エプソンは26日、都内でプリンタ新製品の発表会を実施し、同日に発表されたインクジェット複合機/単機能機、フォトストレージビューアーを紹介した。
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PM-A970
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PM-A920
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A3ノビ対応の染料機「PM-G4500」
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HDDフォトストレージ「P-5000」
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■ “最低でも52%のシェア”でナンバーワンを目指す
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エプソン 代表取締役 丹羽憲夫副社長
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冒頭では、同社 代表取締役 丹羽憲夫副社長が挨拶。同氏は2006年のインクジェットプリンタ市場について、「2006年上半期は、2005年が好調だった反動でマイナス成長となったが、下期は絶好調だった2004年と同レベル、前年同期比6~7%の成長を見込んでいる。複合機ラインナップの拡充によりインクジェット市場を牽引し、最低でも52%のシェアでナンバーワンを目指したい」と語った。
また、同時にフォトストレージビューアー、TVプリンティング対応機の投入についても触れ、「日本の家庭に写真を印刷するという文化を根づけさせるのが目的。特にTVプリンティング対応機に注力し、エプソンをアピールしていきたい」とした。
■ ユーザーの要望に応えた製品
続いて、同社 情報画像事業本部 IJP事業部 遠藤剛一事業部長が新製品に搭載された機能および技術について説明した。
同氏は、これまで同社が調査したアンケート結果を紹介し、ユーザーの購入動機となった理由の1つとして「Epson Color」が挙げられているとした。しかし旧機種のEpson Colorに含まれる「スーパーファイン! EX」では、人物の肌色や逆光補正に弱いというユーザーの意見が寄せられたため、新製品ではこれに向けて改善したという。
具体的には、白熱灯の下でオレンジカブリしてしまう肌色をより自然な色に近づけるよう積極的に色補正を行なうほか、逆光補正時に背景が白飛びしてしまう写真においては背景の階調をほぼ維持したまま補正できる。また、インクも改良され、耐光性、耐オゾン性が従来品と比較して約2.5倍の寿命を達成。「銀塩写真に引けをとらない保存品質が実現できる写真が印刷可能」とアピールした。
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エプソン 情報画像事業本部 IJP事業部 遠藤剛一事業部長
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Epson Colorに含まれる技術要素
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白熱灯の下で撮った写真のオレンジカブリを修整できるようになった
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逆光補正において背景の白飛びを軽減
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つよインク200と従来品の耐光性比較
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印刷サンプルによる耐光性比較
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つよインク200と従来品の耐オゾン性比較
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印刷サンプルによる耐オゾン性比較
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インクの噴出量をコントロールする「MSDT(Multi Sized Dot Technology)」も従来の2pl、6pl、20plの3種類のサイズから、1.5pl、2pl、6pl、13pl、20plの5種類のサイズが噴出できる「Advanced-MSDT」に進化。粒状感を少なくするとともに、階調性を大幅に改善し、4色インクでも6色並みの階調再現ができるという。
さらに、ヘッド応答速度の向上、および濃いインクと薄いインクにそれぞれ最適化した噴出量コントロールにより、1画素あたりの印刷時間を3~4割向上させ、トータルで1.4~1.8倍の印刷速度の向上を達成したとした。
新機種に搭載された印刷エンジン「REALOID(リアロイド)」についても触れ、「これはReal On Image Desingというコンセプトに基づいたチップで、4年前から開発が進められていた。並列処理およびハーフトーン処理を最適化し、印刷速度と品質を改善できた」と説明した。
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従来製品との印刷速度の比較
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REALOID画像処理エンジン
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最上位の「PM-T990」に搭載されたTVプリンティング印刷機能については、「デジタルTVへの移行が進む中、デジタルTV接続をサポートした業界初の製品。対応番組から印刷できるだけでなく、TVのカードリーダで読み込んだ写真をTVで確認してプリンタで印刷できるため、同機を皮切りにユーザーの複合機への買い替えを推進したい」と話した。
なお、同機能は2007年春より順次発売されるデジタルTVやセットトップボックスに対応する予定だが、発売時はパナソニックのVIERA(PZ600、PX300~600、LX300~600)にも対応しており、VIERAのユーザーは購入後すぐにTVプリンティングを体験できるとした。
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TVへ接続する第3世代プリンタの市場開拓へ
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会場に展示された「PM-T990」
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また、上位のPM-T990/A970/A920/D870では、デジカメで撮影した動画(MOV/AVI/MPG形式)の1コマを切り出して印刷する機能、および動画のコマを並べて印刷する機能も追加され、機能強化を図ったとした。
最後にフォトストレージビューアー「P-5000」が紹介され、「同社の独自技術で4色カラーフィルターによる広色域化を実現し、Adobe RGBの約88%をカバーできる。これは約70万円もするナナオの“CG220”に匹敵する値であり、それに迫るカラーマッチングを実現した」とアピールした
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P-5000に搭載されるPhoto Fine Ultra液晶の模式図
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Adobe RGBの約88%をカバーできる
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■ TVと接続できるプリンタは“第3世代”
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同社 代表取締役 真道昌良社長
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最後に新製品の販売戦略について、同社 代表取締役 真道昌良社長が説明にあたった。
2006年上半期は2005年度の反動に加え、オリンピック/ワールドカップが重なったこともあり、消費者の需要はAVへ傾いたが、下半期は順調に伸を示すとの予想。「2006年通期の販売目標は206万台で、このうち複合機が約58%、コンパクト機が約10%、ダイレクト機が約8%、単機能機が約24%と見込んでいる」とした。
また、デジカメ写真の印刷の現状についても触れ、「家庭で印刷するよりも、店にもって行き現像するユーザーが多い。さらに、印刷しないユーザーも3割を超えている」と指摘した。
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2006年インクジェットプリンタ市場予測
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同社の出荷台数種類別予想
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店で現像する主な原因としては、プロがやるのでユーザーの手間がかからず、かつ安心できるという意識が高いという。そこで同氏は、「当社はEpson Colorで“キレイ”、“安心”、“カンタン”を訴えていき、プリンタでの印刷が複雑というイメージを払拭し、“おうちプリント”を訴求していきたい」とした。
一方、印刷をしないユーザーの多くは、ケータイに付属するカメラ機能を利用しているためであるとし、「上位機種で赤外線ポートを装備し、ケータイからでも印刷できるようにした。“印刷してみんなで楽しむ”という啓蒙を普及していきたい」と話した。
TVプリンティング印刷機能については、この機能を「テレプリパ」と命名し、市場拡大を図る。「PCだけに接続できるプリンタを“第1世代”、デジカメに接続できるプリンタを“第2世代”とすれば、TVに接続できるプリンタは“第3世代”。ホームネットワークに接続するプリンタを第3の成長軸に展開し、市場を開拓したい」と語った。
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TVへ接続する第3世代プリンタの市場開拓へ
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地上デジタルTVのデータ放送で印刷対応番組を視聴すると、印刷ボタンが現れ、Ethernet経由で印刷できる
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会場に展示された「PM-T990」
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■ URL
エプソン
http://www.epson.co.jp/
ニュースリリース(PM-A970、P-A920、PM-A820)
http://www.epson.jp/osirase/2006/060926_2.htm
ニュースリリース(PM-T990)
http://www.epson.jp/osirase/2006/060926.htm
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( 本誌:劉 尭 )
2006/09/26 19:04
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