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【PIE2006】アップル、Aperture 1.1を公開
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~ユニバーサルバイナリ化だけでなく、大幅な性能向上
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アップルのブース
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フォトイメージングエキスポ2006(PIE2006)
会場:東京ビッグサイト
会期:3月23~26日
フォトイメージングエキスポ2006(PIE2006)に初めて出展したアップル・コンピュータ。国内最大の写真と映像の大イベントとあって、同社ブースはAperture一色。まもなく登場するユニバーサルバイナリ版(Power PC Mac、Intel Macの両方に対応するバージョン)のVer. 1.1βを、Intel Core Duoプロセッサを搭載したiMacやMacBook Proでデモした。
PIE開催に合わせて来日した米Appleのプロフェッショナル アプリケーションズ マーケティング シニアディレクターKirk Paulsen氏に、Aperture 1.1で新しくなったポイントを聞いてみた。
■ RAW画像処理を1から作り直して性能向上
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Kirk Paulsen氏
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従来のVer.1.0(1.0.1)との最大の違いは、Intel Macに対応したこと。まあ、ユニバーサルバイナリなのだから当たり前といえば当たり前である。
が、新しいVer.1.1では、「RAWイメージングパイプライン」(取り込んだRAW画像を表示したり、調整したり、出力したりといった一連の作業を受け持つ部分)を1から作りなおしたという。おかげで、従来のPower PC Macでもパフォーマンスが向上している。
もちろん、Intel Macでも快適そのものの速さ。デモではキヤノンEOS-1Ds Mark IIのRAW画像(公称のファイルサイズは約14.6MB)をピクセル等倍で表示して、それを3コマ同時に自由自在にスクロールするという、呆気にとられるほどのハイパフォーマンスを見せつけた。しかも、それがコンシューマユースのiMacやMacBook Proで実現しているのだ。RAWユーザーなら感動間違いなしである。
画質面でもかなり改善が見られた。おもなポイントは、ハイライトの表現、シャドー部のノイズ、シャープネスの3つ。
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Aperture(画面は1.0)
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Aperture(画面は1.0)
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Ver. 1.0ではハイライトのエッジ部分に見られた色のニジミを、Ver.1.1ではものの見事に消してくれていたし、「Chroma Blur」によって、クロマノイズ(色のノイズ)や輝度ノイズの低減がしやすくなった。また、シャープネスの調整も細かくなって、よりハイクオリティなRAW現像処理が可能になった。また、Boostでは画像のコントラストを強めたり弱めたりできる。
加えてRAW調整のパラメーターのコピー&ペーストが可能になった(Paulsen氏はLift and Stampと言っていた)。これはAdobe Lightroomではすでに装備されているもので、同じシチュエーションで撮った複数の画像に対して同じ調整を行なう際に、非常に便利な機能である。
【お詫びと訂正】記事初出時「Lift and Stamp」の名称を誤って記述しておりました。お詫びして訂正させていただきます。
■ 処理履歴を残す「バージョンファイル」を採用
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Appleブースでも、Power PC MacとIntel Macの両方でデモ
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おもしろかったのは、Ver.1.0で調整された画像に対する処理の仕方。Ver.1.1は旧バージョンのライブラリ(取り込んだ画像をひとまとめにしたデータベースファイル)を自分用に変換し直すが、このときに「Ver.1.0で調整した内容をそのままにする」と「アップデートする」、「新規に作成したバージョンファイルをアップデートする」が選べる。Ver.1.0で調整した完成画像を、アップデートによって未完成状態に戻すのは合理的ではない。反面、アップデートすることで、画質向上をはかるのも手(ただし、再調整の手間が増えることになる)。両者の折衷案が、「新規バージョンファイルをアップデート」だ。
