ソニー、第1四半期決算で赤字転落

　ソニー株式会社は28日、2005年4～6月期の連結業績を発表した。売上高および営業収入は、前年同期比3.3%減の1兆5,594億円。営業損失153億円、税引前利益129億円、純損失73億円の赤字となった。

　また、通期の見通しを下方修正した。売上高が7兆4,500億円から3%減の7兆2,500億円、営業利益が1,600億円から81%減の300億円、純利益が800億円から88%減の100億円と、それぞれ修正した。主な要因を構造改革費用の増加、4月におけるテレビビジネスの売上不振と価格下落としている。

　第1四半期におけるエレクトロニクス分野は、売上高1兆1,153億円(1.4%減)。営業損益は前年同期から446億円悪化した363億円となった。損失の要因は、テレビをはじめとする単価下落による原価率の悪化、外部顧客向け売上の減少など。

　製品別では、ブラウン管テレビやプラズマテレビが減収。増収は、ネットワークウォークマン、液晶テレビ、ノートPC「バイオ」など。液晶テレビとCCDは減益。


4～6月期業績	エレクトロニクス分野増減要因	2005年度業績見通し

　エレクトロニクス分野の収益を地域別に見ると、日本は16%の減収。液晶テレビ、ネットワークウォークマンが増収。CCD、デジタルスチルカメラ、バイオなどが減収となった。米国は2%の減収で、バイオ、液晶テレビ、ネットワークウォークマンが増収、CDウォークマン、ブラウン管プロジェクションテレビ、車載機器などが減収になった。

　欧州は15%の減収で、DVDレコーダー、ネットワークウォークマン、液晶テレビが増収、携帯電話端末、PDPテレビなどが減収。その他地域では、デジタルスチルカメラ、携帯電話カメラ用モジュール、バイオ、携帯電話端末が増収。光学ヘッド、ブラウン管プロジェクションテレビなどが減収となった。ブラウン管テレビはすべての地域で減収の要因となっている。

　ただし、CCDについては「価格下落で減収したが、従来の“超高収益”が“高収益”になった程度」(コーポレートエグゼクティブSVP 湯原隆男氏)とし、他の事業に比べて収益性は依然として良いという。また同氏は、本格的量産が始まったCMOSイメージセンサーについて「開発から量産に移った最初の年。CMOSの需要は高く、順次切り替わるだろう」との見通しを述べた。コニカミノルタとの提携によるデジタル一眼レフカメラへの搭載については「まだ回答できない」と言明を避けた。

　なお、デジタルカメラの販売/出荷台数見通しは、4月時点の1,500万台から1,350万台に下方修正された。下方修正したそのほかの部門はLCDテレビ、ブラウン管テレビ、プロジェクションテレビ(液晶リアプロジェクションテレビを除く)となっている。

　ホームエレクトロニクスネットワークカンパニーNCプレジデントの井原勝美副社長は、エレクトロニクスにおける利益減の大きな要因を「変動費の悪化」と説明。それに関連し、テレビ事業の再建策を発表。ブラウン管テレビにおける大幅なリストラや、韓国Samsungとの協業による「S-LCD」製液晶テレビ向けパネルへの期待を語った。S-LDC製パネルは「ソニーパネル」の名称で2006年より展開し、ソニー独自の画像処理技術、液晶リアプロジェクションテレビへの注力などで、不振を打開するとした。

　そのほか、ゲーム分野は、売上高が前年同期比64%増の1,728億円、営業損失は前年同期より30億円増加の59億円。PSPに加え、PS2の販売が欧米で伸張し、日米欧で増収となった。ただし、広告宣伝費など販売費・一般管理費が増加し、研究開発投資の継続が前年同期に続く損失につながった。

　映画分野は、前年同期比2.6%減の売上高1,444億円、営業利益は同3.5%増の42億円。興行収入は減少したものの、当期からMGMでの配給手数料が加わり、さらに米国外のテレビ広告収入が増加。収益減と利益減を一部相殺した。

　金融分野は、ソニー生命の増収により売上高を前年同期比15.1%増の1,538億円に伸ばした。営業利益はソニー生命の増益や一般勘定の運用損益の改善により、同110.7%増の219億円となった。

　その他分野には、2005年度から音楽ビジネスが加わっている。売上高は、前年同期比35.4%減の954億円。営業利益は49億円。前年同期から黒字に転換した。ただし、前年同期に含まれていたSMEI(ソニー・ミュージック・エンターテインメント)の音楽制作事業の業績がソニーBMGに移管したため、売上高が大幅に減少した。

　ソニー
　 http://www.sony.co.jp
　 2005年度第1四半期業績説明会
　 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/info/presen/

（三浦健司）

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