デジカメ Watch
最新ニュース
【 2016/01/26 】
【 2016/01/25 】
【 2016/01/22 】
【 2016/01/21 】
【 2016/01/20 】

セイコーエプソン、上期決算は減収増益に

~構造改革の成果が出たプリンタ事業

久保田健二常務取締役
 セイコーエプソンは、2007年度上期連結決算を発表した。売上高は6,562億円(前年同期比3.1%減、以下カッコ内は同じ)、営業利益は222億円(6.2%増)、経常利益は258億円(23.8%増)、当期純利益は32億円(688.9%増)となった。

 同社・経営管理本部長の久保田健二常務取締役は「減収要因は、構造改革の中にある電子デバイス事業によるもの。当初から予想していた範囲のものだといえる。一方で、情報関連機器では、為替の追い風もあり順調。クリスマス商戦に向けての旧モデルから新モデルへのシフトも順調に進んでいる。上期はプリンタの本体、消耗品ともに数量は増加している」と総括した。

 情報関連機器事業セグメントの売上高は、4,281億7,000万円(2.4%増)、営業利益は347億4,100万円(7.5%増)となった。

 プリンタ事業においては、インクジェットプリンタの価格低下が進展したものの、複合機の数量増加や円安効果があったほか、POSシステム関連製品は、課金システムを含むカラークーポンプリンタに関連する売り上げが堅調に増加。また、レーザープリンタが高付加価値機へ集中したほか、販売地域と機種の選択と集中によるモデルミックスを改善したことで増収増益となった。

 2年度目となった中期経営計画「創造と挑戦1000」においても、インクジェットプリンタにおいては、収益性を重視したマーケティングを実施することを掲げており、その成果が表れた格好だ。

 同社では、インクジェットプリンタ事業の今年度の戦略として、「短期的な収益と中期的な成長を見据えたバランスのとれた取り組み」とともに、「将来の消耗品売り上げを意識した本体販売数量の拡大に向けた施策を展開する」としており、競争力のある商品ラインアップの強化、コストダウンの推進、消耗品の純正率向上に向けた取り組みを推進している。

 また、中期的な収益の柱となるビジネス・産業分野に向けては、新型マイクロピエゾヘッド搭載のPX-20000の投入、インクジェット方式のミニラボシステムの投入などを図っている。

 映像機器事業では、アミューズメント向け液晶モニターの需要が減少したものの、ビジネス向け液晶プロジェクターが教育用途での需要増加などにより、増収となった。ホームシアター向け市場は拡大しているものの、大画面薄型テレビの低価格化により、伸び率は低下している。


 電子デバイス事業セグメントの売上高は、2,022億5,300万円(12.5%減)、営業損失は前年同期の83億3,300万円から、赤字幅を拡大し、94億5,300万円の損失となった。

 ディスプレイ事業において、欧米を中心とした第3世代携帯電話端末をはじめとする携帯電話端末需要の増大やデジタルカメラ、ポータブルメディアプレーヤー、欧米におけるポータブルナビゲーションなどの需要が増加したことにより、アモルファスシリコンTFT液晶ディスプレイの数量が増加したが、カラーSTN液晶ディスプレイと低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイが、価格低下や携帯電話端末向けの受注減少の影響を受けた。また、事業の終結を明らかにしているMD-TFD液晶ディスプレイの数量減少および価格低下の影響や、ディスプレイ事業全体の採算性改善が図れずに、大幅な減収減益となった。

 水晶デバイス事業では、携帯電話端末、デジタルカメラ、PC向けなどの需要増加にともない数量増加となったものの、低価格品の比率が上昇したため、水晶デバイス事業全体としては若干の増収にとどまった。

 半導体事業では、携帯電話端末以外の複合商品向けの数量が増加したものの、携帯電話端末用LCDドライバの数量減少と、全般的な価格低下が影響し減収となった。

 中・小型液晶ディスプレイ事業については、中期経営計画で想定した事業環境などが大きく変化したことにより採算が大幅に悪化しているが、戦略の見直しなどの構造改革を実施した結果、固定費が減少したという。

 精密機器事業セグメントの売上高は438億8,300万円(4.7%減)、営業利益は20億9,600万円(24.8%減)。

 ウオッチ事業において、平均価格帯の上昇や円安効果があったものの、前年同期に工業用インクジェット装置を販売した反動による減少、プラスチック眼鏡レンズの価格低下などにより減収。また、ウオッチのモデルミックスの悪化により減益となった。

 なお、同社では29日に通期業績見通しを下方修正しており、売上高は1兆3,790億円(2.6%減、年初計画に対して140億円減)、営業利益は560億円(50億円減、11.2%増)、経常利益は600億円(22.2%増、据え置き)、当期純利益は黒字転換し230億円(年初計画より70億円減としている。

 久保田常務は、「付加価値の高い製品の投入とともに、コストダウンをさらに図っていく。ディスプレイ事業においては、一層の施策を講じていく」とした。



URL
  エプソン
  http://www.epson.jp/
  決算短信
  http://www.epson.jp/osirase/2007/071031.htm

関連記事
エプソン、プリンタ堅調もディスプレイ不調などで減収(2007/07/27)
エプソン、ディスプレイ不振で通期予想を下方修正(2007/10/29)


( 大河原 克行 )
2007/10/31 18:12
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.