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日本TI、720p対応の画像処理プロセッサ


評価ボードに実装した「TMS32DM355」
 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は5日、デジタルカメラなどに向けた画像処理プロセッサの新製品「TMS32DM355」(DM355)を発表した。サンプル出荷はすでに開始しており、量産出荷は2008年第1四半期の予定。216MHz版と270MHz版を用意する。5万個受注時の参考価格は216MHz版が9.75ドル、270MHz版が11.49ドル。

 併せて、DM355のデジタルビデオ評価ボード「TMDXEVM355」も2007年第4四半期から供給を開始する。参考価格は7万3,290円。


評価ボード 発表会では、デジカメ用のデモボードも展示

 DM355は、同社のデジタルAV機器向け開発プラットフォーム「DaVinci」(ダビンチ)に属する製品。MPEG-4 SPでの720p撮影に対応するのが特徴。ポータブル機器を主なターゲットにしており、従来より低消費電力化を図るとともに、低価格化も実現した。

 従来製品と同様に90nmのプロセスノードを採用しているが、微細化に伴うリーク電流を抑えたことと、これまでのDSP(Digital Signal Processor)処理をハードウェア化したことで低消費電力化を実現した。単3電池2本で、液晶モニターを表示したまま約80分のHD録画が可能としている。

 カメラを意識したビデオプロセシング部を備え、フロントエンドにAF、AE、AWBのハードウェア演算機能を搭載する。また、各種フィルタ処理、シェーディング、レンズ歪み補正、輪郭補正、偽色補正、リサイズ機能も備える。さらに、SD映像の出力も可能で、液晶モニター表示に利用できる。

 SDHCメモリーカード、SDメモリーカード、MMCなどのメモリカードインターフェイスや、ホスト機能を内包するUSB 2.0ポートなども備えている。


日本TI DSP/MSP430プラットフォーム・ビジネス・デベロップメント部 部長の田中竜太郎氏
 同日都内で行なわれた記者向けの発表会で、日本TI DSP/MSP430プラットフォーム・ビジネス・デベロップメント部長の田中竜太郎氏がターゲットと製品戦略を説明した。

 田中氏は冒頭、「2005年のDaVinci発表から約2000台の評価ボードを出荷しており、DaVinciというプラットフォームが市場で受け入れられていると考えている」と自信を見せた。同氏は、「ポータブルHD市場への製品投入を見込んでいる、(DM355のような製品は)まだ出ていないが、今回の新製品で市場が広がる」と述べた。


DaVinciの概要 DM355の搭載ターゲット製品

 フォトフレーム、Webカメラ、カメラ付きインターフォンなどもHD化が進むと見ており、田中氏は「日本TIの製品でこれらの市場を開拓していきたい」と意気込みを語った。デジタルフォトフレームはアメリカをはじめ海外では人気があり、2010年には1,700万台の出荷があるという。

 田中氏は、「10ドル以下でのHDビデオサポート」、「MPEG-4エンコード時で約400mW、待機時で約1mW以下の電力」と、DM355の特徴を述べた。さらに、開発ソフトや評価キットを安価に提供している点など同社の強みを強調。「DM355を使用した製品の早期市場投入が可能」とした。なお、今後フルHD対応プロセッサの投入も計画しているという。


DM355の概要 DaVinciのロードマップ

イーソルをはじめ、多くのサードパティがソリューションを提供
 組み込みOSの「μITRON」を使用したOSベンダーのイーソルとの協業にも触れ、「μITRONのリーディングカンパニーとして、海外にどんどん提供していきたい」と述べた。


日本TI アプリケーション技術部DSP/MSP430プラットホーム半導体グループ主任技師マネージャー伊藤准氏
 ベイヤー配列の撮像素子信号から色を演算する内挿処理では、「強力な処理回路を搭載した」とし、「多くのデジタルカメラベンダーから高い評価をもらっている」(日本TI アプリケーション技術部DSP/MSP430プラットホーム半導体グループ主任技師マネージャー伊藤准氏)という。

 また、DM355がH.264方式をサポートしない点については、「ワールドワイドで見ると、まだそこまで成熟していないため」としたが、H.264の市場が拡大すれば対応プロセッサを供給する用意があることを明らかにした。

 伊藤氏によると、DM355はデジタルカメラメーカーでは、すでに国内メーカー1社で採用が決まっており、海外も含めると5社以上が採用を検討しているという。


イーソルのエンベデッドプロダクツ事業部取締役事業部長上山伸幸氏
 発表会に出席したイーソルのエンベデッドプロダクツ事業部取締役事業部長上山伸幸氏は、「低消費電力の実現には、μITRONが必要」とし、開発環境、ミドルウェア、サポート体勢の充実を謳う同社のμITRONをアピールした。イーソルでは、同日からDM355対応μITRONプラットフォームの提供を開始する。


イーソルの、ソフトウェアプラットフォーム「eCROS」 イーソル製品は、デジタルカメラやフォトストレージなどで採用例がある


URL
  日本テキサス・インスツルメンツ
  http://focus.tij.co.jp/
  イーソル
  http://www.esol.co.jp/
  ニュースリリース(イーソル)
  http://www.esol.co.jp/company/press/emb_press070905.html

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日本TI、デジカメ用プロセッサを含む「DaVinci」テクノロジー(2006/03/06)


( 本誌:武石 修 )
2007/09/05 17:46

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