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写真家ユニット「デジタル侍」、トークショウを開催

~新加入メンバー2人も発表

吉田繁さんの挨拶でトークショウ開幕
 写真家ユニット「デジタル侍」は20日、写真展「風林火山絵巻」の併催行事としてトークショウを開催した。会場はキヤノンSタワー3階 キヤノンホールS。この入場無料のトークショウには、定員200名のところ400名を超す応募が集まった。

 まずはメンバーそれぞれが持ち寄った記念写真を紹介し、会場を沸かせてから、今後、ユニットに参加する新メンバー2名を紹介した。1人は、広告やポートレートなどで幅広く活躍中のたかはしじゅんいちさん。最近では「秋吉久美子写真集」や舞台「浪人街」の写真ビジュアルを担当している。ニューヨークと東京を行き来して仕事をされており、この日はニューヨーク滞在中のため、残念ながら欠席だった。


左が新しく参加した清水哲朗さん。今日は司会進行役。その隣から岡嶋氏、土屋氏、川合氏
 もう1人は先般、第1回名取洋之助写真賞を受賞した清水哲朗さん。モンゴルをテーマに撮影を行ない、各種写真教室の講師も積極的に行なっているので、おなじみの人も多いだろう。この日は、司会進行を務めた。

 この紹介のあとは作品を上映しながら、作者による作品解説と、メンバーによる追加質問が行なわれた。

 以下は各氏による作品解説(敬称略)。


吉田繁

 「デジタルカメラは、8×10以上の大判カメラの解像度にかなわない。デジタルで目の覚めるような高精細な画像を得るために、およそ半年前から1枚の映像を細かく分割して撮影し、解像度を上げる撮影方法を試みている。今回、展示した作品はEOS 30Dを使い、1枚が1億画素を超す解像度になっている」。

 「デジタルは空気感が表現できないといわれるが、今後は100mmぐらいのレンズで、ぼけ味を活かすことにより、その点も実現していきたい。さらに精度の高い撮影ができるように、正確にカメラを2度ずつ動かせる雲台を、町工場の職人さんに依頼して開発中です」。


この1枚で解像度は1億ピクセルを超す
撮影には工夫を凝らした三脚を使う

土屋勝義

この5つのカットを1枚に合成した。時空間パノラマ絵巻だ
 「7人のモデルを使い、5つのカットを1枚に合成した。役者の人数もあるが、それぞれ違うライティングで撮影したかったからだ。中央の1人以外は2回登場しているので、全部で13人が写っている。背景がきれいにつながるように撮影したかったが、撮影中に三脚を蹴飛ばしてしまったので、若干、画像処理で直した部分がある」。

 「撮影では、私が役者さんの横で演技指導をしていたので、出番待ちの役者さんに交代でシャッターを押してもらった。高感度は使いたくないので、今回はISO100、シャッタースピード1秒で撮影した」。


岡嶋和幸

10点以上の作品を横に長く、1枚につなげることで、物語性を強調した
 「小学生の学校帰り、寄り道をして遊んで帰った光景を思い出しながら撮影した。いま実家のある福岡に帰っても、こんな風景は残っていない。これは沖縄の竹富島に3日間、滞在して撮影した。沖縄とわからないように撮ったが、写っている蝶を見て、場所を言い当てた人もいた」。

 「自分で選んだ20~25点をはがきサイズにプリントし、それを土屋さんと一緒に、朝までかかって選んだ。1枚で主張する写真は外している」。


小林義明

このひまわりは、単にブラして撮影しただけではない。風の流れる道を観察して撮影しているのだ
 「“未来に残していきたいもの”というメッセージを出せないかと、写真とそれにまつわる玩具などを合わせて展示した。ひまわりは風をイメージしたので、風車を置いた」。

 (川合さんから、ひまわりがここまでぶれるのは相当風が強かった?と質問)「はい、台風が接近していました。フィルターをかけて5秒ぐらい露光しています。広い範囲を見ていると、風の流れる道が見える。その流れを観察し、タイミングを計って撮影しています」。

 「和紙を選んだのは、大きく伸ばすので、画質のアラが吸収されるのではと思った。結果的には、派手な絵柄と、落ち着いた絵柄の写真が上手くひとつの空間に収まる効果もあった」。


川合麻紀

実際のオーロラはもっと白っぽかったりする。氷点下30度だと、レリーズさえ凍ってしまうのだ
 「撮影地はカナダのイエローナイフ。氷点下30度ぐらい。寒い場所で長い時間待てる国民は日本人だけのようで、見事に日本人しかいません。実際のオーロラは、最初は雲かと思ってしまう。(識別方法は? の質問に)撮影してみてグリーンに写ればオーロラ、白く写ったら雲(笑)」。

 「今回は、月明かりのある光景を展示した。地上の風景が入れられるので、私は好き。通常はISO1600でF2.8、30秒前後露光しますが、月の明るさによっては4~6秒。オーロラの動きは速く、流れてしまうので、実際の光景とは違って写る。オーロラは放電現象なので、ホワイトバランスの設定が難しい。もし、オーロラを見に行こうと計画しているのであれば、8月の終わりから9月下旬までだと0度前後なので快適ですよ」。


豊田直之

 「東京湾・富津で撮影したもので、北の海に生息する海藻と、南の暖かい海を好む珊瑚が共生していた。陸上に四季があるように、海中にも季節がある。海藻は11~12月上旬に芽吹き、1~2月上旬に繁茂する。魚はこの時期に稚魚が生まれるように産卵し、3~4月上旬、水温が上がるにつれ、海藻がちぎれていく。ここに稚魚がくっついて、沖に流されていく」。

 「釣りの錘が珊瑚の中に落ちていた。錘は鉛で、毒性が強いのだが、珊瑚はその錘を覆い隠すように成長していた。私は、珊瑚が自らを犠牲にして、鉛の毒を封じ込めようとしているのではないかと思う」。


これが東京湾(富津)。このきれいさは約30年前の伊豆の海に匹敵するという。写っているのが珊瑚(ソフトコーラル)だ
豊田さんは8色刷りの美しいポスターを持参。珊瑚の保護活動を行うWWFに寄付するため1部100円で協力を呼びかけると、多くの人が賛同してくれた


URL
  たかはしじゅんいち氏のサイト
  http://www.adwave.co.jp/juntakahashi/
  デジタル侍写真展 風林火山絵巻
  http://cweb.canon.jp/s-tower/floor/2f/gallery/d-samurai/index.html

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【写真展リアルタイムレポート】
デジタル侍写真展「風林火山絵巻」(2006/05/16)



( 市井 康延 )
2006/05/22 15:11
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