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【PMA07】PMA07で注目する、いくつかのテーマ


 今年もPMAの季節がやってきた。昨年まで2年間、オーランドで開催されていたPMAだが、今年はラスベガスに回帰。来年以降、当面はラスベガスでの開催を予定しているという。

 海外での展示会と言えば、巨大な展示会場を想起する読者もいるだろうが、PMAは日本におけるフォトイメージングエキスポ(PIE)などとは異なり、その年の年末商戦を見据えた商談の場がメイン。

 国土の広いアメリカは、夏までに年末向けの商品を揃えなければ、年末商戦に参加できない。PMAはその年の製品リリーススケジュールや、基本的な価格トレンドのセットが行なわれ、その年のビジネスの大枠が決まっていく。つまり、我々エンドユーザー向けに商品を見せるイベントではない。

 とはいえ、今回はPIEの開催も近いためか、あるいはローエンド一眼レフカメラ市場の活況を反映してか、非常に興味深い製品の発表もいくつか用意されているようだ。今回のPMAでも、一眼レフカメラベンダーを中心に何人かのキーマンにインタビューを敢行し、PMA期間中の生の声をお届けすることになっっているが、そのプレビューとして、PMA直前の背景やインタビューにおいてテーマとしたい内容に触れておこう。


“3ナイ”でも売れるニコン

D40x
 昨年1年のデジタル一眼レフカメラ業界を振り返ると、ソニーや松下の参入、ペンタックスの躍進といったニュースはあったが、市場全体を見渡したときの勝者は誰かと言えば、間違いなくニコンだったのではないか。一昨年末のD200人気を引き継ぎつつ、年末商戦ではD80、D40の2機種が大ヒットを記録。それぞれの製品が、各価格帯でしっかりと売れる基盤を作り上げた。

 ニコンの巧妙さは、多機種を展開しながらも部品の共通化を行ない、カメラとしての機能と価格のバランスを上手に作っていったところにあると思う。ご存知のようにD200はD2xで開発されたコンポーネントを有効に活用、D80はD200と同じセンサーとファインダー設計(それに商品イメージ)を引き継いでる。D40は新規開発だが、レンズ互換性をある程度割り切るなど、ローエンドユーザー向けの新しいニコン一眼レフを示し、同じボディデザインを用いてセンサーの画素数を向上させたD40xも揃えた。

 約2万円刻みで3機種が並び、それぞれがエントリークラスの製品として機能しているのが興味深い。カメラ好き、銀塩一眼ユーザーにはD80、新規に一眼に飛び込むユーザーにはD40、そして高画素を求める新規ユーザーにはD40xと、それぞれに受け止めるユーザー層がきちんと分かれている。

 ニコンのデジタル一眼レフカメラは、(600万画素のD40は別として)高感度撮影に強いわけでもなく、ボディ内手ブレ補正も採用せず、ゴミ取り機能に関してもメカニカルなソリューションは提供されていない。実用性はともかく、販売ツールとしての“印”だけで言えば、“3ナイ”にもかかわらず売れたというのがオモシロイ。ニコン自身は、これをどのように受け止めているのだろうか?

 また、ニコンがエントリークラスの製品ラインに厚みを持たせているのと同じように、今後は他社も多様なユーザーを受け止めるため、デジタル一眼レフカメラにエントリーするための“入り口”を増やしていくことになるだろう。


オリンパス小型一眼の将来像は?

E-410(左)とE-510
 オリンパスが発表した新しいE-システムも、薄型・軽量・コンパクトという、本来のフォーサーズに一番求められていた要素を詰め込んだE-410に加え、ボディ内手ブレ補正機構に持ちやすいグリップを備えるE-510が登場したことで特徴を出している。

 写真やスペックだけでは判りにくいが、E-410とE-510は想像以上にコンパクトで、高画素、高機能、高レスポンスとは全く違うベクトルでの魅力がある。一眼レフはスペックだけで判断するのではなく、実際に手に取って購入するユーザーが多いことから、実際の販売状況が楽しみな製品だ。

 しかし、これだけのコンパクトな製品が揃ってきたのであれば、“青ハチマキ”の軽量レンズにもさらなるラインナップが求められよう。薄型レンズを含むコンパクトな単焦点もぜひ欲しいところ。加えてクリップオンストロボに、ニコンのSB-400のような小型でバウンス撮影にも対応する製品が欲しい。

 プロ向けのE-1後継機種に期待する向きも少なくないだろうが、個人的にはE-410、E-510を基礎に、どのようにコンパクトなデジタル一眼レフカメラのシステムを構築していくのか。その将来について訊いてみることにしよう。


ソニー、キヤノンにも注目

シグマ DP1
 一方、ソニーはなにやらちょっとしたサプライズを用意しているようだ。一眼レフカメラ関連と思われるが、こちらは秘密のヴェールに隠れている。北米では数時間後に発表されるという。直後にはインタビューを予定しているので、楽しみにしておいて欲しい。ソニーに関しては、DLNAに対応した無線LAN内蔵コンパクトカメラも、“らしい”製品としてそのコンセプトなどについて訊いてみるつもりだ。

 このほか、いつものようにレンズラインナップの充実に力を込めるペンタックスやシグマ(いよいよ量産仕様に近いと思われるDP1も展示される)などにも話を伺うが、個人的にもっとも話を聞いてみたいのがキヤノン。

 昨年から今年にかけて起こっている市場トレンドのひとつとして、前述したようにエントリー製品の多様化(水平に間口が増えるだけでなく、価格帯も上下に広がっている)があると思う。ところがキヤノンはここにEOS Kiss Digital Xのみ、1機種しか用意していない。さすがにこれでは厳しいというのは、素人目にもわかることではないか。

 このPMAにおける展示の主役がEOS-1D Mark IIIにあることは明白だが、しかしあえて対極にあるエントリークラスの戦略をどのように考えているかを訊ねてみることにしよう。



URL
  PMA07(英文)
  http://www.pmai.org/index.cfm/ci_id/27922/la_id/1.htm


( 本田 雅一 )
2007/03/09 02:07
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