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アマナ、ストックフォトの新シリーズ「人間図鑑」販売開始
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~篠山紀信氏の新作が登場
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アマナは、ストックフォトの新シリーズとして「人間図鑑」を11月22日より開始した。今回、第1弾として用意した作品は約1,500点で、撮影は写真家篠山紀信氏に依頼した。販売は同社のウェブサイト「amana.jp」を通じて行なう。
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amana.jpのトップページ
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メイン画像をクリックすると、「人間図鑑」のシリーズに入る
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写真の使用料金は1点約5万円からだが、使用用途、サイズ、期間、印刷数量などにより異なる。またその際、撮影者に篠山紀信氏の名称を表記することはできない。クレジットの使用を希望する場合は別途料金が発生するほか、使用用途などの許諾が必要になる。
広告、販促物などの映像素材を提供するストックフォトで、著名写真家が撮影した作品を販売するのは国内ではこれが初めてのケース。アマナでは「Webサイトを通じて写真素材が流通するストックフォトビジネスに対し、篠山紀信氏の共感を得られたことで実現した」という。
記者会見には同社の進藤博信 代表取締役社長兼CEOと写真家の篠山紀信氏が出席。進藤社長は「当社では世界的な写真家集団であるマグナム・フォトの作品も販売している。海外では著名写真家もストックフォトに参加しており、国内でその先鞭をつけられるものとして期待している」とも話している。
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記者会見で説明するアマナの進藤社長左と、篠山紀信氏
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モニターにWebサイトを表示して説明
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「人間図鑑」のプロジェクトは、今年8月からスタート。人物写真をテーマとし、モデルは公募で行なった。約800人の応募者からプロ、アマを含めた20名を篠山紀信氏自らオーディションで選び、スタジオと屋外で撮影している。
今回の撮影はシリーズの第1弾。来年中に少なくともさらに2回の撮影を実施し、約5,000点の作品を揃えていく。モデル、撮影方法などは現在企画中で、実際の職業別のカテゴリーで制作する案などが検討されているという。
なおアマナが展開するWebサイト「amana.jp」は、掲載コンテンツ数が約85万点で、登録ユーザー数は73,000人、月間ページビュー数は1,960万。同社ではこの数字をそれぞれ2006年末に100万点、80,000人、2,000万PVに伸ばしたい考え。
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篠山氏
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篠山紀信氏は、ストックフォトのビジネスについて「まったく知らなかった」という。システムの説明を聞き、「写真がインターネット上で検索され、買われていくことに大きな関心を持った」そうだ。
「写真家としてこれまで約40年間活動してきて、撮影した作品は膨大にある。それを預けて売ってもらうのではない。広告はもちろん、雑誌、写真集など、これまで撮ってきた写真は求められていることを理解して、撮影している。お客の顔が見えていたわけです。アマナさんのシステムでは、誰が買うか、どう使われるかも分からない。そこが面白いと思った」。
篠山氏のスタジオがある東京・六本木では、防衛庁跡地に東京ミッドタウンが建設中だ。その工事現場の仮囲いに、突然、森林の写真が掲出された。「それがアマナさんの写真だというんですね。街の一角に、ある日突然、自分の写真が登場したり、銀行で配られるポケットティッシュの裏に、自分の写真が印刷されていたら、すごく刺激的じゃないですか。ただ有名な写真家はそうは思わないらしいですけどね(笑)」。
