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オリンパス、関係者向け技術展で超音波モーターレンズなど参考出展


会場入り口付近
 オリンパスは30日、12月1日から都内で開催するプライベートショー「創立85周年記念 オリンパステクノロジーフェア」について、関係者向けの内覧会を実施した。同社グループの最新技術や製品を展示したイベントで、取引先など招待客のみ入場できる。

 同イベントは、オリンパスの最新技術を紹介するもので、'89年から5年毎に開催。今回はオリンパスメディカルシステムズ株式会社が同日に発表した「カプセル内視鏡と周辺技術の開発」にあわせて行なわれた。

 これは、管を挿入する必要がないケーブルレスの内視鏡を体内に投入し、診断や投薬に役立てようというもの。カプセル内視鏡には省電力撮像機構、無線送信技術が組み込まれ、体内の観察を行なう。今秋から治験を開始し、将来的には無線給電システム、全方位誘導システム、自走機構、薬液放出機構、超音波検査機能などを組み込むことで、口から飲み込むだけで自動診断ができるレベルを目指すという。


研究開発センターでも「事業感覚が大切」

オリンパス菊川社長
 内覧に先立ち、オリンパス株式会社の菊川剛社長が挨拶にたち、意気込みを語った。まず、「前回の開催から、カンパニー制への移行、販社の統合、ITXの子会社化、イメージングとメディカルの分社化など、変化に富んだ5年だったが、同時に新技術の開発も継続している」と語った。

 また、「光学技術」、「電子映像技術」、「超微細化工技術」、「細胞関連技術」、「ナノバイオ技術」をコアコンピタンスとして挙げ、グループ全体の技術力を強調。そのうちナノバイオは「2020年には医療分野などを含めて世界規模100兆円の市場になる。新しい事業に育てたい」と期待を述べた。

 最後に「ステークホルダーの方々に誇りを持っていただき、同時にオリンパスとの間に信頼を築くのが、提唱する『価値創造企業』の目的。企業価値の最大化はステークホルダーの価値も最大化する」とまとめた。

 続いて、研究開発統括室の高山修一執行役員が、現在の研究開発体制について解説した。

 同グループの研究開発組織としては、3~5年以内の製品化を目指す「研究開発センター」と5~10年以上の未来技術を研究する「未来創造研究所」がある。さらに、2年以内の製品化を視野に入れた差別化技術について、オリンパス本体の各カンパニー、オリンパスイメージング、オリンパスメディカルシステムズが各自で行なっている。また、研究開発センターはITXとともに、調達に伴う技術探索も行なう。

 高山氏は研究センターについて「事業感覚を持ち、『金食い虫』でなく『バリューセンター』に変革するのがコンセプト。各事業分野との戦略整合を図る」と説明。目指す方向性を「スピードと特許に裏打ちされた差別化要素を持つ」とした。以前より、技術の中核は光学と電子映像をあわせた「オプトデジタル」にあるが、研究する技術は「毎年、選択と集中を繰り返している」という。


発売直前のE-300を大量展示

 会場は「テーマゾーン」、「イメージング」、「メディカルシステムズ」、「ライフサイエンス」、「インダストリアルシステムズ」、「リサーチ&デベロップメント」、「コーポレート」、「未来創造研究所」、「デザインセンター」、「ドリームスクエア」の9ゾーンに別れ、計120の技術と製品が展示された。

 デジタルカメラ関連はイメージングゾーンに出品。「Eワールド」、「μワールド」、「イメージングソリューションワールド」など、製品ジャンルごとに展示されていた。

 Eワールドでは、12月3日発売のレンズ交換式一眼レフカメラ「E-300」を中心に、上位機種の「E-1」やEシステムアクセサリーを展示した。

 技術展示としては、稼動するダストリダクションシステムのデモ機を初めて展示した。E-1に搭載されたものと同じSSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)を上向きにして、フィルター上にビーズを載せ、透明のドームで覆ったもの。スイッチを入れるとSSWFが作動し、ビーズが上に飛び跳ねる。これまで一般向けイベントでもSSWFの展示はあったものの、実際と同じ動作を示すデモは今回が初めてという。


バッテリーグリップ付きなど多くのバリエーションが展示されたE-300 Eシステムアクセサリーも一同に展示 Photokinaなどのイベントで良く見られる望遠レンズの体験展示もあった

E-300のメイン基板。右がCCDユニット サイドスイングミラーとポロミラー式ファインダー E-300のフレーム

SSWFのデモ機材。スイッチを入れると中のビーズが飛び跳ねる 超音波モーターレンズの展示。マウント接合部にモータを内蔵 超音波モーターユニット。詳細は不明

 また、超音波モーター内蔵レンズの参考出品もあった。具体的な駆動方法は明かされていないが、「新開発の小型振動子による回転型超音波モーターを使用、ダイレクトレンズ駆動で応答性に優れている」としている。製品化の時期は未定。会場ではズイコーデジタル50-200mmを改造したレンズをE-1に取り付け、ファインダーでAF動作を見せるデモを行なっていた。

