デジカメ Watch
最新ニュース
【 2016/01/26 】
【 2016/01/25 】
【 2016/01/22 】
【 2016/01/21 】
【 2016/01/20 】

キヤノンMJ、コンスーマ機器事業は減収減益

~コンパクトデジカメの価格下落の影響受ける

 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(キヤノンMJ)が24日発表した2008年度上期(1~6月)の連結決算は、売上高が前年同期比2.1%減の4,186億円、営業利益は15.8%減の143億円、経常利益は15.4%減の147億円、当期純利益は35.3%減の64億円で減収減益となった。

 そのうち、デジタルカメラやプリンタなどのコンスーマ機器事業の売上高は、前年同期比1%減の1,237億円、営業利益は40%減の34億円となった。


デジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X2」を3月に投入
コンパクト機では「IXY DIGITAL 910 IS」が好調。シルバーモデルを2月に追加した

 コンパクトデジタルカメラは、2007年9月に投入した28mmの広角対応モデル「IXY DIGITAL 910 IS」が引き続き好調に推移したほか、カラーバリエーションを5色揃えた「IXY DIGITAL 20 IS」などの新規投入効果があったものの、前年比2桁減という単価下落の影響などにより、前年同期を下回った。

 「前年度は、新製品投入のタイミングもよく、市場の価格下落ほどは落ち込まなかったが、今年度は製品投入が遅れたこともあり、価格下落の影響をまともに受けた。市場全体の同等水準で価格が下がっている。また、キヤノンが市場をリードするような商品が、直近にはなかったことも反省材料としてある。前年に比べて苦しい状況にあるのは確かだ。秋以降に新製品を導入する予定であり、上期よりも強力な製品を投入できる。一気に抜きんでた商品、キヤノンらしい商品を投入したいという認識は開発部門も持っており、秋の新製品では他社に遅れるという認識はない。十分戦える商品であり、安心して営業活動ができる。価格競争はこのまま続くだろうが、商品の良さを訴えて、価格下落を止めたい」(佐々木統常務取締役)とした。

 なお、コンパクトデジタルカメラの上期販売台数は前年同期比11.0%減となった。

 デジタル一眼レフカメラでは、3月に発売した普及モデルの「EOS Kiss X2」が好評であるほか、中級モデルの「EOS 40D」が好調に推移。さらに、カメラ本体の伸びに伴い、交換レンズの売上が引き続き増加した。そのほか、スポーツイベントの撮影に最適な大口径レンズや超望遠域対応のレンズが、報道関係向け需要を中心に売上を伸ばしたという。

 「普及価格帯の新製品が相次いで発売されたこと、また、コンパクトデジタルカメラからステップアップする顧客層の増加により、市場全体も大幅に拡大した」という。

 デジタル一眼レフカメラの上期販売台数は前年同期比4万8,6%増と堅調に推移。デジタル一眼レフカメラとコンパクトデジカメをあわせたデジタルカメラ全体では、前年同期比2.7%減となった。

 デジタルビデオカメラは、3月に発売したハイビジョンタイプの「iVIS HF10」が、売上の増加とシェアの拡大に大きく貢献。「内蔵メモリとSDメモリーカードのダブルメモリによる利便性や、小型軽量、長時間記録が好評」だという。上期の販売台数は、前年同期比8.3%増となった。

 インクジェットプリンタでは、主力製品となる「PIXUS MP610」が引き続き好調で、モデル別トップシェアを獲得したが、台数では前年は実績を下回ったという。また、インクカートリッジの売上が堅調であるほか、ビジネス向け複合機2機種を含む新製品4機種を投入したことも売上増に貢献したという。

 「ENJOY PHOTOのコンセプトのもと、フォトレターやカレンダー作りを提案する販売促進活動の推進、ホームプリントの需要喚起に努めた」としている。

 インクジェットプリンタの上期販売台数は4.3%減となった。


シェアトップを獲得した「PIXUS MP610」 「SELPHY CP770」を6月に発売

 昇華型コンパクトフォトプリンタでは、インク・用紙一体カートリッジ採用の「SELPHY ES2」に加え、バスケット収納タイプの「SELPHY CP770」を6月に新規投入したが、売上は前年同期を大きく下回った。

 「昇華型コンパクトフォトプリンタ市場は、インクジェットプリンタやデジタルカメラの単価下落によって割高感が出てきていることが影響し、市場全体としても、台数、金額ともに前年を2桁も下回っている」(キヤノンMJ・川崎正己専務取締役)という。

 昇華型コンパクトフォトプリンタの上期販売台数は、前年同期比22.2%減と大幅な落ち込みとなっている。だが、下期には24.2%増を予測し、通期では前年並みを予測している。

 なお、ビジネスソリューション事業は、前年同期比4%増の2,571億円、営業利益は9%増の92億円。そのうち、ドキュメントビジネスの売上高は2%減の1,704億円。ITソリューションの売上高は18%増の867億円。また、半導体製造装置などの産業機器事業の売上高は27%減の377億円、営業利益は44%減の15億円となった。

 また、同社では、通期見通しの下方修正を発表した。売上高は、4月22日の公表値に比べて500億円減の8,750億円、営業利益は同15億円減の325億円、経常利益は同10億円減の330億円、当期純利益は同20億円減の170億円とした。

 コンスーマ機器事業では、売上高は当初公表値に比べて50億円減の2,825億円、営業利益は3億円減の132億円の前年比減収減益の見通しとするが、下期に関しては、売上高が前年同期比24億円増の1,588億円、営業利益は同11億円増の97億円と、全セグメントにおいて、唯一、増収増益を見込んでいる。

 デジタル一眼レフカメラは今後も入門機から上級機まで積極的な製品展開により、交換レンズを含め引き続き好調と予測するものの、コンパクトデジタルカメラは、メーカー間や販売店間での競争激化による価格低下が続くと予測。また、デジタルビデオカメラは好調なハイビジョンタイプを拡販することで、前年を大きく上回る販売台数を見込んでいる。一方、家庭用プリンタでは、前年を上回る販売台数を見込んでいるという。

 キヤノンMJ本社管理部門担当の川崎正己専務取締役は、「厳しい環境にあるコンパクトデジカメでも引き続きシェアNo.1の維持を目指す。だが、コンスーマ機器事業全体においては、広告宣伝費、販売促進費の見直しも行ない、収益を追求していくことになる」とした。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  キヤノンMJ投資家向け情報
  http://cweb.canon.jp/co-profile/ir/finance/

関連記事
キヤノンMJ、第1四半期はコンパクトデジカメの売上減が響く(2008/04/23)


( 大河原 克行 )
2008/07/24 15:55
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.