キヤノンは26日、デジタル一眼レフカメラなどの新製品発表会を都内で開催した。
発表したのは、ミドルクラスのデジタル一眼レフカメラ「EOS 50D」と高倍率ズームレンズ「EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS」。いずれも9月下旬に発売する。また、コンパクトデジタルカメラやコンパクトフォトプリンタなどの秋モデルも合わせて発表した。
なお、各機種の詳細は別ページを参照されたい。
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EOS 50Dを構えるイメージキャラクターの渡辺謙氏
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会場の様子
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■ 高感度画質を大幅に改善
キヤノンイメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏が、EOS 50Dの製品説明を行なった。「快速、快適、高画質を高い次元で実現した。ハイアマチュアがターゲット」と紹介した。
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キヤノンイメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏
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キヤノンのデジタル一眼レフラインナップ
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撮像素子は新開発の有効1,510万画素CMOS。従来のCMOSセンサーにはマイクロレンズの間にギャップが存在したが、今回ギャップをなくすことに成功し、フォトダイオードの開口率があがった。また、4チャンネル読み出しの改良や高速アンプにより、信号読み出し速度が約1.5倍になったとしている。ローパスフィルターには、新たにフッ素コーティングを施した。粘着性のゴミを取り除くことが可能になったという。
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ギャップレスマイクロレンズの実現で、フォトダイオードの開口率をアップさせた
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有効1,510万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを採用
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同時発表の高倍率ズームレンズ「EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS」を装着したところ
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また、EOS 50Dから新採用となる画像処理エンジン「DIGIC 4」を採用。処理速度は、DIGIC IIIに比べて約30%向上した。これによりより自然なノイズ処理が可能になり、ISO3200を常用可能としている。拡張設定でISO12800まで増感可能。「夜間や暗い室内なのでの撮影が可能になり、対応シーンが広がる」(真栄田氏)とのこと。
AFはEOS 40Dと同じ全クロスセンサーの9点を採用。中央はF2.8対応。新機能としてフラッグシップ機「EOS-1Ds Mark III」などで採用しているAF微調整機能「AFマイクロアジャストメント」をミドルクラスで初搭載した。「きめ細かいチューニングを行ないたいユーザーに満足してもらえる」(真栄田氏)としている。
周辺光量補正も新搭載の機能。各レンズに応じて周辺光量の補正が可能で、メニューからON/OFFを設定できる。現在35本のレンズに対応しており、未対応のレンズや今後発売するレンズについては、ダウンロードした補正データをPC経由でカメラ本体に転送できる。
液晶モニターは約92万ドット(VGA)の3型TFT。3層の反射防止コーティングを施した。また、160度の視野角を実現している。
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ボタン配列などはEOS 40Dとほぼ同じだが、グリップ形状を見直しホールド性をアップさせた
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メニューデザインも一新。ライブビュー起動ボタンは、「SETボタン」から、ファインダー左側のボタンに変更している
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モードダイヤルをシルバーに変更。高級感を出したという。また、「CA(クリエイティブオート)ポジション」を装備した
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ボディはマグネシウム製
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シャッターユニット
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AFユニット
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DIGIC 4
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液晶モニター
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内部構造
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ダストクリーニングユニット
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新たにHDMI端子を装備した
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ライブビュー機能設定で、顔マークを選択すると顔検出機能が働く
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最大35人までの顔を検出できる
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AF微調整はカスタムファンクションから設定する
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設定画面
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画面上のパラメーターを直接調節できる「クイック設定画面」を新搭載
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モードダイヤルで「CA」にすると利用できる「クリエイティブ全自動」。明るさやボケなどをグラフで調整できる。専門用語がなく、わかりやすい表記としている
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周辺光量補正機能を新搭載。補正データは、ボディ側に備える
