J.D. パワー アジア・パシフィックは16日、「2007年日本デジタルカメラ顧客満足度調査」の結果を発表した。コンパクトデジカメでは700万画素クラスの撮像素子の搭載、デジタル一眼レフでは900万画素クラスの撮像素子の搭載、さらに機能と性能をユーザーにしっかりと伝える良質なマニュアル作りが、顧客満足度を引き上げる重要なファクターであることが明らかになった。
調査は2006年12月から2007年1月にかけてWeb上で行なわれた。2006年1月から2007年1月の間にデジタルカメラを実際に購入した18歳以上の男女を調査対象とし、有効回答数は1万277サンプルを得た。
これらを「コンパクト・デジタルカメラ(500万画素以上~700万画素未満)」、「コンパクト・デジタルカメラ(700万画素以上)」、「デジタル一眼レフカメラ」の3つに分けて、満足度評価を集計・測定した。
Web上で行なわれた調査要素は「機能・性能」、「画質」、「デザイン」、「操作性」、「外部機器との接続性」の5つ。総合満足度スコアは1,000ポイントで、複数の詳細項目に関する回答者の評価をもとに、同社が総合的な顧客満足度スコアが算出したという。
■ コンパクトも一眼も顧客満足度ファクターの優先順位は同じ
総合満足度を構成するファクターの得点順位や比率は、コンパクトデジカメとデジタル一眼レフもほぼ同じ結果が出ている。どちらも顧客満足度において、「機能・性能」、「画質」、「デザイン」、「操作性」、「外部機器との接続性」の順に高いパーセンテージを集めている。
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図1
コンパクトデジカメの総合満足度を構成するファクター
※出典 J.D. パワーアジア・パシフィック2007年日本デジタルカメラ顧客満足度調査
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図2
デジタル一眼レフの総合満足度を構成するファクター
※出典 J.D. パワーアジア・パシフィック2007年日本デジタルカメラ顧客満足度調査
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最も注目されているのは機能・性能。コンパクトデジカメは32%、デジタル一眼レフは33%以上と、どのような購買層であれ、デジカメにはパフォーマンスの高さが何よりも重要であると考えていることを証明している。
次に注目されるのが画質。コンパクトデジカメは21%、デジタル一眼レフは25%。この画質も機能・性能の一部と考えれば、総合満足度を構成するファクターの中、コンパクトデジカメは53%、デジタル一眼レフは58%と、ともに過半数を超えることがわかる。
3番目に求められるのはデザインだ。コンパクトデジカメは20%、デジタル一眼レフは19%。ともにボディ形状などのデザインは満足度にはあまり貢献していない。
4番目に求められるのは操作性。コンパクトデジカメとデジタル一眼レフは同じく15%。操作性デザインに含まれると考えれば、コンパクトデジカメは35%ト、デジタル一眼レフは34%。機能・性能とほぼ同等のパーセンテージとなる。
最も注目されなかったのが外部機器との接続性。コンパクトデジカメは12%、デジタル一眼レフは8%となった。
■ 500~700万画素コンパクト機ユーザーの満足度
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図3
顧客満足度ランキング、コンパクト・デジタルカメラ(500万画素以上~700万画素未満)
※出典 J.D. パワーアジア・パシフィック2007年日本デジタルカメラ顧客満足度調査
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ランキング対象の製品の中、顧客満足度第1位はカシオEXILIMシリーズ。機能・性能とデザインが評価されて最高値の662ポイントを集めた。
第2位はキヤノンのIXY DIGITALシリーズ。画質、操作性、外部機器との接続性などが評価されて659ポイントをバランスよく集めた。
第3位はソニーサイバーショットシリーズ。機能・性能と外部機器との接続性などが評価されて642ポイントを集めた。
コンパクト・デジタルカメラ(500 万画素以上~700 万画素未満)では、顧客満足度ポイントを大きくリードするメーカーもシリーズも見られない。順位ごとのポイント差もわずかで、10ポイント以上引き離される例は、第5位のパナソニックLUMIXシリーズと第6位リコーCaplioシリーズだけだ。
■ 700万画素以上のコンパクト機ユーザーの満足度
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図4
顧客満足度ランキング、コンパクト・デジタルカメラ(700万画素以上)
※出典 J.D. パワーアジア・パシフィック2007年日本デジタルカメラ顧客満足度調査
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ランキング対象の製品の中、顧客満足度第1位はリコーGR DIGITAL。シリーズをもたない単独機種でありながら、画質、デザイン、操作性において、最も高い708ポイントを集めた。
第2位はソニーサイバーショットシリーズ。機能・性能と外部機器との接続性などが評価されて、692ポイントを集めた。
第3位はカシオEXILIMシリーズで、667ポイントとなっている。
■ デジタル一眼レフカメラユーザーの満足度
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図5
顧客満足度ランキング(
デジタル一眼レフ)
※出典 J.D. パワーアジア・パシフィック2007年日本デジタルカメラ顧客満足度調査
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ランキング対象のメーカーは、現行機種のデジタル一眼レフカメラを発売する5社。顧客満足度は第1位のニコン(698ポイント)、第2位ペンタックス(683ポイント)、第3位キヤノン(661ポイント)、第4位ソニー(650ポイント)、第5位オリンパス(631ポイント)となっている。
第1位のニコンは機能・性能、画質、操作性、外部機器との接続性の4つのファクターで最高ポイントを集めた。
■ 今後の顧客満足度アップのカギは質の高いマニュアル作り
今回の調査で、コンパクトデジカメとデジタル一眼レフカメラのどちらも、顧客が注目するのは5つのファクターの中で、特に性能・機能であることがわかった。また、画質やデザインと違って、性能・機能のさらなる向上を求めていることも同時明らかになった。
さらに、顧客にとってよりわかりやすいマニュアルを添付することが、性能・機能のポイントを上げる大きな要素であることが判明した。どれほどに高い性能・機能をデジカメに搭載できても、わかりやすいマニュアルで顧客にアピールできなければ、顧客満足にはつながらないということだ。
■ コンパクトデジカメの画素数競争は700~800万画素で落ち着く
調査ではコンパクトデジカメと一眼レフデジカメにおいても、600万画素を境にして顧客満足度が大きく変っている。
ただし、コンパクトデジカメが700万画素を超えても、それ以上の満足度の上昇にはつながらない。デジタル一眼レフカメラでは、900万画素を超えたあたりから満足度が強く上昇する。デジタル一眼レフカメラでは、画素数のさらなる向上が顧客満足度に直結することが証明されたとしている。
■ URL
J.D. パワー アジア・パシフィック
http://www.jdpower.co.jp/
2007年日本デジタルカメラ顧客満足度調査(PDF)
http://www.jdpower.co.jp/press/pdf2007/2007JapanDigitalCamera_J.pdf
( 本誌:織原 博貴 )
2007/03/16 21:50
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