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ペンタックス、カメラなどコア事業を重視した企業価値向上策

~HOYAに頼らない独自案を発表

2007年3月期連結業績の発表会の風景
 ペンタックス株式会社は11日、2007年3月期(2006年4月1日~2007年3月31日)の連結業績を発表した。

 売上高は1,573億4,400万円 (前期比10.6%増、以下カッコ内は同じ)、営業利益は56億5,300万円(89.4%増)、純利益は35億7,000万円(343.5%増)となった。営業利益と純利益は、1981年度3月期以来の記録的な増収となった。


三橋信一郎取締役常務執行役員
 イメージングシステム事業部は、国内外市場で「K10D」や「K100D」などのデジタル一眼レフが好調で、売上高811億9,200万円(17.3%増)、営業利益31億300万円(前期はマイナス11億9900万円)となった。

 ライフケア事業部は、売上高409億6,900万円(6%増)、営業利益32億3,900万円(21.5%減)となった。

 オプティカルコンポーネント事業部は、売上高284億300万円(3.1%増)、営業利益17億6,100万円(43.1%減)となり、その他の事業では、売上高67億7,900万円(0.3%増)、営業利益2億5,700万円(前期は6億1,300万円の損失)となった。


発表後に記者に囲まれる三橋取締役常務
 2008年度の業績は、売上高1,700億円8%増)、営業利益700億円(1.7%増)、純利益38億円(10.6%増) を予想。イメージングシステム事業部、ライフケア事業部、オプティカルコンポーネント事業部の3事業へ重点的な投資を行ない、営業利益率8%を経営指標とし、企業価値の増大に努める。


2007年3月期連結業績の説明会の風景
 また、綿貫宣司社長同席のもと行なわれた説明会では、中期経営計画「ペンタックスバリューアッププラン」を発表した。これまでの総花的な“拡大と成長”路線を廃止し、新たに“収益性重視”、“光学・精密技術を活かしたコアビジネスへの集中”、さらに“透明性の高い開かれた経営”路線を採用し、企業価値の向上を通じて、株主などのステークホルダーを満足させたいという。


ペンタックスの綿貫宜司社長
 ペンタックスの綿貫宜司社長は、「来期に売上高が1,700億円で営業利益は70億円、2009年度3月期に売上高が1,830億円で営業利益は93億円、2010年度3月期には売上高が1,910億円で営業利益は112億円を目指す」「2010年度3月期の必達営業利益率は5.8%で、社内目標は8%」と語った。

 また、一部で報道された、東京都板橋区の本社の売却は否定した。


左から三橋取締役常務、岡本取締役常務、綿貫社長
 鳥越興上級執行役員は、イメージングシステム事業部の展望を「デジタル一眼レフカメラへのシフトを行ない、2009年度までに年間100万台の生産体制をめざす」、「入門機、中級機、上級機を投入しラインナップの充実を図りデジタル一眼レフシステムを強化する」、「本年度は10本の新型レンズを投入、さらに2009年度までに約25本の新型レンズを投入したい」、「高付加価値製品の展開による事業の高収益化を図る」、「中国、ロシア、東欧での販売網を拡大する」と語った。

 ペンタックスとHOYAとの合併に関して、三橋取締役常務は、「統合に関して法務や財務では始まっていたが、事業間の話し合いは私が知る限り持ったことはない」、「統合には事業の足もとからな話さなければいけない」、「ペンタックスはHOYAとの合併には反対だが、広い意味での経営統合に関しては選択の1つである」と語った。また、「ペンタックスとHOYAとの合併の話を前社長の浦野氏より聞いた時、突然だったためにあまり多くのことを考えられず、これでファンドなど要求がなくなればいいとくらいしか思えなかった」と語った。また、「株主総会で否決されること確実な合併案を賛成できない」、「これは日本の何千何万の中小企業で起こっていることと同じ」などとも語った。


 中期経営計画の概要は下記の5つ。デジタルカメラのイメージングシステム事業部が好調なことから、HOYAに頼らない独自の再建方法を提示している。
  1. コアビジネスの強化
    光学・精密技術を基盤にライフケア事業部、イメージングシステム事業部、オプティカルコンポーネント事業部の中核3事業に経営資源を集中させ、各事業部への収益責任を明確にし、事業を強化する
  2. 事業基盤を再構築
    ノンコアビジネス整理、経営体制の再構築、米国販売拠点を強化する
  3. 生産拠点の最適化
    海外の生産拠点を拡充し、国内工場をグローバルな生産体制の支援拠点とする
  4. 本社機構の簡素化
    本社組織を簡素化し、意思決定をスピードアップする
  5. 人材の活用と登用
    本社機能スタッフの事業部門への移動と中核3事業への人事権の移譲、人事制度などを抜本的に見直す


 ほかに、低採算事業からの撤退に関する撤退基準の厳格運用を行なうとの発表もあったが、整理の対象となるノンコアビジネスに関する具体的な説明はなかった。

 また、綿貫社長は「筆頭株主のスパークスグループなどから社内取締役を1名迎えることを提案している」、「スパークスグループからの提案にある前専務、前社長の復帰は反対であると伝えた」と語った。

 ペンタックスとHOYAは2006年12月、2007年10月1日に両社が合併し、経営統合することで基本合意し、存続会社はHOYA、新会社の社名は「HOYAペンタックスHD(エイチディー)株式会社」にすると発表した。新会社の取締役会長には旧ペンタックス代表取締役社長浦野文男氏が、代表執行役最高経営責任者には現HOYA代表執行役最高経営責任者鈴木洋氏がそれぞれ就任する予定だった。4月10日、HOYAとの合併の断念とも発表している、浦野社長は退任した。


中期経営計画 経営方針……コアビジネス強化

経営方針……生産拠点の最適化 経営方針……本社機構の簡素化

イメージングシステム事業部の展望と課題 2008年度3月期業績予測

配当金に対する考え方


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  ペンタックス中期経営計画について(PDF)
  http://www.pentax.co.jp/japan/news/announce/20070511-02.pdf
  平成19年3月期決算短信(PDF)
  http://www.pentax.co.jp/japan/company/ir/semi/soa/pentax_200703_kt.pdf
  通期業績予想の修正に関するお知らせ
  http://www.pentax.co.jp/japan/news/announce/20070511-01.pdf

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ペンタックス、HOYAとの合併中止へ(2007/04/09)


( 本誌:織原 博貴 )
2007/05/11 23:45
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