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オリンパス、「E-500による女性写真家展」開催
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この日、出席したのは出展者22名中18名。会の途中、ひとりひとり近況など述べた
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東京・神田のオリンパスギャラリーで16日からm「OLYMPUS E-500による女性写真家展」が始まった。初日、会場で18時よりオープニングパーティが開かれ、出展した写真家22名中、18名が出席した。写真展は3月29日(水)まで。開館時間は10時~18時、最終日は15時まで。日曜、祝日休館。
【お詫びと訂正】記事初出時、開館時間を誤って表記しました。正しくは18時までです。お詫びして訂正させていただきます。
出展者は秋田好恵、安珠、池本さやか、石川千恵子、今岡昌子、宇井眞紀子、榎並悦子、大下桃子、織作峰子、梶山麻耶子、木村佳代子、佐藤仁重、佐藤倫子、瑳山ゆり、出水恵利子、新美敬子、沼田早苗、畠田冴子、水上みさき、村尾マサミ、村松雪絵、AMIY MORI(敬称略)。
この22名が「E-500」を使って新作を撮影、それぞれ2点ずつを発表する写真展だ。今回のレポートでは出席していた女性写真家に、順不同、アトランダムに声をかけ、近況、E-500のこと、デジタルカメラの話などなどをうかがった。
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ボクサーは安珠さんが好きな被写体のひとつ。今回、モデルになった蓮ハルクさんは元WBAスーパーバンタム級チャンピオンで昨年引退し、現在は俳優
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最初にお話をうかがったのは安珠さん。意外にも安珠さんのPC歴は古く、1985年ころから。その後、雑誌で、デジタルカメラでの連載を依頼されたことで、デジタルカメラは1990年から使い始めたという。もともと新しいもの好きなのと、いろいろと自分で手をかけるのが好きなのだ。写真もモノクロ写真が好きで、自ら暗室に入り、プリント作業を行なっている。
「モノクロの作品が多かったので、最初は私がデジタルをやっていることを意外に思う方も多かったようです。新しいものを知ることで、古いものの良さが分かったりするので、そうした意味でも、新しいものをどんどん吸収していきたい気持もあるんです」。
PC歴も長く、自分で手をかけるのが好きとなれば、画像処理は何をかいわんやだ。出展した作品は、元WBAスーパーバンタム級チャンピオンで、現在は俳優に転向した蓮ハルク(本名・佐藤修)さんを撮影したもの。彼のシャツは破れ、傷がみえているが、これは撮影後、画像処理で作った傷だ。そのクオリティは、この日、見た人が誰も気づかなかったとだけ言っておこう。
そういうと、安珠さんのデジタル作品は、すべて画像処理したものと思われてしまうだろうが、これはある種例外的なもの。ただ、こうしたことができるのもデジタルの良さであることは間違いない。
「銀塩写真のなめらかな自然なトーンが自分の感性に植えつけられているので、デジタルであれ、そこは変わりません」。
デジタルと銀塩との使い分けはどこで判断しているのかをうかがうと、明確なものはなく、まして画質を優先する仕事だから銀塩といった区分けもしていないという。
「イメージのリアルさを求めるならデジタル、被写体そのものの存在のリアルさを求める時は銀塩を使うといったことかしらね」。
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かつては銀塩至上主義を宣言していた広告写真家の出水恵利子さん。それが一転して……
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次は広告写真家の出水恵利子さん。仕事とは別に、自分の作品として、テトラポットを約6年撮り続けていて、今回もテトラポットで勝負した。
「ほかは有名な方ばかりなので、しょうもない作品は出せないじゃないですか」と出水さん。こうした企画展の場合、『カメラの宣伝』=『作品は二の次』といったイメージを持っている人もいるだろう。そうした考えは今日限りですっぱり改めなければいけない。出水さんがカメラを渡されたのが昨年の11月末。作品の締切りが2月15日。「2カ月もない!」と焦りまくり、トータルでは6,000カット以上撮影したという。
テトラポットを撮り始めたのは、水中写真をやっていたときの体験が基本にあった。テトラポットの間は、潮の流れが複雑になっているため、この中にはかなりの上級者でないと入れないと教えられた。
「学生時代に、海で亡くなった方がいて、その水死体がテトラポットのなかに入ってしまい、捜査活動が難航したことがあったんです。そのことも思い出して、その存在が気になりだしました」。
潮流が乱れて生態系が崩れるとテトラポットは悪者呼ばわりをされるが、地元民からすると、水難を防いでくれるありがたいものだという。現実は、撤去・廃棄、不使用の方向に進んでいる。そんな話を聞いたせいか、出水さんが撮影した砂浜に打ち捨てられているテトラポットからは、諦観した静けさが伝わってくる。
「この1枚は、朝、もやがかかった状態で撮影したのですが、背景の木や空のトーンがよく出ているんですよ。これは撮ったまま、全く調整していないんですよ。プリントのためのペーパーに合わせたトーンづくりはしていますが。ほかのカメラだったら、極端なコントラストがでたり、マスクをかけて、トーンカーブをいじる必要があったと思います」。
出水さんは「FinePix S1Pro」から、デジタルカメラを使い始め、S2Pro、S3Proと継続して使用してきた。その頃のデジタルカメラは、色の再現性にムラがあり、その中で唯一、FinePix S1Proが調整しやすい色が出ていたからだという。
「それまではずっと私は銀塩でいくと宣言していたのですけど。あるとき、プロとして、使ってみなければ分からないだろうと始めたんです」。
「E-1」「E-500」と使ってみて、オリンパスのカメラは、ポジフィルムに近い上がりができるという。適正露光できちんと撮影していれば、ちゃんとした色がでてくるので、JPEGで撮影できるということだ。それはプロとしては、効率アップができる嬉しい性能なのだ。
