デジカメ Watch
最新ニュース
【 2016/01/26 】
【 2016/01/25 】
【 2016/01/22 】
【 2016/01/21 】
【 2016/01/20 】

【インタビュー】交換レンズの世界を手軽に楽しんでいただきたい

~シグマ山木和人社長

シグマの山木和人社長
 PMA2006では、初日の早朝からオリンパス、松下電器、ライカとならんでフォーサーズの発表会でスピーチを披露したシグマの山木和人社長。これはフォーサーズフォーマットへのコミットを今後強めていくというサインなのか? Foveonセンサー搭載の次期SDとの関連性は? という邪推も生まれてくる。

 今回のPMAでは新設計された70-200mm F2.8とフォーサーズレンズの発売ロードマップを発表した以外は沈黙するシグマだが、しかし今年の秋には2年に1度のPhotokinaがある。率直な疑問を山木氏にぶつけてみた。


対応レンズでフォーサーズを盛り上げたい

――フォーサーズ対応レンズはこれまでも発売していましたが、これほど大々的に将来のロードマップを示したのは初めてですね。

「このところは、全く新規のレンズ開発が立て続けにあり、開発スケジュールが詰まっていたためフォーサーズ対応レンズを増やせなかったため、今回固まって発表することになりました。フォーサーズの方々からも、30mmレンズや一連のマクロレンズをフォーサーズ対応にしてほしいという要望があり、もともと作る予定だったスケジュールを発表したのです。どうせ発表するなら、共同記者会見に参加しないかとお誘いをもらい、急きょ時間をもらって話をしたのです」

――フォーサーズへのコミットメントを強めたという意味はないのでしょうか?

「これまでから変化しているわけではありません。フォーサーズに関しては、オリンパスさんがひじょうに力を入れて推進していること、オープン仕様の規格という先進的な考え方に賛同できることなどがあり、我々もフォーサーズマウントに対応したレンズを提供することで、ともにこのフォーマットを盛り上げていきたいと考えています」


30mm F1.4 EX DC HSM フォーサーズ用 18-50mm F2.8 EX DC フォーサーズ用

MACRO 105mm F2.8 EX DG フォーサーズ用 APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM フォーサーズ用

APO 50-500mm F4-6.3 EX DG HSM フォーサーズ用

――自社製カメラのマウントをフォーサーズに変更するといったことは考えていませんか?

「いまのところ、そうした計画はありません。フォーサーズグループに加盟したのは2003年ですが、しかしその前年には自社製デジタル一眼レフカメラのSD9を発売していました。SDシリーズの顧客がおりますから、開発のプライオリティはSDシステムの充実にあります」

「要望が強いようであれば、フォーサーズボディも考えなきゃいけないとは思っていますが、SDシリーズを複数のラインナップ構成にする構想もありますし、そうした開発が終わってからでなければ考えることはできません。当社としては、当社のユーザーに優先順位があります」

――ラインナップ化を行なうということは、すでに次期SDの開発が進められているということですね?

「もちろん進めなければならないですし、実際に進めています。いずれ正式発表しますのでお待ちください。(SDシリーズのことが)忘れられてしまう前には発売することができます」

「SDシリーズに関しては、我々自身の熱意もさることながら、ユーザーからの支持がとても大きなもので、海外ではSDユーザーたちが作品を出し合って自費出版でSDで撮影された写真だけの写真集なども発刊されています。そうしたユーザーからのサポートにはきちんと応えられると思います」

――次期SDはどのようなクラス、位置付けの製品になるのでしょう?

「まず、Foveonセンサーを使うということは間違いありません。製品セグメントに関しては、価格で区切ると本来の意図から外れたいろいろな見方が出てきてしまいます。価格による切り分けで製品を作るのではなく、Foveonセンサーの良さを活かした、既存ユーザー、そして次期SDシリーズに興味を持っていただいている方々の期待に応えられるようなカメラにしたいと考えていますし、またカメラが好きな我々自身が考える一眼レフカメラに求められる性能を満たしたものにしたい」

――果たして“おっ?”という驚きは次期SDには仕込まれていますか?

