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【インタビュー】ISO3200を超える高感度にも挑戦したい

〜富士フイルム電子映像事業部次長 渡辺憲二氏、米法人副社長 國本雅彦氏

会期:2月26日〜3月1日
会場:米国フロリダ州オーランド Orange Country Convention Center


富士フイルムの電子映像事業部次長兼営業部長の渡部憲二氏(右)と、米Fuji Photo Filmの國本雅彦氏
 昨年はFinepix F10で、高感度特性の改善による新しい撮影スタイルの提案を行なった富士フイルム。ISO1600での撮影にも堪えうるカメラとすることで、手ブレ防止だけでなく、被写体ブレ防止、あるいはストロボを使わない自然光でのナチュラルな仕上がり感など、実に感材メーカーらしい提案だった。

 そして今年、PMA 2006ではISO3200対応のFinePix F30を投入してきた。今年の富士フイルムのデジタルカメラ戦略について、電子映像事業部次長兼営業部長の渡辺憲二氏および、米法人副社長の國本雅彦氏に話を聞いた。


F30は高感度コンセプト第2弾の製品

――昨年のPMAはF10の発売直後で、高感度、自然光撮影といったところをキーワードにコンパクト機をアピールしていましたが、今年のテーマは何になるでしょう。

「高感度化への取り組みはまだ始まったばかりで奥が深い。我々が考えているのは、デジタルカメラのセンサーを、いかに人間の目に近い特性まで向上させるかという点です。人間の目で見たそのままを、デジタルデータとしてキャプチャするというコンセプトです。その第1弾が、昨年発表したF10でした。今回のF30は、その第2段に位置づけられます」

「昨年のPMAの段階ではF10を発売したばかりで、実際に高感度というフィーチャーが受け入れてもらえるのかどうか、やや不安を抱えていた段階でした。しかし、あれから1年が経過して、日本、アジア、欧州などでは熱狂的に高感度フィーチャーが受け入れられています。北米での浸透はやや遅れていますが、それ以外の地域では確信をもって、高感度特性を高める方向に、コンパクトデジタルカメラの未来があるといえるようになってきました」


国内未発表のFinePix F30
――F10、F11の高感度特性の良さは、手ブレだけでなく、自然光での撮影など、さまざまな提案性があり、私自身もかなり魅力的に感じていましたが、しかし市場での“手ブレ補正ブーム”に引っ張られる形で、“富士フイルムの手ブレ補正対策は高感度”という図式から、それ以外のメリットが、一部のマニア層はともかく一般ユーザー層にはあまり広がらなかったようにも見えます。

「手ブレ補正に関しては、松下電器さんが一般に広く伝えているので、“富士フイルムの手ブレは?”と訊かれることが多く、それに対して高感度だから大丈夫という話をしていました。たしかに手ブレ補正ブームに、高感度という特徴を覆い隠されている感はあるかもしれません」

「しかし、我々としては高感度による、暗いところでも自然に背景まで撮影可能という特徴、被写体ブレを含めた失敗の抑制、あるいはシャッターチャンスを逃さないスピード、暗部でのノイズの少なさなどにきちんと取り組んで、ユーザーに訴求していきたいと思います」

「我々は写真の会社ですから、撮影結果を見て“ああ、これは失敗だった”という経験を少なくしたいのです。今後、デジタルカメラは買い替え、買い増しユーザーが中心になります。その人たちはデジタルカメラで多くの失敗写真を経験しているはずです。ならば、失敗を減らすためのソリューションプロバイダーとなろうと考えています」


高画素化へのアプローチは取らない

――F10の高感度技術は、徐々にその他の製品へと広がっていきましたが、F30の新世代高感度もまた、だんだんと広げていくのでしょうか?

「F30で採用した第6世代スーパーCCDハニカムは、今後、いろいろなタイプの製品に広がった行くでしょう。ただし、これ以上に画素数を増やすといったアプローチは取りません。今後、より小型のセンサーを作るといったことはあるでしょうが、F30の画素を増やしていくという考え方はありません」

「先にも話しましたように、我々は写真メーカーであり、イメージクオリティにこだわりがあります。以前、300万から400万、400万から500万といったところでは、画質の向上もありましたが、現在は画素を増やすことが画質の向上につながっていません」

「ほとんどのユーザーがL判程度にしかプリントしていない中、600万以上の画素があっても印刷結果には違いが出ないのです。これ以上のユーザー不在の不毛な競争はやめて、センサー特性の向上という技術的な進歩を高感度に向けるべきだと考えています」

