デジカメ Watch
最新ニュース
【 2016/01/26 】
【 2016/01/25 】
【 2016/01/22 】
【 2016/01/21 】
【 2016/01/20 】

セイコーエプソン、構造改革費用の影響で2期連続の最終赤字

~2007年度はインクジェットプリンタで2桁増の出荷を見込む

決算説明会の様子
 セイコーエプソン株式会社は、2006年度連結決算を発表した。売上高は前年比8.6%減の1兆4160億円、営業利益は95.5%増の503億円、経常利益は75.4%増の490億円、当期純損失は70億円の最終赤字となった。

 同社・経営管理本部長の久保田健二常務取締役は、「昨年3月に策定した新中期経営計画『創造と挑戦1000』に基づき、インクジェットプリンタについては収益性を重視したマーケティングを実施し、プリントボリュームを含めて採算性の低いモデルの出荷数量を絞り込んだが、この施策が、一定の成果を収めることができた。また、中・小型ディスプレイ事業を中心とした固定費構造改革により、将来の事業展開に対応した財務体質へと転換を図ることができた」とした。


常務取締役の久保田健二氏
 同社では、2006年度に事業構造再編費用として411億円を計上。この結果、大幅な営業利益の増加を達成しながらも、2年連続での最終赤字となった。

 情報関連機器事業セグメントの売上高は、前期比6.2%減の9163億円、営業利益は87.1%増の842億円。

 プリンタ事業においては、インクジェットプリンタの出荷数量の減少、および価格低下が影響したほか、レーザープリンタで採算性が低いモデルの出荷数量を絞り込んだ結果、プリンタ事業全体では減収となった。だが、営業利益の面では、収益性を重視した販売戦略の成果や、ターミナルモジュールと液晶プロジェクターの増収効果により増益となった。

 インクジェットプリンタの出荷台数は、2005年度の1690万台から、2006年度は1340万台へと約2割縮小している。

 映像機器事業は、アミューズメント向け液晶モニターやプロジェクションテレビ用OEMエンジンの需要が減少したものの、ビジネス向け液晶プロジェクターの需要増加により、若干の増収となった。

 電子デバイス事業セグメントの売上高は、前年比15.6%減の4447億円、営業損失はマイナス260億円と、前年度のマイナス97億円から、赤字幅を拡大した。

 ディスプレイ事業において、携帯電話端末向けの需要が増加したものの、MD-TFD液晶ディスプレイ、アモルファスシリコンTFT液晶ディスプレイ、カラーSTN液晶ディスプレイが、いずれも価格低下の影響を受けたほか、低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイの受注が低調に終わり、ディスプレイ事業全体では大幅な減収。また、半導体事業では、システムLSIが競争激化の影響を受け出荷数量が減少し減収となった。しかし、水晶デバイス事業は、東洋通信機の事業統合効果により大幅な増収となった。

 精密機器事業セグメントは、新たに販売を開始した工業用インクジェット装置や、中高価格帯のウォッチ商品が販売増となったことで、売上高は前年比2.3%増の877億円、営業利益は52.1%増の35億円の増収増益となった。

 一方、2007年度の業績見通しは、売上高は前年比1.6%減の1兆3930億円、営業利益は21.2%増の610億円、経常利益は22.2%増の600億円、当期純利益は300億円とした。情報関連機器事業、電子デバイス事業、精密機器事業のすべてのセグメントで減収を見込んでいるが、各事業セグメントでの利益確保を優先する。

 インクジェットプリンタでは、複合機の競争激化による価格下落が継続すると見ているが、本体の販売増加を計画しており、2007年度の出荷計画は1500万台と、前年度に比べて10%以上の高い成長を見込んでいる。

 同社では、「インクジェットプリンタ事業に関しては、将来の消耗品売上を意識して、2007年度は、本体の販売数量の拡大に取り組み、プリントボリュームや各マーケットの特性にあわせたきめ細かなマーケティング展開するほか、コストダウンの徹底推進や、主力となる欧米市場における市場動向にあわせて柔軟な対応を行うことにも力を注ぐ。また、中期的な収益の柱となるビジネス・産業分野への着実な取り組みを推進していく」としている。


 中期経営計画『創造と挑戦1000』の第1次年度となった2006年度は、競争激化による価格低下などのマイナス部分があったものの、コストダウン、外部要因の削減活動、固定費構造改革効果のほか、為替差益がプラス要素に働くなど、ディスプレイ事業を除く、すべての事業で営業利益が前年度を上回るという実績をあげた。

 第2年次となる2007年度は、この実績をもとに、経常利益600億円到達を最重視する指標と捉え、中期経営計画で掲げた2008年度の経常利益1000億円へと飛躍させていく考えだ。



URL
  セイコーエプソン
  http://www.epson.jp/
  平成19年3月期決算短信(PDF)
  http://press.epson.jp/s/pdf/2007/results_2006_1y_j.pdf
  決算説明会資料(PDF)
  http://press.epson.jp/s/pdf/2007/2006_1y_presentation_jpn.pdf
  中期経営計画・創造と挑戦1000
  http://www.epson.jp/osirase/2006/060316.htm


( 大河原 克行 )
2007/04/26 20:54
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.