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いまだ「仕事の99%は銀塩」だが、今回E-500を使って、よりデジタルに前向きになったという宇井眞紀子さん
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次は、アイヌをライフワークとして撮影している宇井眞紀子さん。この撮影は約15年にもなり、2001年には写真集「アイヌときどき日本人」を出版している。そのほかの仕事でも人を撮ることが多く、「仕事の99%は銀塩」だそうだ。そのワケは、宇井さんのつきあいのある雑誌社には、銀塩にこだわる編集者が多いのと、アイヌはモノクロで撮影していること、それと、「ずっと銀塩でやってきたので、自分が安心できる」から。
「画質に関して、前は銀塩のほうがきれいだと思っていたけど、今は優劣はないと思っています」。
デジタルカメラは2年ほど前に「EOS 10D」を購入して使い始めたが、どうしても気になるのがシャッタータイムラグだという。人の表情を捉える時に、微妙にずれてしまい、良い表情を逃してしまう。だから、今回は、最初から風景を撮ろうと思っていたそうだ。被写体は、堀江貴文氏が逮捕された夜の六本木だとか。ライフワークのアイヌから「X-デイの夜の六本木」への着眼の飛躍は、4回転ジャンプを超える難易度がある気がする。それぞれの写真家のモチーフ選びも、こうした写真展の見どころのひとつだ。
「長時間露光で撮るので、ノイズがどの程度出るか心配でしたが、E-500はほとんど出ませんでした。風景を撮るのであれば、デジタルも銀塩も撮影自体に差異はありませんね。大きな違いは銀塩だったら最終的にはラボ任せで色をだしてもらうわけですが、デジタルだと、ネガカラーのように最後のプリントまで関れる。これは私にとって大きいことで、今回の撮影でデジタルを積極的にやりたいと思うようになりました」。
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現在はスイスの小さい村を撮影した作品をまとめている最中という織作峰子さん
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そして織作峰子さん。パーティの途中、出展者ひとりひとりの挨拶があったとき、織作さんは「E-500はすごく良いカメラで、いま、使っている2台のE-1をどうしようかと思っています」と、今日の会の陰の主役(E-500ですね)を引き立たせながら、会場を盛り上げる大人力の高いトークをされていた。E-500の一番のポイントは、そのコンパクトさだという。
「重さ、大きさは撮影においてとてもストレスになります。小さくて軽いことは、大事なことなんですよ」。
アウトドアを歩きながら、心にとまった人や光景をスナップ撮影することが多い織作さんのような写真家にとっては、機材の適正なサイズと重量は重要なポイントになる。スナップ撮影は一瞬を捉える作業だが、そのワンショットワンショットにすべての集中力を注ぎ込むのだ。機材のストレスは、その集中力を削ぐ要素になる。また「デジタルだから、あとで処理ができる」も、あり得ない。実際、プリント担当者に言わせると、織作さんのデータは、ほとんど手を加えることはないという。
織作さんは撮ったあと、モニターで画像をチェックし、思い通りに撮れていなければ、その場で消してしまう。被写体がのどかな風景であっても、その場の空気感を写真に封じ込めるには、それだけの集中力が必要なのだ。
織作さんの最新情報としては、現在、スイスの小さい村を撮影中だという。地図にも載らないような小さな村で、そこでは時が緩やかに流れ、昔から変わらない風が流れている場所だ。デジタルカメラで撮影した作品を7月10日からキヤノンギャラリーで展示する。
次は、独自の視点でドキュメントを撮り続けている今岡昌子さん。今岡さん的デジタルカメラの初めて物語は、新彊ウイグル自治区の撮影にサブカメラとして「E-1」を持っていったことだ。
メインは「EOS 1V」で、夜の撮影や三脚の必要な時のサブとしてE-1を使おうと考えていたそうだが、使ってみると、銀塩カメラより気楽で、違う視点の写真が撮れるようになった。
「デジタルのほうが面白くなったんです。気がつくとシャッターを押す回数が、銀塩と逆転していました」。
この時の作品は、昨年、10月に新宿コニカミノルタプラザにおける写真展「新彊ウイグル自治区~原像を求めて」で発表した。その時、明記しないでデジタルカメラとフィルムカメラで撮った作品を混ぜて展示したが、プロですら、すべて銀塩だと思って見ていたという。
このほか石川千恵子さんの作品は、デジタルで神様は撮れるかという主旨で、熊野のパワースポットを撮影したそうだ。写真自体不思議な映像になっているが、撮影前後にも、PCが突然壊れたり、それが持っていた塩を横に置いていたら直ったとか。22名の女性写真家が全力投球した44点は、E-500に関心のない人でも楽しめる写真展だ。
また最後に、冒頭、オリンパスイメージングの国内営業本部長の金子氏が挨拶に立ったが、そこで「秋と春に」何か良いことがあるような話をしていたことを付記しておこう。
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出展写真家を代表して乾杯の発声をした沼田早苗さん。「私がデビューした頃はまだ女性写真家は数えるほどしかいなかったが、今ではこんなに多くの人が活躍するようになって嬉しい」
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冒頭、挨拶するオリンパスイメージング・国内営業本部長の金子。この秋、新製品発売の予定をちらり
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■ URL
オリンパス
http://www.olympus.co.jp
オリンパスギャラリー
http://www.olympus.co.jp/jp/gallery/index2.cfm
OLYMPUS E-500による女性写真家展
http://www.olympus.co.jp/jp/gallery/opg/2006/opg060316.cfm
( 市井康延
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2006/03/17 17:02
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