リコーは24日、コンパクトデジタルカメラの新製品「GX200」の発表会を都内で開催した。
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自動開閉式レンズキャップ「LC-1」を装着したGX200
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会場の様子
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GX200は、有効1,200万画素CCDや広角24mm対応の3倍ズームレンズなどを搭載するモデル。発売は7月4日。価格はいずれもオープンプライスだが、店頭予想価格は電子ビューファインダー(EVF)同梱の「GX200 VF KIT」が8万円前後、本体のみの「GX200」が6万円台半ばの見込み。
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リコーパーソナルマルチメディアカンパニーの湯浅一弘プレジデント
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発表会の冒頭、リコーパーソナルマルチメディアカンパニーの湯浅一弘プレジデントが挨拶した。湯浅氏は「撮影領域の拡大をコンセプトにしながら、Caplio GX100ユーザーの声に耳を傾けて開発した。見た目は(GX100)とほとんど変わらないが、中身はずいぶん進化している。撮影領域の広さと撮影自由度の高さを併せ持つ、唯一無二のコンパクトデジタルカメラ」と紹介。また、対応アクセサリーの多さから、カスタマイズ製があり、使い方に合わせられるカメラ」と述べた。またGRシリーズとGXシリーズの違いについて、「GRは使いこなす楽しみを持ったカメラ、GXはユーザーの要求に合わせて対応できるカメラ」と説明した。
なお、より大型の撮像素子を搭載するという方法もあったのでは? との質問に対して、「全く議論は無かった。前モデルと同じ撮像素子の大きさで画素数を上げていく方向性だった」と回答。画質に関しては、「再度見直してチューニングしている。自信を持っている」と語った。
また、生活防水機能については、「今回は見送ったが、この先は必要になってくると思う。今後に期待してほしい」と搭載に前向きな姿勢を示した。
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リコーパーソナルマルチメディアカンパニーICS事業部の北郷隆設計部長
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続いて、リコーパーソナルマルチメディアカンパニーICS事業部の北郷隆設計部長がGX200の製品説明を行なった。
レンズは従来の構成を引き継いでいるが、改良を施すことで逆光時のゴースト耐性が高まったとしている。また、ディストーション補正機能を新たに搭載し、画像周辺でも直線の被写体を直線として描写可能という。なお、ディストーション補正機能は任意でON/OFF可能。ONの場合は画角がわずかに狭くなる。
テレコンバージョンレンズ「TC-1」も新設定のオプション。基本的に望遠端のみでの使用になるという。画角は135mm相当。先端に55mm径のフィルターが装着できる。Caplio GX100でも使用できるが、ファームウェアの更新が必要とのこと。
画質面では、画像処理エンジンを新たに「スムースイメージングエンジンIII」とし、加えて内部システムのレイアウトを見直したことで、解像度、彩度を落とすことなくノイズを低減したという。撮影時に擬似的にダイナミックレンジを拡大する「自動レベル補正撮影機能」も搭載。白トビや黒つぶれを軽減でき、撮影後の画像に対する補正も可能。
新開発のレンズキャップ「LC-1」(別売、1,680円)についても触れ、「従来キャップを付けたり外したりする必要があった。自動的に開閉するレンズキャップへの要望は多かった」(北郷氏)という。LC-1は3枚に分かれたキャップが、繰り出したレンズ先端に押される形で開く仕組み。バネ仕掛けになっており、電源OFFで自動的に閉まる。Caplio GX100にも装着可能。
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LC-1
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キャップは3枚に分かれており、それぞれにバネを備える
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LC-1を装着したところ
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電源を入れたところ
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背面
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モードダイヤルは新たにアルミプレートを貼付し、質感を高めた
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新たにラインナップしたテレコンバージョンレンズ「TC-1」(1万7,325円)を装着したところ。「フード&アダプター」(5,250円)介して取付ける
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1:1(正方形)モードのRAW記録が可能になった
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ファンクションボタンの「Fn1」と「Fn2」に各機能を割り当て可能
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GR DIGITAL IIで好評だったという電子水準器も搭載した
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ストロボの先幕/後幕シンクロが選択可能に
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ダイナミックレンジ拡大機能は、「画像設定」の「自動レベル」を選択して行なう
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ストロボ発光量をマニュアルで設定可能になった。最小は1/32
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ホワイトバランス補正機能も新搭載。リアルタイムでプレビュー可能
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拡張性をアピールしていた
