キヤノンは、フルサイズCMOSセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ「EOS 5D」を10月上旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は40万円弱程度の見込み。
プロ向けの「EOS-1D」シリーズと「EOS 20D」との間に位置するハイアマチュア向けのデジタル一眼レフカメラ。最上位機「EOS-1Ds Mark II」と同じく35mm判フルサイズ(35.8×23.9mm)のCMOSセンサーを搭載し、さらに同社のデジタル一眼レフカメラとして初の2.5型液晶モニターを搭載する。AFも新開発の「9点+アシスト6点AF」になった。同社の現行フルサイズ機はフラッグシップの「EOS-1Ds Mark II」と本機のみ。
COMSセンサーは4チャンネル信号読み出し対応の同社製で、有効画素数は約1,280万画素。レンズ装着時の画角は35mm判フィルムカメラと同等となる。レンズマウントはEFマウント。20DやEOS Kiss Digital Nなどで使用できるEF-Sマウントレンズには対応していない。
新開発の「9点+アシスト6点AF」は、20Dと同等の9点測距AFセンサーに加え、中央付近を重点的に測距する6点のアシスト測距点の全15点からなる。アシスト測距点はF2.8対応センサー2点とF5.6対応センサー4点。9点測距AFセンサーと異なり、AIサーボAFの特定条件で機能し、AFフレームに表示されない。任意選択も不可能。
なお、9点測距AFフレームにも手が加えられ、水平方向のF5.6対応センサーのライン長が約2倍になっている。AFフレームの選択には、メイン/サブ電子ダイヤルのほか、20Dで初めて同社が採用したジョイスティック状「マルチコントローラー」も使用できる。
2.5型の液晶モニターは、画素数約23万画素、視野角170度。再生面では、100画像単位、日付、フォルダ単位でのジャンプ機能も搭載する。20Dでは不可能だったRGBごとのヒストグラム表示にも対応。
そのほか新機能として、従来の「現像パラメーター」と「カラーマトリックス」を統合した「ピクチャースタイル」を搭載している。「スタンダード」、「ポートレート」、「風景」、「ニュートラル」、「忠実設定」、「モノクロ」の6種類から選択するもので、さらにシャープネス、コントラスト、色の濃さ、色あいを従来比2倍の範囲で調整できる。モノクロはフィルター効果や調色も可能。
また、既存のピクチャースタイルをもとに調整を加えることが可能な「ユーザー設定」も設けられている。同社サイト経由でピクチャースタイルファイルをダウンロードし、ユーザー設定に登録する機能も備える。
|
|
レンズはEF 24-105mm F4L IS USM(以下同)
|
|
感度設定は1Ds Mark IIと同じくISO100~1600相当で、拡張設定でISO50相当とISO3200相当にも設定できる。自社開発のカラーフィルターとオンチップマイクロレンズにより、高い集光効率を達成したという。また第2世代のオンチップノイズ除去回路を搭載し、高感度や長秒時撮影での低ノイズを実現したとしている。カスタム機能で「長秒時露光のノイズ低減」も設定可能。
画像処理エンジンには、20Dなどと同じくDIGIC IIを採用。起動時間は0.2秒。また、高速なDDR(ダブルデータレート)SDRAMをバッファメモリに搭載している。最大連続撮影速度は約3コマ/秒。APS-Cサイズ相当の撮像素子を採用する20Dの約5コマ/秒より少ない。ただし、連続撮影枚数が、20DのRAW約6枚/JPEG約23枚から、RAW約17枚、JPEG約60枚へと増加した。
ファインダーはガラスプリズムで倍率は0.71倍(50mmレンズ装着時、無限遠)。視野率は上下左右とも約96%。交換式のフォーカシングスクリーンを採用する。
記録メディアはCF、Microdrive。20Dなどと同じく、RAW+JPEGの同時記録も可能で、5Dでは「ブルー/基準色温度/アンバー」と「マゼンタ/基準色温度/グリーン」の方向でのホワイトバランスブラケティングがRAW+JPEGでも行なえる。
バッテリーはBP-511A、BP-511/512/514を使用。これらをいずれか2個、または1個を収納できる専用バッテリーグリップ「BG-E4」(29,400円)も別売で用意される。