バージョンファイルは、画像ファイルに対して調整した内容だけを保存したもので、画像をコピーするのと違って、小容量ですむメリットを持つ。新規に作成したバージョンファイルをアップデートすれば、Ver.1.1の画質の向上ぶりが目に見えてわかるという寸法だ。なかなか賢いやり方だと思う。
そのほか、複数のレイヤーのあるAdobe Photoshopファイルが扱えるようになっていたり、Apple Scriptを利用して、スタジオ向けの撮影→Apertureに取り込みというワークフローを構築できるなど、大小さまざまな改良がほどこされている。
さて、気になっていた、新機種への対応について質問してみた。というのは、Ver.1.0のレビューを書いた時点では、新機種への対応は、OSのアップデートを待たなくてはならないとのことだったからだ。これは、ApertureのRAW表示エンジンがOSに深く依存しているためで、おかげで高速な処理を可能にしているわけだ。が、一方では、OSがアップデートしないと新機種には対応できないというジレンマがあった。この点では、Adobe Lightroomのほうがずっと上だったのである。
が、さすがにApple内部でも問題視する声が多かったらしく、またユーザーの要望も大きかったようで、新機種(基本的にキヤノンとニコンが中心になるだろう)が市場に出たら、可能なかぎり速いタイミングで対応していくことになるという。OSがサポートしていない新機種のRAW画像をどのように取り扱うのかはわからないが、とりあえずVer.1.1ではニコン D200、キヤノン EOS 30Dに対応するとのことである。これでAdobe Lightroomのアドバンテージがひとつ減ったといえる。
■ LightroomとApertureの関係
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Apertureを操作しながら説明するPaulsen氏
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また、Adobe Photoshopとは「競合ではなく共存」で、シームレスな連携を目指すという。撮影から取り込み、セレクトなどはApertureが、レタッチなどはPhotoshopに任せる感じか。
一方、対Adobe Lightroomとなると、Paulsen氏は苦笑いで、Adobeとの関係は良好であること、Lightroomが登場したおかげでApertureというソフトがどういうものであるか、その必要性をいちいち説明せずにすむようになったこと、デジタル時代のカメラマンにはそれにふさわしいワークフロー環境が必要だという認識が生まれたことなどをメリットとしてあげてから、「これからはユーザーが選べばいいでしょう」と語った。
それから、Windowsには対応しないのかと問うと、「Windowsユーザーへのアドバイスは『Macを買いましょう』です」と笑った。OSやハードウェアとの結びつきが深いため、Windowsで動くApertureは作れても、Mac上で動かすのと同じパフォーマンスは得られないからだという。Appleとしては、まず「プロに最良のツールを提供する」という方針を変えるつもりはなく、そのためにはWindows版を作るより、Macを買ってねとお願いするほうが得策なのかもしれない。
Aperture Ver.1.1は、単にIntel Mac対応というだけでなく、まったく新しいソフトに生まれ変わっている。Ver.1.0のいい部分はそのままに、スピードと画質の向上、画質調整の柔軟さを実現している。また、新機種への対応も、あまり間を置かずにサポートするとのことなので、安心感も高い。
リリース時期については、「すぐ!」とのこと。もちろん、公式なアナウンスではないので確約はできないが、数週間のうちに登場すると考えてよさそうだ。ただ、残念ながら日本語版の登場はまだ先になる模様。Ver.1.0のユーザーは無償でアップグレードできるが、したらしたで、しばらくは辞書片手に英語と格闘である。それもまた楽しである。
■ URL
PIE2006
http://www.pie2006.jp/
フォトイメージングエキスポ2006関連記事リンク集
http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/pie2006.htm
アップル
http://www.apple.com/jp/
製品情報(Aperture)
http://store.apple.com/0120-APPLE-1/WebObjects/japanstore.woa/wo/StoreReentry.wo?productLearnMore=MA154Z%2FA
■ 関連記事
・ 短期集中連載「プロ写真家向けソフト」を試す 【第1回】アップル「Aperture」編(2006/02/07)
( 北村 智史 )
2006/03/24 15:58
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