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「Macworld Conference&Expo」スティーブ・ジョブズ氏基調講演

~「Apple TV」と「iPhone」のフォト機能を解説


会場:米サンフランシスコ Moscone Center
会期:1月8日〜12日(現地時間)


Appleのスティーブ・ジョブズCEO。巧みな話し方とジェスチャーで聴衆の関心を常に惹きつける氏のキーノートスピーチは、入場制限が行なわれた
 Macworld Conference&Expoで米AppleのCEOスティーブ・ジョブズ氏が行なった基調講演については、すでにPC Watchでも詳報をお伝えしている通りで、また米AppleのWebサイトでもその内容を見ることができるので、デジカメWatchでは新製品となる「Apple TV」と「iPhone」のフォト機能を中心に紹介する。

 基調講演では、まず同社製品の販売が好調であるという報告から始まり、続いてiPodのセールスが、マイクロソフトのZune発売後も引き続き好調であることに触れた。
 
 そのあとすぐに新製品Apple TVの発表が行なわれたが、講演の中でApple TVの説明に割いた時間は実際にはかなり短く、時間の大半がiPhoneに使われた。

 さてそのApple TVだが、40GBのHDD内蔵モデルのみ1機種がリリースされ、写真だけなら2万5,000枚を保存できるとしている。実際にはApple TVを買って写真のスライドショウだけ使うことはまれなので実際にはもっと少なくなるだろう。


 基調講演ではApple TVの出力が720pとだけ紹介されていたが、後にAppleの展示会場で担当者が「Apple TVの出力は1080iまでサポートする。ただしムービー再生は720pまでとなる」と説明していた。写真のスライドショウなどでは1080iがサポートされるのかもしれない。

 ソニーPS3のスライドショウ機能には、写真から人間の顔を検知してスクロールやズームイン、ズームアウトを自動的に行なう機能があるが、どうやらApple TVのスライドショウも人物や人間の顔を検知しているかのような振る舞いが見られた。

 対応する画像ファイルの種類は、JPEG、BMP、GIF、TIFF、PNGとなっている。


 この後で、いったん大型スクリーンではApple TVの画面から、真っ黒な画面に表示が変わった。ここで新たに表示されたのが、今回Macworldのコピーともなっている「The first 30 years were just the beginning. Welcome to 2007.」 である。

 「この製品が発表できることを私は2年半、待っていた」

 「当社は1984年Macを誕生させ、つぎに2001年iPodの発表によりそれまでの音楽シーンをすっかり変えてしまった。そして2007年、Appleは革新的な3製品を発表する。最初に紹介するのがワイドスクリーン、タッチコントロールiPod。続いて革新的な携帯電話。最後にブレイクスルーインターネットコミュニケーターだ」といって、まずは3つの製品がそれぞれ別に存在するかのような口ぶりで紹介が始まった。

 「iPod、Phone、Internet……iPod、Phone、Internet……」と彼が繰り返し口にすると次第に聴衆から拍手がわき起こり、スティーブ・ジョブズ氏も「You're gettting it?(わかったかい?)、実はこれら3つは別々の製品じゃないんだ」と言って、iPhoneを劇的に紹介した。

 iPhoneのスペックについては割愛するが、カメラ機能について少々紹介しておこう。いまどきの携帯電話には必ずついているカメラ機能だが、iPhoneにも200万画素のカメラが搭載される。また内蔵ストロボは搭載しない。残念ながら、基調講演では写真を撮ってそれを表示させるというデモは無かったので、ズーム機能があるかどうかなどは不明だ。




 iPhoneがサポートする機能の1つに「Photo」というモードがある。これはiPodのフォト機能と同等のもので、iPhoneが持つ内蔵ストレージに複数のライブラリを保存させることができる機能だ。iPhoneには、他社の携帯電話が持つようなメモリーカードスロットが無いために、写真を取り込むには、iPodと同じくPCと同期する方法になるようだ。

 またiPhoneはWi-Fi(IEEE802.11b/g)とBluetoothによるワイヤレス通信をサポートするが、もしかするとこれらを使って写真の取り込みもできるかもしれない。いずれにせよ、手持ちのデジタルカメラで撮った写真をその場で再生させるのはちょっと難しそうだ。


 iPhoneには3種類のセンサーが内蔵されており、それぞれ「proximity sensor」(耳がiPhoneに近づくと、自動的に液晶表示を止めて省電力に入る)、「ambient light sensor」(周辺の光量を検知し、スクリーンのブライトネスを自動調整)、「accelerometer」(モーションを察知して表示画面を自動回転させる)となっている。

 特に、accelerometerはフォト機能でもかなり有効な機能であり、通常の縦置き画面でランドスケープの写真を見ると上下にスペースのあるかなり縮小された画像として表示されるものが、横向きに持ち替えることで写真も横向きに変換され、画面いっぱいに表示される。

 またiPhoneではイメージをスライドショウとして使うだけでなく、他の機能ともシームレスに利用することが可能である。基調講演でスティーブ・ジョブズ氏が見せたデモは実際に外部と通話しながら、相手先から頼まれた写真を電子メールに添付して送るというもので、通話とメール送信が同時に行なえることを証明して見せた。


 iPhoneの特徴の1つとして、同社が特許を持つ「Multi-touch」というユーザインタフェースがあるが、これはたとえば写真を拡大するときに親指と人差し指をくっつけた状態で液晶画面の1点を抑え、そのまま指を離していくと画面上の写真がズームするというものである。逆に画面上で2点を抑え、指をつまんでいくと画像が縮小表示される。ちなみに同社は、iPhoneに関して200以上ものパテントを持っているという。

 また、iPhoneの画面は160ppiであることが基調講演でも触れられていたが、実際細かい文字が美しく表示されるだけでなく、写真などのイメージもかなり精細に描写されていたのが印象的だった。

 米国での価格は4GBモデルが499ドル、8GBモデルが599ドルとなっており、まず最初にアメリカ市場に投入される。また米国でのキャリアはCingularとなっており、Quad GSM+EDGEネットワークをサポートする。

 最後に、「今日、社名を変更することをお知らせする」といって正面スクリーンに映し出された「Apple Computer Inc」から「Computer」の文字が消え、「Apple Inc」となったことがジョブズ氏の口から報告された。

 「昨夜は眠れなかった」と吐露するなど、Appleにとっても大きな転換期に入ったようだ。

  Macworld Conference&Expo(英文)
  http://www.macworldexpo.com/
  キーノートアドレス(動画)
  http://events.apple.com.edgesuite.net/j47d52oo/event/
  Apple Computer(英文)
  http://www.apple.com/
「Macworld Conference&Expo」開幕前日レポート(2007/01/09)


( 本誌:青山 貴司 )
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