 なお、会場入り口にはE-1を使用する写真家の作品が並べられた。オリンパスがスポンサードするフェラーリの公式カメラマン、ジョン・ニコルソン氏や、親子をテーマとした作品で有名なブルース・オズボーン氏、動物写真家の岩合光昭氏については、作品と共にインタービュー映像も紹介していた。


防水プロテクタなしで水深3m対応のコンパクト機も

 「μワールド」では、前日の11月29日に発表した「μ-40 DIGITAL」をはじめ、μ-mini DIGITALによる技術解説を試みていた。μ-mini DIGITALでは、デモ用のスケルトンモデルを使い、レンズ収納時にボディ前面とレンズバリアがフラットになる「トップシェルバリア」の動きを見せるデモを行なった。電源ONと同時に、レンズバリアはボディ内部にわずかに沈み込み、その後高速にスライドしてボディ内部に収納される。スケルトンのデモ機は一連の動きがわかりやすく、会場では精緻な動きをアピールしていた。

 また、μ-DIGITALシリーズの歴代カットモデルを展示し、レンズ構成の差を見せる展示もあった。収差に優れた非球面(アスフェリカル)レンズが増えることで、レンズ構成がシンプルになっている様子がわかる。「レンズ構成が簡単になると、本体サイズの小型化や高画質化が実現できる」(説明員)ため、非球面レンズの採用率は、そのままμシリーズの進化といえる。2倍ズームのμ-mini DIGITALでは、3群5枚のうち3枚が非球面レンズで、すべて光学ガラスを使用しているという。


i:robe、m:robeと同じくμ-DIGITALシリーズの展示もおしゃれ トップシェルバリアのデモ用モデル。これはレンズ収納時 レンズ繰り出し時

C-1 ZOOM(2001年6月発売)のレンズカットモデル 現行機種μ-mini DIGITALのレンズ構成。非球面レンズの採用でシンプルになっている 水深3m対応のデジタルカメラ。AZシリーズがベースだが発売予定はなし

 μワールドの奥には、防水プロテクタなしで水深3mで使用できるデジタルカメラが参考出品されていた。同じく水深3m対応の防水プロテクタ装備のμ-mini DIGITALと並び、水槽の中に入れられていた。あくまでも技術展示ということで、発売予定はない。

 AZ-1をベースにしたモデルで、本体には光学3倍ズームレンズ、有効300万画素CCD、ストロボ、液晶モニターなどを装備。電源、ズーム、シャッターボタン、モード切替のスイッチ類も備えている。

 そのほか、「モヤリ仕上げ」、「バフ仕上げ」、「サンドブラスト」、「メッキ仕上げ」、「シボ調塗装」、「偏光」、「トランスルーセント」といった、μ-mini DIGITALの質感バリエーションを展示していた。

 なお、イメージングゾーンの入り口には、11月26日発売のi:robeとm:robeの紹介コーナーも設けられた。i:robeは別売の昇華型プリンタ「P-S100」と共に展示されていた。


写真を見るとExif情報を表示する「シースルービュワ」

 イメージングゾーンは、会場入り口のすぐ側という好ロケーションで、展示などの演出も派手目に見えた。しかし、会場のほとんどの場所を占めていたのが、メディカルシステムズなどイメージングゾーン以外のゾーン。技術展示の展数も多く、医療や産業機械に関する同社の技術力を感じさせる。

 その中で、ユニークだったのが「シースルー情報ビュワ」。サングラスのような半透明のビューワーに、現在肉眼で見ているものの情報を表示するもので、携帯電話風のモックアップをベースにカメラも取り付けられている。利用者と同じ視点の映像を取り込んで分析、あらかじめ登録したデータに合致したものをサングラスに表示できるようになっていた。

※初出時より「携帯電話」の記述を「携帯電話風のモックアップ」に変更しました。

 面白いのは、目の前の像とともにくっきりと情報を表示すること。サングラスに採用した曲面光学系により、目の前の像とサングラスの情報の両方に焦点が合っているかのように見えるという。


シースルビュワ(左)の展示。これで写真を見ると、視野内にExif情報などが表示される シースルービュワを構えたところ。先端のカメラで画像を認識する シースルービュワのコンセプトモック

 会場でデモンストレーションしていたのは、写真を見るとExif情報などが瞬時にテキスト表示する単純なものから、実際のセットに簡単な仮想のCGキャラクターを表示させるものまで。「目に入ったものすべてに情報を表示できるので、街中の案内などに応用できる。また、表示品質がもっとよくなれば、仮想のキャラクターを実際の世界から干渉する設定など、面白い使い方も広がる」としている。


自由曲面プリズムを使用したカメラのデザインモックアップ。レンズ周辺の画質低下も防げるという 無線LAN(IEEE 802.11b)を搭載したAZ-1。金属筐体をアンテナの地板としている 社員の夢の製品を掲示した「ドリームスクエア」では、フォーサーズ規格の「光学版電子ブロック」が


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/


( 折本 幸治 )
2004/11/30 22:25
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