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■ “キャンディッド”をテーマにイタリアの研究機関との共同研究をスタート
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プロジェクト概要
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同社では、写真を通じて文化的な交流を行なっていくプロジェクト「RICOH Candid Photo Project」を開始することを発表した。第1弾として、Shiodomeitaliaクリエイティブ・センターイタリアのパートナーであるイタリアのデザイン専門大学研究機関「ドムス・アカデミー」と共同で、「その“瞬間”が世界をつなぐ」をコンセプトに、写真の新たな撮影/表現方法を探求する研究プログラムを行なう。
湯浅氏は、「キャンディッドフォト文化の支援をプロダクトや文化活動などを通して、引き続き行なっていきたい」と意気込みを語った。「プロジェクトを通して新しいジャンルに挑戦し、リコーとしても進化していきたい」としている。
また同氏は、今回のプロジェクトに関連して東京銀座界隈にギャラリー的なものを作る計画があることを明らかにした。一般的なギャラリーではなくユーザー参加型のもので、2008年中のオープンを目指しているという。
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ドムス・アカデミーデザイン科マスターコースディレクターのクラウディオ・モデリーニ氏
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プロジェクトについてドムス・アカデミーデザイン科マスターコースディレクターのクラウディオ・モデリーニ氏が説明した。
これまで、au、Nokia、パイオニアなどとのコラボレーションを行なってきたという。「キャンディッドフォトは、経験がない分野ではあるが興味を持っており、今回参加させてもらった」と経緯を述べた。「イメージを通して、新しいコミュニケーションの形を追求したい。自然体で本質を捉えることを重視していく」という。
具体的には、リコー、ドムス・アカデミー、Shiodomeitaliaクリエイティブ・センターの3者でワークショップを行なう。まず、ヨーロッパのデザイン学校を使うことで、ヨーロッパの視点を取り入れていく。次に東京で、どのような可能性があるのかを模索していく。さらに、一般の人を交えた創造性のあるコミュニケーションでまとめる。
同氏は「リコーにとっては、製品のイノベーション。一般の人にとっては文化という収穫がある」とした。
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auでの例
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パイオニアでの例
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キャンディッドフォトフォトの可能性を追求する
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「エネルギーと原動」、「見えなかったものが見える」、「どこでもいつでも」、「その瞬間が世界をつなぐ」、などいくつかのキーワードを設定
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■ 横木氏「GX200はポテンシャルのあるカメラ」
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写真を披露しながら語る横木安良夫氏(左)とYutaka-T氏(右)
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会場には、写真家の横木安良夫氏と建築家のYutaka-T氏が駆けつけ、GX200の想いを語った。
横木氏は、雑誌の仕事で出向いたウラジオストクの写真を披露。GX200を2台とデジタル一眼レフカメラを持って行ったそうだが、ほとんどの写真をGX200で撮影したという。GX200について、「ポテンシャルのあるカメラ。小さいことは1つの性能。フォーカス速度などは改善の余地があるが、これからもずっと進化していくと思う」と述べた。
また、「テレコンバージョンレンズを使うと、撮像素子が小さくてもある程度背景のボケも期待できる。仕事で望遠が必要なときもあるから、うれしい」とテレコンバージョンレンズ対応を評した。今回実現した自動開閉レンズキャップは、自身が強く要望していた機能という。
横木氏は最後に、「携帯電話のカメラで満足していない層が増えている。一眼レフとはまた違ったところが求められており、コンパクトデジタルカメラでもちゃんとしたものなら携帯電話とは別に欲しいと思うもの」と考えを話した。
「カメラは、人と人との間にあるコミュニケーションツール。写真の本質は、現実に触れること。それを恐れてはいけない。」とし、「写真になってから感動が生まれることもある」とRICOH Candid Photo Projectにも言及した。
Yutaka-T氏は、ニューヨーク在住の建築家。GX200で撮影したニューヨークの街をスライドショウで上映した。「カメラが目立たないので歩きながらどんどん撮影できる。24mmの画角がいい」とGX200が気に入った様子だった。
建築と写真について、「建築は思いついてから完成まで時間と大きな労力がかかるが、写真だと短い時間でダイレクトに気持ちが伝わる」とした一方で、「建築で空間的、場所的なものを作っていくのと、写真で切り取って行くのは似ている」と共通点も示した。
RICOH Candid Photo Projectについては、「キャンディッドフォトはおもしろい分野。リコーには道具というものにこだわって、その分野を続けていって欲しい」と述べた。
■ URL
リコー
http://www.ricoh.co.jp/
ニュースリリース(GX200)
http://www.ricoh.co.jp/release/by_field/digital_camera/2008/0624.html
ニュースリリース(RICOH Candid Photo Project)
http://www.ricoh.co.jp/release/by_field/digital_camera/2008/0624_2.html
製品情報
http://www.ricoh.co.jp/dc/gx/gx200/
■ 関連記事
・ リコー、1,200万画素になった広角24mm対応デジカメ「GX200」(2008/06/24)
( 本誌:武石 修 )
2008/06/24 20:29
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