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米Microsoft、新画像フォーマット「Windows Media Photo」を解説
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~日本写真学会に開発責任者が来日
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デジタルメディア部門シニアプログラムマネージャーのBill Crow氏
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日本写真学会は24日、神奈川県の湘南国際村センターで「サマーセミナー2006」を開催した。同学会は、フォトイメージング全般に関する研究についての情報交換を行なっている。
セミナーでは、Microsoftの次期OS「Windows Vista」でサポートする新画像フォーマット「Windows Media Photo」(以下、WMP)の開発責任者であるBill Crow氏が来日。「A Technical Introduction to Windows Media Photo」と題した講演を行なった。
同氏は、デジタルイメージング分野のソフトウェア開発などを経て、1999年にMicrosoftに入社。デジタル写真技術の開発に携わった。その後、2002年にWMPのプロジェクトを立ち上げ、現在はWMPの全体設計と開発の責任者を務めている。
■ センサーからの情報を失うことなく利用可能
同氏はまず、デジタル画像のフォーマットとしてJPEGが事実上のデファクトスタンダードとなっている中で、なぜ新たな画像フォーマットが必要なのかを説明した。
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JPEGでは対応できない広いダイナミックレンジやカラースペースに対応
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WMPは、JPEGと画質が同等ならファイルサイズを1/2にできる
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大きな理由として、近年の目覚ましいデジタルカメラの性能向上をあげた。現在のデジタルカメラは、以前に比べて広いダイナミックレンジで記録可能になったが、JPEGというフォーマットのために、多くの情報を捨てざるを得ない。
撮像素子が出力したすべての情報を保存できるRAWフォーマットを使うのも一つの手だが、カメラメーカーによって異なる仕様や大きなファイルサイズといった面から、使い勝手がよいとは言えないと指摘。その上で、「貴重なカメラの情報を失なうことのない画像フォーマットが必要になった」と開発の背景を述べた。
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sRGBに比べて、広い色空間を持つscRGBに対応
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scRGB対応となるWMPでは、露出補正によってディテールが再現可能
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8bitのJPEGとTIFFの場合には、輝度が0~255の範囲外となる情報を切り捨ててしまう。16bitのTIFFではダイナミックレンジは改善されるものの、それでも情報の欠落は発生する。しかし、WMPは16および32Bitに対応。加えて、現在主流の色空間であるsRGBに比べ、広いカラースペースを有するscRGBをサポートすることで「カメラの持つ性能をすべて活用できる」と述べた。
同氏は、「現状でもRAWフォーマットを使用すれば、情報を失うことは無いが、WMPではJPEG使うように手軽な感覚でハイダイナミックレンジデータを利用できる」とした。
■ 高い圧縮率ながら高画質を確保
続いて同氏は、WMPの大きな特徴である高い圧縮率についてサンプル画像を示しながら解説した。
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非圧縮のBMP画像を基準に、1/12圧縮のJPEG、1/6圧縮のJPEG、WMPの比較をデモンストレーションした
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こちらはコーデック別のデモ。WMPは1/24圧縮時でもマイクロブロックは現れなかった
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画像を圧縮すると特に輪郭部分にノイズが発生するが、1/6に圧縮したJPEG画像と1/12に圧縮したWMPのノイズがほぼ同じになっていることから、「WMPを使えば、画質が同じ場合、JPEGに比べてファイルサイズを半分にできる」と語った。加えて、発生するノイズをランダムに拡散させることで、見た目のSN比も向上するとした。
また、コーデックによる画像再現性のデモも行なった。オリジナルの非圧縮BMP画像に比べて、JPEG画像ではたくさんのマイクロブロック(高圧縮時に現れるブロック状のノイズ)が発生し、画像に悪い影響を与えていた。JPEG2000では、マイクロブロックは発生していなかったが、細かい部分のシャープさが失われていた。一方WMPは、1/24圧縮なので劣化はもちろんあるものの、JPEGのようにマイクロブロックは発生せず、シャープさも保っていた。
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ロスレス圧縮時の圧縮率のサンプル
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WMPは、非可逆圧縮のほかに情報を完全に復元できるロスレス圧縮をサポートしている。同氏は、ロスレス圧縮時サンプルを提示し、圧縮率の違いについて説明した。
それによると、圧縮率の差の大きな要因はノイズの量であり、高感度で撮影したノイズの多い画像は、圧縮率が低くなってしまうと述べた。
■ シンプルなハードウェアで対応可能
WMPは、可逆/非可逆圧縮に1つのアルゴリズムで対応し、符号化と復号化が対称的な処理になっていることから、比較的シンプルなハードウェアで扱うこと可能だという。さらに、圧縮した状態のままで回転、反転、リサイズなどの処理も高速にできるとした。
また、Vistaではプリンタ出力に「XPS(XML Paper Specification)」と呼ばれる新技術を導入。XPSにより、ハイダイナミックレンジデータをデジタルカメラなどのソースデバイスからプリンタに至るまで「End to End」でサポート可能な点を強調していた。
WMPではIFD(Image File Directory)タグとExifをフルサポートする。なお、WMPが対応する最大の解像度は、2億6,800万×2億6,800万ピクセルと非常に大きなものとなっている。
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フルフレームバッファは不要で、メモリも最小限ですむという
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メタデータは、互換性を保つためTIFF同様のものを採用
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■ WMPの採用を積極的に呼びかけ
同氏は、「WMPの技術は、すでに確立している」と述べ、開発中のVistaにWIC(Windows Imaging Component)として組み込んでいるとした。
Microsoftは現時点で、WMPに対応するデバイスやメーカーなどは明らかにしていないが、対応デバイスの開発を計画しているメーカーには、同社のライセンス条件に応諾した上で、ソースコードやサンプルプログラムなどを含む開発キットを無料で提供するとした。同氏は、「Microsoftとして開示できる情報はすべて公開しているので、是非WMPの採用を」と語った。
またMacintoshにおいては、Vistaを発売する頃を目処にQuickTimeのコーデックとしてWMPをサポートしてもらう予定であることを明らかにした。
■ URL
Microsoft(英文)
http://www.microsoft.com/
Windows Media Photo
http://www.microsoft.com/japan/whdc/xps/WMPhoto.mspx
■ 関連記事
・ 米Microsoftの新画像フォーマット「Windows Media Photo」とは(2006/05/29)
・ 米Microsoft、新画像フォーマット「Windows Media Photo」発表(2006/05/26)
( 本誌:武石 修 )
2006/08/25 12:57
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