーザーベースが大きくなった。その次の革新はインクジェットプリンタで、デスクトップで安価にきれいな出力を得られるようになったことだ」という。
ジョン氏は「その当時の私たちは知らなかったのだが、同じような製品をつくろうとしていた大きな会社がほかに2つあって、作業も進んでいた。私たちがそれを知っていたら、くじけていたかもしれない。ふたりがいいアイデアを持っていれば、大きい会社とやりあえるんだということは、大きな教訓だ」という。
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Ver.0.07のクレジット。スタッフはトーマス氏のみ
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1.0のクレジット。ジョン氏とブラウン氏の名前も見える
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CS3(Ver.10)のクレジット。トーマス氏の名前が先頭にある
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PowerPC上で実行した1.0。レベル補正ダイアログボックスのインターフェイスは基本的に今も変わらない
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■ Photoshopのバージョンの歩みとこれから
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ブラウン氏が「100万回やった」というオブジェクトを複製するデモ。このデモを見て感激のあまり泣き出した人もいるという
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PhotoshopのVer.1.0は3枚のフロッピーディスクで提供された。「プログラムは1枚だった。それ以外に画像サンプルを1枚におさめて、もう1枚がチュートリアルディスク」(トーマス氏)。
この当時はコンピュータが非力だったこともあって、全画面表示や処理結果のプレビューなどはできなかったし、フィルターの適用には数秒間を要した。また、このバージョンでは1ピクセルに対して1オペレーションしかできなかったという。「Camera RAWでは1ピクセルあたり1万オペレーションを行なっている」(トーマス氏)
Mac OS用に開発されていたPhotoshopだが、Ver.2.5でWindowsへの対応を果たす。「Photoshopは(プログラミング言語の)Pascalとアセンブリコードを組み合わせて書いた。Windowsに対応するにあたって、PascalをC++に変換し、アセンブリコードをインテルプロセッサ向けに書き直す必要があった。これには非常に長い時間、2年くらいがかかった」(トーマス氏)。
レイヤー機能が追加されたVer.3.0は、ラッセル氏によれば「大きな転機だった」という。またVer.4.0でヒストリー機能が追加された。
トーマス氏は、カラーマネジメントの開発などを経て、この5年ほどはCamera RAWに携わっている。「Camera RAWはPhotoshopにできることを再考し、Photoshopのために作った画像処理アルゴリズムを現代的なものに書き換えるチャンスだ。次世代のPhotoshopを作らなければならない時期に来たのかもしれない」という。
トーマス氏はもともと写真が好きで、画像処理プログラムを手がけたという。「Photoshopに携わるようになってからは写真をやめてしまったが、デジタルカメラが安くなってフィルムカメラを置き換えるようになってから、また写真を始めた。このようなことを可能にしたソフトウェアに関わることができたのを誇りに思う」とセッションを締めくくった。
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1.0に搭載されていたフィルタ
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ジョン氏がILMで手がけた映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」でも、背景や船、テクスチャのペイントにPhotoshopが使われている
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ジョン氏が手がけた映画「アビス」の一場面。左のアメーバ状のものにエド・ハリス(右端に本人が映っている)の顔を貼り付けるのに、Photoshopが使われた
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アビス制作中の様子。左端がジョン氏、その右に立っているのがジェームズ・キャメロン監督。右端、後ろ向きに座っているのがエド・ハリスで、左のシーンのために顔をスキャンされているところ
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■ URL
アドビシステムズ
http://www.adobe.com/jp/
Photoshop World
http://www.photoshopworld.jp/
■ 関連記事
・ Photoshopの伝道師「ドクター」ラッセル・ブラウンにインタビュー(2006/12/04)
( 本誌:田中 真一郎 )
2007/10/25 21:45
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