「あります。どんなサプライズかは“お楽しみ”ということで取っておいてください」


光学系を一新した70-200mm F2.8

APO 70-200mm F2.8 EX DG MACRO HSM
――次にレンズですが、今回発表したレンズについて話を聞かせてください。

「70-200mm F2.8が新しくなりました。最短撮影距離が、かなり短くなったのが特徴で、光学系の設計をすべてやり直しています。再設計に伴い、描写性能もかなり改善していますので、ぜひ皆様に評価してほしいレンズです。加えてコンパクトさも維持していますし、価格面でも現行製品と同じ価格帯になります」

――近接撮影時にはスイッチ操作は必要ですか? それともモードレスでしょうか。また手ブレ補正機構を装備したモデルについての計画はありませんか?

「最短からモードレスでフォーカスできます。手ブレ補正に関しては、取り組んでいかなければならないテーマですし、既存の1本に加えてラインナップを増やしていきたいという意思はあります。ただ、今回の製品に関してはコンパクトさや軽さを重視しました。同じ焦点域での手ブレ補正機能は、今後検討していきたいと思います」

――手ブレ補正機能を備えた交換レンズの開発は、実際に動いているのでしょうか?

「継続的に開発は行なっています。研究的な部分も、製品化の面でも進めています。我々の手ブレ補正技術は、決して今に始まったものではなく、かなり以前から継続的に取り組んでいるものです。着手はキヤノンのISレンズが登場後ですが、他社の動向にかかわらず自社で研究開発を続けてきました」

――APS-Cサイズセンサー専用のDCレンズは、やはり出荷比率が増えてきているのでしょうか。

「かなり増加しています。アイテム別での販売数を比較しても、DCレンズが上位を占めるようになってきました」


――今後はエントリー機をレンズセットで購入するユーザーが増えてくるでしょう。そうした潜在顧客に“プラスあと1本”で、シグマのレンズを購入してもらうにはどのような戦略が必要だとお考えですか。

「キットレンズでは味わうことがえきない、交換レンズならではの世界を、手ごろな価格で楽しんでもらえるようにすることだと思います。現在、もっとも売れ筋の18-200mmは安価に高倍率ズームを楽しめますし、最近で言えば17-70mm F2.8-4が最短撮影距離がズーム全域で短く、マクロレンズに近い撮影を楽しめます」

「特にマクロ機能に関してはコダワリがあります。エントリーユーザーの多くは、それ以前にコンパクト機を所有しています。ところがコンパクト機では当たり前にあるマクロ機能が、標準ズームでは楽しめない。これではお客様は残念なキモチになるでしょう。また、ファインダーを通してマクロの世界を見ると、目で見る風景とは異なる迫力や美しさを感じられるものです。これはフィルムカメラの経験がないユーザーにとっては新鮮なものでしょう。そうした、交換レンズならではの世界を手軽に楽しめることを念頭に、ユーザーに訴求したいですね」

「もうひとつの方向は、単焦点の30mm F1.4や70-200mm F2.8といった大口径レンズを手ごろな価格で提供すること、あるいは超広角の世界を見せること。デジタル一眼レフを買って、ものすごくいい写真が撮れると期待していても、L判写真に印刷しただけでは、コンパクト機との差が実感できないようでは残念です。やっぱり大口径や超望遠や超ワイドの面白さを、エントリーユーザーが一眼レフカメラに慣れてきたあとの最初のステップとして用意したいと思います」

――9月のPhotokinaに向けて、そうしたキットレンズから始めたユーザーが、新しい楽しみを発見できる新製品を見ることができるでしょうか?

「今までには無かったような焦点距離、F値、撮影距離など、さまざまな新製品を用意しています。今年は実にいろいろ計画を持っており、多様な提案を行なえるでしょう。一眼レフデジタルカメラは、センサーサイズが多彩ですから、選択肢も広くお客様からのリクエストも多い」

「そうした熱心に“こういうレンズが欲しい”とリクエストしてくれる方々に喜んでもらえるものを作りたい。何より、それが“写真文化”が好きな自分たちの喜びでもありますから。価格訴求だけの製品ではなく、自分たち自身がわくわくする製品を作っていきます」



URL
  シグマ
  http://www.sigma-photo.co.jp/
  PMA 2006
  http://www.pmai.org/xpma2006/default.asp
  PMA 2006関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2006/03/02/3343.html


( 本田 雅一 )
2006/03/03 17:53
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.