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日本写真協会、写真の日を記念した協会賞表彰式を開催


受賞者のみなさん
 社団法人日本写真協会は1日、日本写真協会賞表彰式を開催した。

 同賞は、同日が「写真の日」であることを記念した賞。写真作家活動、研究、地域写真文化振興、写真文化への貢献などに功労のあった個人、団体を表彰するもので、国際賞、功労賞、文化振興賞、年度賞、作家賞、学芸賞、新人賞、特別賞がある。有識者170名と同協会の会員1,500名が推薦し、7名の選考委員によって選出される。

 2007年は、11名の写真作家、研究家、フォトコーディネーターらと、2つの団体に授与された。


日本写真協会会長の宗雪雅幸氏
表彰される年度賞の中村征夫氏

 国際賞はテリー・ベネット氏。ロンドン在住の古写真コレクター、ディーラーで、日本の幕末から明治にかけての写真を収集し、その成果を「PHOTOGRAPHY IN JAPAN 1853-1912」、「OLD JAPANESE PHOTOGRAPHS:COLLECTORS' DATA GUIDE」として2006年に出版した。

 功労賞は大西實氏、故・倉持悟郎氏、津田洋甫氏。大西氏は富士写真フイルム(現・富士フイルム)社長、会長を務めたほか、2006年に退任するまで日本写真協会会長を9年間務めた。倉持氏はフォトコーディネーターとして、「国境なき医師団」展、「ヒューマンライツ写真展」、エドワード・スタイケン写真展などを企画、実行して、海外の写真家を日本に、日本の写真を海外に紹介し、2006年9月に逝去した。津田氏は日本最古の写真クラブ「浪花写真倶楽部」代表を1998年から務めている。

 文化振興賞は飯田市藤本四八写真文化賞を制定し、写真表現を奨励してきた長野県飯田市と、京都写真クラブの「How are you, PHOTOGRAPHY?展」実行委員会に贈られた。

 年度賞は2006年に40年間の集大成となる写真展「海中2万7,000時間の旅」を開催した、水中写真家の中村征夫氏。作家賞は山岳宗教をテーマとした作家活動を続け、2006年に写真集「天界の道」を出版した永坂嘉光氏と、フリーランスのスポーツカメラマンの水谷章人氏。

 学芸賞は、渋谷区立松涛美術館の学芸員である光田由里氏。光田氏は、昭和中期までのアート志向の写真作家の研究所「写真、『芸術』との界面に」を出版した。

 新人賞は1枚の印画紙に多数のネガから人物の顔を重ね焼きした「our face」シリーズの北野謙氏と、カナダ、欧州を舞台にした写真で知られる吉村和敏氏が受賞。

 特別賞のジェイ・ウォーリー・ヒギンズ氏は、進駐軍の軍属として来日して以来、日本全国の鉄道を当時としては珍しいカラーフィルムで大量に撮影した。


スピーチするジェイ・ウォーリー・ヒギンズ氏
 式では受賞した各氏と、各団体の代表に賞状とトロフィーが授与され、各々が受賞の喜びを語った。この中でジェイ・ウォーリー・ヒギンズ氏は「ほぼ日本全国を旅して、鉄道の写真を撮影した。50年たっても、雲の流れを見たり、太陽が出るのを待ったり、電車を待ったりしたこと、写真を撮るのがどんなに楽しかったかを思い出せる。どの写真もいきいきとその瞬間を思い出させてくれる。これらの写真は私の人生の一部だ」と、昭和30年代の日本を旅しながら撮影した思い出を語った。

 中村征夫氏は、「(写真展のタイトルの)2万7,000時間は、40年間海を撮ってきた中で、海に潜っていた時間を総計した時間。3年間ほど海に入りっぱなしだったことになり、半漁人と呼ばれたり、東京湾をよく撮るので“ヘドグラファー”と呼ばれたりしている」と会場を笑わせ、「海で解明された領域は2%にすぎないといわれている。海は1万mの深さがあるので、比較的浅いところにもぐっている自分が撮った写真は、海の広さに比べれば針の穴のようなもの。海の汚れも地上の汚れと同じようにかなり変化している。地上が美しければ当然海もきれいで、海に潜ると地上がいかに荒れているかがわかる。海の環境の変化にしっかり目を向けて、地球環境がよくなるように、謙虚な気持ちを持ってがんばりたい」と述べた。

 また北野謙氏は「1995年の大地震をはじめ、テロなど大きな事件が立て続けに起きたが、多くの人が襲われたそういった現実をリアルにイメージできないことがもどかしく、愕然となった。そうして、さまざまな人に会いに行って撮らせてもらったイメージを重ねて、ひとつの大きな像を作りたいと思い至った。写真は、見ず知らずの人の現実を我がことのように感じられるすばらしいメディア」と語った。

 「写真の日」は、松木弘安の「寺島宗則自伝」に「天保12年上野俊之丞と鹿児島に同行し、6月1日に島津斉彬を撮影」という記述があるのを元に制定された。その後、この記述は誤りであることが判明したが、6月1日は引き続き写真の日とされている。

 同協会は写真の日から始まる6月を「東京写真月間」とし、「1,000人の写真展」、「東京の肖像」、「アジアの写真家たち」などを開催する。また7日まで、銀座の富士フォトサロン東京で「日本写真協会賞受賞作品展」を開催する。



URL
  日本写真協会
  http://www.psj.or.jp/
  日本写真協会賞
  http://www.psj.or.jp/psjaward/index.html
  東京写真月間
  http://www.psj.or.jp/gekkan/about/


( 本誌:田中 真一郎 )
2007/06/01 21:13
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