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EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS
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望遠端時
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レンズ構成
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手ブレ補正ユニット。補正レンズをバネとセラミックボールで支持する方式を採用
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同日発表のコンパクトデジタルカメラ
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こちらも同時発表のコンパクトフォトプリンタ
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2007年8月発売の「EOS 40D」は併売し、同社のミドルクラスデジタル一眼レフカメラはEOS 50D、EOS 40D、EOS 5Dの3モデルで展開する。なお真栄田氏は、「2008年中にもう1機種のデジタル一眼レフカメラを発売する」と明言した。発売時期やモデルの詳細は明らかにしなかったが、「順番に出していく」とコメントした。
なお2007年は世界で340万台を出荷し、シェアは45%だった。2008年は、440万台の出荷を見込み、シェア50%を取りたいと話した。
■ 2008年はデジタル一眼レフでシェア45%を狙う
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キヤノンマーケティングジャパンコンスーマーイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏
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続いて、キヤノンマーケティングジャパンコンスーマーイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏が国内の販売戦略を説明した。
2008年のデジタル一眼レフカメラの販売台数は、銀塩カメラのピークであった1980年の記録に並ぶとの見方を示した。その中で、コンパクトも含めて5年連続のシェア1位を取りたいと意気込みを見せた。
「上期は他社を含めてエントリー機が目立ち、エントリー機が市場を引っ張った。下期は、EOS 50Dを投入する。コンパクトデジタルカメラユーザーからのはエントリークラスへのデジタル一眼レフカメラユーザーのステップアップをねらう」としている。
宣伝には、EOS 40Dの導入で成功したやりかたを強化するとしており、本格派のエントリーユーザーや団塊の世代を取り込むという。EOS 40Dの購入者層はEOS 30Dにくらべて50歳以上が5%増えているという。
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デジタルカメラの国内販売規模とシェア
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2008年前半はEOS Kiss X2が好調だった
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「~私に応える正統~」がキャッチコピー
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2008年の目標シェアは一眼レフが45%、コンパクトカメラが20%、コンパクトフォトプリンターが45%。いずれもナンバー1としている。
コンパクトデジタルカメラに関しては、「2008年はカシオさん、パナソニックさんが当社と併せてトップ争いをしている。2007年まではキヤノンが抜きん出ていたが、2008年は3社でデットヒートになっている。」と現状を説明。「価格対応力では他社がかなり積極的に行なっている部分はある。(キャノンとして)若干2007年より苦しんでいる面もあるが、最終的には僅差と思うが、ナンバーワンを獲得できると考えている」と述べた。
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これまで土日のみの開講だったEOS学園名古屋校を11月から常設にすることを発表
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各カテゴリーでナンバー1を目指す
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■ いろんな瞬間を余すことなく撮りたい
会場には、2007年のEOS 40Dに引き続きイメージキャラクターを務める俳優の渡辺謙氏が登場。EOS 50Dの広告写真を担当した写真家の立木義浩氏とトークを楽しんだ。
渡辺氏は「撮影中、EOS 50Dを構えていると撮影したくなってくる」とカメラへの興味を見せた。一方、撮る側の立木氏は「先に撮られちゃった」と思ったとか。「西部劇の相打ちの感じだった」と立木氏が撮影時の印象を述べた。
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宣伝写真を担当した立木義浩氏も応援に駆けつけた
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出かけるときはほとんどカメラを持って行くという渡辺氏。リラックスした表情で話した
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CM、雑誌広告の撮影は、北海道で実施。「深夜2時に現場に集合したのは、自分史上初めて」と渡辺氏
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「カメラに夢中になっている少年のようなイメージで撮影した」(立木氏)
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「いろんな写真を余すことなく撮って行きたい」(渡辺氏)と楽しそう。年末には自身初めてというアフリカへの撮影旅行を計画している
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トークショウの司会は、フリーアナウンサーの中井美穂氏
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会場には、コンパクトデジタルカメラの累計出荷1億台突破に合わせて、歴代のコンパクトデジタルカメラを展示した
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キヤノン初のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot 600」
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■ URL
キヤノン
http://canon.jp/
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( 本誌:武石 修 )
2008/08/26 21:08
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