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受賞製品と盾。手前からK10D、α100、Photoshop Lightroom
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カメラ記者クラブ カメラグランプリ実行委員会は1日、カメラグランプリ2007の授賞式を都内で開催した。授賞式には、受賞各社の代表が出席したほか、開発に携わったエンジニアなどが開発秘話などを披露した。
同グランプリは、1年間に国内で発売されたカメラから最も優れた1機種を選定するもの。選考対象となったのは2006年4月1日~2007年3月31日に発売された159機種。
グランプリは5月17日、197点でペンタックスのK10Dが選ばれた。また、カメラ記者クラブ特別賞にはソニーのα100とアドビシステムズのPhotoshop Lightroomがそれぞれ選ばれた。
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カメラグランプリ2007実行委員長の鳥居晋一氏
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授賞式の冒頭、カメラグランプリ2007実行委員長の鳥居晋一氏が、「今年で24年目を迎え、その間カメラを取り巻く環境はデジタル写真の成長で大きく様変わりし、写真の楽しみ方も多彩になった。しかし、1枚の写真が人生を豊かにするアイテムであることは、変わっていない。今回受賞した製品が、多くの人にすばらしい写真を届けることを確信している」と挨拶した。
■ ペンタックス「使いやすいカメラの開発が受賞に繋がった」
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ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長の鳥越興氏(右)
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グランプリの盾を受け取ったペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長の鳥越興氏は、「カメラグランプリの受賞は3回目だが、デジタルカメラでは初めて。(他社に比べ)デジタル化は遅れてスタートし、いろいろ苦労したが、ユーザーが使いやすいカメラの開発を必死で行なった。こうした取り組みに邁進した結果が受賞に繋がった」と述べた。
また鳥越氏は、「ここ2カ月ほど世間を騒がせた。連日、マスコミにペンタックスの名前が出ない日は無かったように思うが、やっと昨日最終的に解決した。皆さんに安心して欲しい」と、HOYAとの経営統合の話に触れた。最後に、「カメラ部門としても、さらにモチベーションを上げて社会貢献をしていきたい。また、全社一丸となってがんばりたい」と結んだ。
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ペンタックス執行役員イメージングシステム事業本部副本部長の北沢利之氏(右)
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K10Dの開発に携わった、ペンタックス執行役員イメージングシステム事業本部副本部長の北沢利之氏は、K100Dの開発にも関わっている。K100Dの発売日は当初2006年7月末を予定していたが、α100が7月21日に発売されることになり、鳥越氏から「発売日をα100より1週間前倒ししろ」との指示があったことを明かした。
北沢氏は「何とか発売できた。同じ10Mセンサーを使うα100とは因縁めいたものを感じる」と述べた。同氏は、手ブレ補正、ゴミ低減、防塵防滴を3点セットと呼んでおり、必須の機能だとした。
K10Dの防塵防滴に関しては、「ストロボ内蔵デジタル一眼レフカメラでは、初ではないか? 開発担当者は弱気になったが、コストをかけて良いと指示して、完璧なシールドを実現できた」と当時を振り返る。
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ペンタックスの開発メンバーなど
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また、「デジタルならではの、感度優先モード、TAvモードなどの新しい提案をさせてもらった。ハード、ソフト面でエンジニアの情熱がかなり入った作品になったと思っている」としながらも、「完成度としては、まだ十分とは思っていない」とも述べ、「ユーザーやプロ写真家から貴重な意見を頂いており、現在開発中のカメラにフィードバックしている。さらに完成度の高いカメラを目指す」と豊富を語った。
■ α7000以来のαユーザーを大切にしたい
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ソニーデジタルイメージング事業本部AMC事業部長の勝本徹氏(右)
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α100で特別賞を受賞したソニーは、デジタルイメージング事業本部AMC事業部長の勝本徹氏が盾を受け取った。勝本氏は、「デジタル一眼レフ事業に参加させてもらって、1年目で伝統ある賞を受賞できたことに、ソニー一同感激している」と述べた。また、「α100の発売から、まだ1年になっていないが、ずいぶん時間が経っているように最近感じている。ユーザーからも次のαの要望を聞いている。」とし、「α7000以来のαユーザーをこれからも大切にしていきたい気持ちを持っている」と話した。「『ソニーなんだからもっとできるだろう』という激励も多数頂いている」とし、「ソニーとして、カメラ業界にどんな貢献ができるかを考えている。ラインナップを加速させ、さすがソニーと言ってもらえるようなボディ、レンズを送り出したい」と締めくくった。
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ソニーデジタルイメージング事業本部AMC事業部設計部長の藤野明彦氏(右)
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α100の開発に携わったソニーデジタルイメージング事業本部AMC事業部設計部長の藤野明彦氏は、元コニカミノルタの技術者。「特別賞の受賞は、α100単体ではなく、ソニーの一眼レフカメラに対する本気の取り組みが認められたものと思う」と述べ、「今回の受賞で、カメラ業界に暖かく迎え入れられたと思っている。カメラ業界をさらに盛り上げられるように、ソニーとして提案をしていく」と話した。
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授賞式に出席した勝本事業部長を中心に、ソニーのスタッフ
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さらに、「次の機種を出していかないと忘れられてしまうので、早く次のαを見ていただけるようにがんばっている。是非期待して欲しい」とも述べた。また、「K10Dとはボディ内手ブレ補正方式という点で共通。来年もこの方式のカメラをトップに持って行きたい」と語った。
■ Lightroomは写真を撮る楽しみと、作る楽しみを提供する
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アドビシステムズ代表取締役社長のギャレット・イルグ氏
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Photoshop Lightroomで特別賞を受賞したアドビシステムズは、代表取締役社長のギャレット・イルグ氏が盾を受け取った。イルグ氏は、「審査員の皆さんがPhotoshopファミリーの機能を十分理解し、ファンになってくれたことを光栄に思う」と述べた。また、「Photoshop Lightroomは写真を撮る楽しみと、作る楽しみを提供する。プロフォトグラファーと、アドバンストホビーストの期待に添えるよう、今後も優れた製品を作っていく」と述べた。
アドビステムズからは、マーケティング部プリントパブリッシング部フィールドマーケティングマネージャーの栃谷宗央氏が、「ソフトウェアの受賞は今回が初めてとのこと。ソフトウェアしかやっていないアドビが、この場に呼んでもらえることは光栄」と話した。「どうやって、写真に携わっている人にLightroomを伝えていくか苦労した。ユーザーからのフィードバックをもらって開発をしていった」という。栃谷氏は「写真は撮りっぱなしではなく、現像して欲しい。そのときには是非Lightroomを使ってもらいたい」と締めくくった。
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アドビシステムズマーケティング部プリントパブリッシング部フィールドマーケティングマネージャーの栃谷宗央氏
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Photoshop Lightroomの開発メンバーなど
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■ URL
カメラ記者クラブ
http://www.cjpc.jp/
( 本誌:武石 修 )
2007/06/01 19:55
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