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“犬写真だけ”のキヤノン「EOS Kiss X2」カタログが写真展に


EOS Kiss X2のカタログのひとつ「犬バージョン」。中で使われる作例のすべてが犬の写真だ

 3月21日発売のデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X2」のために、キヤノンが2種類のカタログを用意しているのをご存じだろうか。一つは、家族のポートレイトや旅行でのスナップなどを作例として用いた、一般的な形式のカタログ。もうひとつは、すべての作例を犬の写真で構成。ライブビューのマクロ作例以外、すべて飼い犬の写真という徹底したものだ。デジタル一眼レフカメラのカタログとしては異例な試みだが、店頭では2種類を持ち帰る人がでるなど、人気は上々だという。

 犬たちの写真を撮影したのは、動物写真家の福田豊文氏。その福田氏の作品展「犬を撮る」が、キヤノンギャラリー銀座とキヤノンギャラリー梅田で3日から開かれている。カタログで使われた写真はもちろん、すべての作品をEOS Kiss X2で撮影。A3サイズへのプリントを主にPIXUS Pro 9500で行なったものだ。会場で福田氏に、撮影時のエピソードやEOS Kiss X2の使用感などを聞いた。

 なお、作品展は6月まで全国のキヤノンギャラリーを巡回する予定。スケジュールは次の通り。休館日は日曜日。詳細は各ギャラリーの情報を参照されたい。

  • 銀座:4月3日~4月9日
  • 梅田:4月3日~4月9日
  • 福岡:4月21日~5月9日
  • 名古屋:4月24日~5月14日
  • 札幌:5月26日~6月6日
  • 仙台:6月2日~6月13日


動物写真家の福田豊文氏と作品。キヤノンギャラリー銀座にて 会場の様子。オープニングパーティには、モデル犬の飼い主が集まった

――撮影時期は?

 昨年の12月末からです。EOS Kiss X2の発売スケジュールに間に合わせるため、年末年始もほとんど休まず撮りました。使ったボディは量産試作機でしたが、大きな問題もなく進行できました。緑のない時期なので、場所選びも大変でした。

――カタログに登場する犬たちが個性的です。どうやって集めたのですか?

 今回は時間がなかったこともあり、普段からおつきあいしている飼い主さんたちに協力いただきました。もう何度も撮影した子もいます。中には、3代続いて付き合いのある犬もいますね。

――すべての作例が犬の写真ですが、キヤノンから「この機能を使ったこういうのが欲しい」といったオーダーがあったのですか?

 はい。例えばポートレートモードの作例も、人ではなく犬です(笑)。人肌に近い毛色の犬種を選び、背景をボカしました。


カタログの一部。とにかく徹底して犬の写真が使われている

左ページに作品、右ページに機能紹介というパターン。犬好きなら見ているだけも楽しい


――速い動きを捉えた作品が多いですね。特にカメラに向かって全力で走る犬たちが印象的です。EOS Kiss X2のAIサーボAFと、3.5枚秒の連写性能で撮れるものでしょうか。

 普段、デジタル一眼レフカメラはEOS-1D Mark II Nで撮影することがほとんどですが、その場合もたくさんのショットからピントのあったものを選びます。その場合でも、すべてのショットでピントが合っているわけではありません。そういう意味では、EOS Kiss X2でもAFは追随しますし、ちゃんとピントが合っている写真がありました。

 カタログの作例ということもあり、作品はすべてノートリミングです。空中のエサをキャッチする瞬間を狙ったものなど、タイミングが難しかったのもありましたが、結果的にはうまくいきましたね。

 いつも、犬たちの表情を引き出すことが重要だと考えています。そこで、思いっきり動いているところを撮ることにチャレンジしています。毛の長い犬種が激しく動くと、1カットずつ毛の流れや躍動感が違うんですよ。風でなびくのも美しい。中には撮影前に、1頭あたり3時間もシャンプーしてもらってるアフガン・ハウンドも撮っています。ちょうど風が強くて……顔にかかって困りました(笑)。

――どうやって走らせるのですか?

 まず、背景などを考えながらコースを決めます。決まったら、離れた場所から飼い主さんに呼んでもらいます。飼い主さんめがけてまっすぐ走ってくるので、場合によっては走り出してから飼い主さんに横に動いてもらい、真っ正面から捉えます。飼い主さんの協力と、タイミングが重要ですね。

――複数の犬が同じ方向を向いている作品も印象的です。どうやって撮るのですか?

 飼い主さんに「待て」をしてもらってます。あの作品の子たちはみんな利口で、ずっと同じ姿勢でいてくれました。ただし、微妙に目線がずれたりするので、何枚も撮っています。

――ライブビューは使いましたか?

 フライボール(ボールを追いかけながら、ハードルを飛び越える競技)を撮るときに使いました。犬の動きが速く、ファインダーでは追いきれないほどなんです。どうしようかと考えて、ライブビューを使ってみました。ファインダーの外の視野を見ながら撮れるので、余裕を持って撮れることが分かりました。工夫次第で色々使えると思います。

 ローアングルも使いやすいですね。普段はつなぎを着て、どこでもすぐうつ伏せになり、犬の目線で撮れるようにしています。昔はビニールシートを敷いたりしてましたが、時間がかかるのと、音がカサカサするので、つなぎに落ち着きました。

 3型の液晶モニターも見やすいですね。 撮影には飼い主さんにも来ていただいてます。撮った後、飼い主さんに見せるのですが、喜んでもらえたと思います。


――カタログに使われた作品は、すべてキットレンズ(EF-S 18-55mm F3.5-5.6 ISとEF-S 55-250mm F4-5.6 IS)で撮られていますね。

 手ブレ補正機構が強力で助かりました。屋内で手持ちで撮影したカットもあるのですが、望遠でシャッター速度1/15秒でもブレません。写りも良くて、充分な性能だと思います。

 (ボケやシャッター速度が必要なときは)Lレンズも使っています。犬の動きを止めるには、高速シャッターが必要でしょう。できれば1/1,000秒は欲しいところです。EOS Kiss X2は高感度でも撮れるので助かりました。

――EOS Kiss X2を使って、印象的だったのは?

 普段の装備から考えると、とにかく軽い。大きなバッグではなく、散歩に行くような小振りのバッグに、ボディとキットレンズのすべて入ってしまいます。これで仕事ができるとは。今回は犬の表情を捉えることにチャレンジしましたが、「恐るべし!! EOS Kiss X2」が結論です。普段の機材と変わらない写真になったと思います。

 コンパクトデジタルカメラで撮るのも良いですが、一眼レフカメラを使ってみると、その良さが分かると思います。ファインダーで被写体を見続けることが、良い作品につながると思います。生き生きした飼い犬の思い出をきれいに残したいのなら、ぜひ一眼レフにチャレンジしてみてください。

――キヤノンから猫バージョンのカタログの話が出たら?

 良く聞かれます(笑)。猫はまた違う難しさがあるのですが、ぜひ挑戦したいですね。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  キヤノンギャラリー
  http://cweb.canon.jp/gallery/
  「犬を撮る」告知ページ(ポストカードギャラリー)
  http://cweb.canon.jp/gallery/postcard/2008/0403.html
  キヤノンEOS Kiss X2関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7809.html


( 本誌:折本 幸治 )
2008/04/07 14:30
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