フラットパネルディスプレイ関連の総合展示会「FPD International 2006」が横浜 みなとみらい地区のパシフィコ横浜で開幕した。会期は20日まで。入場料は2,000円だが、事前登録者は無料。またFPD International 2006のサイトで無料招待券がダウンロードできる。
FPD Internationalは各種液晶やプラズマなどのフラットパネルディスプレイと、製造装置、素材などの総合展示会で、1994年から開催されている。今年は11カ国360以上の企業/団体か出展し、フラットパネルディスプレイの最近の傾向を一望できるイベントとなっている。
今年の傾向としてはパネルの大型化、再現色域の拡大、低消費電力化、薄型化があげられる。搭載製品のサイズが制限されるデジタルカメラにおいてはパネルの大型化はあまり関係ないものの、残りの要素はすべて重要であり、各社でさまざまな試みが見られた。
ここではデジタルカメラ関連で目に付いた展示をレポートする。
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会場となったパシフィコ横浜
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■ 日立はAdobe RGB対応などデジカメ向けに4つの参考展示
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日立ディスプレイズのデジカメ向けパネルを搭載した製品が展示された
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会場で見かける小型の液晶パネルの大半は、携帯電話や自動車を主たる目的とするもので、デジタルカメラ向けとして展示されているものは少ない。
そんな中で日立ディスプレイズとIPSアルファテクノロジ(日立、東芝、松下によるTV用液晶パネル合弁会社)の合同ブースでは「デジタルスチルカメラ」コーナーを設け、デジカメ向けの参考展示品を4つ展示するなど、デジカメ向けパネルへの注力ぶりがアピールされていた。
同社が開発したIPS(In-Plane-Switching)方式の液晶パネルは、応答速度が低い反面、視野角が広く、発色もよい。静止画表示を主目的とするデジカメに適したパネルであることから、展示にも力が入ったということだろう。今回の展示では画質面での進歩がアピールされていた。
もっとも注目されていたのがAdobe RGBに対応した2.98型のパネル。カラーフィルタとバックライトにより、消費電力を抑えながらAdobe RGB色空間を再現できるようにしたという。参考展示されたパネルは960×240ピクセルの開発品だった。
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右が参考展示品。左は従来のAdobe RGB非対応パネル。Adobe RGBのデータを表示して比較した
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デジカメ向けに消費電力にも配慮されている
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画像調節機構つきの2.46型パネル
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2.46型で960×240ピクセルの開発品は、ガンマ、コントラスト、輝度をRGBごとにユーザーが調整できる機能を備えたパネル。ホワイトバランスや色をユーザーの好みで調整できるという。参考展示されたパネルは、色温度や輝度を順次変えるデモを行なっていた。
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デジカメ向けのIPS-Pro方式パネル
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IPS方式パネルには輝度やコントラスト比が低いという弱点もあったが、2004年にはこれらを克服したIPS-Pro方式パネルがTV向けに登場した。このIPS-Proをデジカメ向けとした開発品も参考展示されていた。2.98型、640×480ピクセルで、300cd/平方mの輝度と、500:1のコントラスト比を実現している。ピントや被写界深度を確認しやすいという。
日立の4つ目のデジカメ向け参考展示は2.5型の有機ELディスプレイ。高輝度、高コントラストで広視野角が広く、薄型軽量なパネルを実現できる有機ELディスプレイは、デジカメをはじめとするモバイル機器に最適なパネルだが、日立は同社独自の発光期間変調駆動技術を採用。消費電力を削減し、滑らかな動画像を実現したという。展示されたパネルは640×480ピクセル、輝度300cd/平方mだった。
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参考展示された2.5型有機ELディスプレイ
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動画表示と消費電力を改善
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■ そのほかの展示
このほかのブースではデジカメに特化した展示はほぼ見られなかったものの、デジカメに関連しそうで興味深いものがいくつか見られた。
今回の会場でよく見られたのが省電力への取り組み。三洋エプソンでは消費電力を従来比20~30%とした小型パネルを参考展示した。LEDバックライトを採用し、外光に応じて自動的に調光する仕組みを備える。
同ブースでは、2.6型で1,024×768ピクセル、498ppiの高精細パネルも参考展示。視野角も上下左右180度と広い。モバイルPC向けとなっていた。
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三洋エプソンの自動調光パネル。写真は周囲が明るいときで、バックライトも明るくなっているが、周囲が暗くなるとバックライトも暗くなり、消費電流が10mA程度下がる
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外光に応じてバックライトの輝度を調節し、消費電力を下げる
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これは三洋エプソンでなくロームブースだが、外光を測定してモニターを制御する照度センサICを開発中。デジカメも用途に含まれている
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三洋エプソンの超高精細な2.6型ディスプレイ。デジカメ搭載も期待されるところだが、現状はモバイルPC向け
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小型のモバイル向けパネルでは薄型化、軽量化も大きなテーマのひとつ。シャープは2.8型の狭額縁パネルを展示していた。
小型軽量化という点で興味深いのが、東芝松下ディスプレイテクノロジーの指入力液晶。液晶パネルのガラス基板に回路を作るシステム・オン・グラス技術により、液晶パネル内に光センサーを設けたもので、センサーが指の位置を読み取ってくれる。これにより、タッチパネルを別に取り付けることなく、指入力が可能な液晶パネルが実現した。タッチパネル付きのコンパクトデジカメもいくつか登場していることから、注目に値する技術だろう。
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シャープの2.8型狭額縁パネル
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狭額縁パネルの奥行き
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タッチパネル不要の指入力液晶
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指入力液晶の説明
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■ URL
FPD International 2006
http://expo.nikkeibp.co.jp/fpd/
( 本誌:田中 真一郎 )
2006/10/18 21:41
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