撮影を始めるにあたり、篠山氏はこれまでアマナで販売し、売れている写真を見たという。そこには富士山や桜といったモチーフも多いが、つねにある素材が「人間」であることに気づいた。「けど、面白くない(笑)。それは愛、友情などステロタイプ化したイメージを写真にしているからです」。
そこで今回のプロジェクトでは、実際に篠山氏が撮ってみたいと思う人を選び、あるシチュエーションで自由に行動してもらい撮影する方式をとった。「本当の人たちのリアルな幸せを撮る。この違いは微妙だけど、写真のインパクトはまったく異なる。似て非なるものだ。広告というのは膨大なお金と時間、人の力を使い、嘘のリアリティを獲得して成立しているものだが、この『人間図鑑』はリアルな写真。それが広告に使われる時、どういう反応がうまれるのか、ちょっと分からない。写真家としてやってみたいと思ったし、挑戦でもある」。
篠山氏は早くから「digi+KISHIN」などでデジタルカメラを使った作品を発表してきた写真家の1人だ。その篠山氏が特にこの仕事は「デジタルカメラでなければできなかった」と言う。被写体は公募で集めたモデルだが、自然な表情や動作を引き出すことに主眼を置き、それを逃さず撮影していった。「子どもがキャッチボールをしていて、顔にボールをぶつけて泣き出してしまったこともあった。親子で参加した人がしみじみと、“こんなに長い時間を一緒に過ごしたのは久しぶりだ”と話していた。人間の関係が止まっている時はなく、すべてが一期一会であり、逃してはいけない瞬間なんだ」。
それを写しとめるのに、フィルムや4×5カメラでは煩雑になりすぎるという。デジタルカメラは撮影枚数の制約がなく、撮ったシーンがすぐに確認できることが大きいと篠山氏も指摘する。「撮ったシーンをモデルに見せることで、モデルに撮影意図がうまく伝わる。そうした行為によって、撮影がカメラマンとモデルの共同作業になっていくんです」。
digi+KISHINのきっかけは、コンパクトデジタルカメラだったと篠山氏は話す。おもちゃのようなデジタルカメラを使っていたら、ある時、意図せず動画が撮れてしまった。写真を撮る感覚で動画が写せたのだ。「動画になるとスタッフが大勢必要になるので、それまで動く映像はやっていなかった。それが、その経験からデジタルムービーをいじり始めた。動画と静止画のいいとこ取りをしたのがdigi+KISHINだった」。
そのスタートは2001年11月。良いものを使う。面白いと感じたことは挑戦してみる。篠山氏の動機は実にシンプルに見えるが、あらゆるものの本質を先入観なしに捉え、判断できる感性があってこそなしえることだ。「デジタルカメラの表現はぬるい、存在感が希薄などと言われてきたが、カメラ、撮影者、印刷それぞれの技術が高まり、その問題はなくなった。最近の写真集ではフィルムとデジタル両方を使っているが、両者の違いは分からなくなっている」。
精巧な描写と、アオリ撮影が使えることで大判カメラを使っているが、いずれこれもデジタルに変わるだろうと篠山氏は言う。そして将来的には「フィルムはなくなる」と断言する。感光材料は精密なケミカル技術で成り立っていて、それは大量消費が前提だったからだ。「だけど写真家がどんどん下手になっていくだろうね」とも笑いながら言う。かつてシャッターを押しただけでは写せなかったから、写真家のテクニックが磨かれた。今は写ってしまうから、その技術はなくなってしまう。
35mmでは、唯一、ある雑誌の表紙とグラビアでフィルム撮影を行なっているという。アンダーで撮影し、増感現像することで、粒子のざらつきが出てくる。その表現が面白いからだ。「このざらつき感はデジタルでは出せない。だからこれはフィルムとともになくなってしまう表現だ。だがそれはしょうがないこと。だっていま、ガラス乾板で得られる表現をしたいといったってできないのと同じだよね」。
もうひとつ篠山氏が新しい挑戦として試みているのが、個展とプリント作品の販売だ。11月18日~12月9日まで、東京・六本木のT&G ARTS( http://www.tgn.co.jp/ )で「akarui&kurai Hadaka展」を開催している。ストックフォト同様、こちらでも新しいスタンダードを切り開いていきたいと意欲を見せる。その鋭敏な感性と旺盛な行動力で、いまなお篠山紀信は時代のトップランナーであり続けているのだ。
■ URL
アマナ
http://amana.jp/
ニュースリリース
http://cache1.amana.jp/mt/htdocs/mt/archives//2006/11/news061122.html
( 市井 康延
)
2006/11/24 16:58
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