シャッター速度は1/8,000秒で、像消失時間は145ms。測光は35分割。1D系と同じく内蔵ストロボは装備しない。E-TTL II自動調光システムに対応する。
外装はマグネシウム製。本体サイズは152×75×113mm(幅×奥行き×高さ)、重量は810g(本体のみ)、895g(バッテリー込み)。
付属のCD-ROM「EOS DIGIAL Solution Disk」には、RAW現像ソフト「Digital Photo Professional」の新バージョン「2.0」を収録する。従来の同社製デジタル一眼レフカメラで撮影したRAW画像に対し、ピクチャースタイルを適用する機能や、画像を2分の1に縮小して高速表示する「クイックチェック画面」、画像選別を行なうための「チェックマーク」、「新規フォルダ作成機能」が追加された。
また、シャープネス機能を強化し、リアルタイムで確認しながら調整できるという。さらにコピースタンプ機能が加わり、撮像素子上のゴミなど、不要なものや消去したいものを修正できる。新たにApple RGB、ColorMatch RGBの各色空間にも対応した。
|
EOS 5D |
EOS-1Ds Mark II |
EOS 20D |
撮像素子形式 |
CMOSセンサー |
撮像素子サイズ(mm) |
35.8×23.9 |
36×24 |
22.5×15 |
有効画素数 |
約1,280万画素 |
約1,670万画素 |
約820万画素 |
最大解像度 |
4,368×2,912 |
4,992×3,328 |
3,504×2,336 |
画角変化 |
なし |
約1.6倍相当 |
感度(拡張設定含む) |
ISO50~3200相当 |
ISO100~3200相当 |
適合レンズ |
EF |
EF、EF-S |
記録形式 |
RAW、JPEG、RAW+JPEG |
ファインダー倍率 (50mmレンズ時) |
約0.71倍 |
約0.7倍 |
約0.9倍 |
ファインダー視野率 |
約96% |
約100% |
約95% |
アイポイント |
20mm |
フォーカシングスクリーン |
交換式 |
固定式 |
測距点 |
9点+アシスト6点 |
45点 |
9点 |
測光 |
35分割 中央部 スポット 中央部重点平均 |
21分割 中央部 スポット 中央部重点平均 |
35分割 中央部 中央部重点平均 |
シャッター速度 |
30~1/8,000秒、バルブ |
ストロボ同調速度 |
1/200秒 |
1/250秒 |
最大連続撮影速度 |
約3コマ/秒 |
約4コマ/秒 |
約5コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 |
RAW約17枚 JPEG約60枚 |
RAW約11枚 JPEG約32枚 |
RAW約6枚 JPEG約23枚 |
液晶モニター |
2.5型 約23万画素 |
2型 約23万画素 |
1.8型 約11.8万画素 |
記録メディアスロット |
CF |
CF、SD |
CF |
PCインターフェイス |
USB 2.0 |
IEEE 1394 |
USB 2.0 |
内蔵ストロボ |
なし |
あり |
電池 |
BP-511/511A BP-512 BP-514 |
NP-E3 |
BP-511 BP-511A BP-514 |
サイズ (幅×奥行き×高さ、mm) |
152×75×113 |
156×79.9×157.6 |
144×71.5×105.5 |
重量(g) |
810 |
1,215 |
685 |
■ お問い合わせ先
お客様相談センター
Tel.050-555-90002
Tel.043-211-9556
■ URL
キヤノン
http://canon.jp/
ニュースリリース
http://cweb.canon.jp/newsrelease/2005-08/pr-eos5d.html
【2004年8月20日】キヤノン、820万画素デジタル一眼レフ「EOS 20D」(PC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0820/canon1.htm
( 本誌:折本幸治 )
2005/08/23 14:15
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。
|
|