――今後、さらに高感度特性に磨きをかけていくということでしょうか
「はい。第6世代のコンパクト機向けセンサーは600万画素にとどめ、進化の方向はすべて高感度特性向上に割り当てていきます。というのも、ISO3200でもまだ足りないと考えているからです」


「F2.8のレンズとISO3200では、まだ人間の目の感度には追いつきません。暗い場所で、人間が見た通りのシーンをキャプチャするには、さらに高感度特性の向上を図っていく必要があります。F30には組み込まれていませんが、デジタルミニラボのフロンティアは顔認識技術をハードウェアで実装しており、これを用いて人間の目で見た雰囲気に近づけるような露出制御も将来的には行なっていきます」


FinePix F30世界市場への導入検討

――個人的にはF30のストロボ制御が非常に素晴らしいと感じました。このあたりもフィルムメーカーとして、写真の仕上がりにこだわっている部分でしょうか。

「まさにその通りで、自然光で撮影できない状況であっても、光量調整をきちんと行なうことにこだわっています。コンパクトカメラでは光量調整が行なえなかったり、行なえても調整幅が小さかったり、あるいは制御が不完全な場合が多い。しかし、F30に搭載したiフラッシュは、幅広いISO感度の設定や距離と連動し、自然な調光を行ないます。調光そのものも、測距ポイントから被写体を割り出して正しい露出となるよう制御します」

――レンズのスペックは従来と同じですが、レンズ構成も同様でしょうか?

「担当外のため詳しく改善点はお話できませんが、新規開発したレンズで、従来よりも改良されています」

――国内での発売はいつになるのでしょう?

「米では5月に発売予定ですが、国内含め世界市場への導入を検討していきます。また、絞り優先、シャッタースピード優先の露出制御が可能になったF11の後継として同等の機能がF30には盛り込まれていますが、よりオート撮影を重視した求めやすい価格のモデルも少し先のタイミングで用意しています。ただし、画質や感度などに関してはF30がこの世代では最も高スペックのカメラです」

――手ブレ補正機能を備えたレンズの開発には取り組んでいますか?

「取り組んでいますが、いろいろな観点から検討し、まだ市場には出していません。取り組んでいるのは高倍率ズーム機です。これには手ブレ補正機能は必要でしょう。しかし、コンパクト機の3倍ズームレンズには、当面は今の感度があれば十分に手ブレを抑えることができます。開発リソースをかけるのは、やはり高感度の追求に振り分けるべきと考えています」


――スーパーCCDハニカムの外販については検討していますか?

「F10の発売以降、センサーの評判がよく非常に多くの企業からアプローチはあります。これを外販することは、当社としては簡単で問題があるわけではありません。しかし、スーパーCCDハニカムはインターフェイスが特殊なため、CCDだけを外販しても使えません。一方、イメージプロセッサに関しては外販しない方針のため、スーパーCCDハニカムを採用するメーカーが現れないだけでしょう」

――しかしニューコアテクノロジが新アナログフロントエンドでスーパーCCDハニカムに対応しましたね。当然、使おうというクライアントがいるからこその対応だと思うのですが。

「確かにニューコアが対応しましたね。また、ニューコア以外にもスーパーCCDハニカム対応のアナログフロントエンドと信号処理プロセッサを開発しているところがあります。これらのコンポーネントを用いてカメラの開発をしたいというメーカーはありますから、将来的にはCCDの外販ビジネスが具体化するかもしれません」

「ただし、外販しない方針というわけではないものの、これまでは社内でしか使ってきませんでしたから、将来のロードマップを示すといったこともしていません。そうした面も含めて材料をそろえていかなければなりませんが、富士フイルムとしてはオープンな姿勢です。とはいえ、コアの価値として大切にしているのは、むしろセンサーのあとに続くイメージプロセッサ部分で、ここには会社としてのノウハウが多数詰まっています。映像処理エンジンに関連する部分は、今後も外販することはありません」


これからも銀塩プリントにコミットし続ける

スーパーCCDハニカムSR IIを採用する富士フイルムのデジタル一眼レフカメラ「FinePix S3 Pro」
――一眼レフカメラに関して、今以上にラインナップを拡充する計画はありますか?

「一眼レフのビジネスは、エントリーモデルの領域にキヤノンとニコンという支配的な会社がすでにあり、それ以外にも強力なメーカーが多数あります。狭いところにぎゅうぎゅう詰めの電車のようにプレーヤーがいる状況で、自分たちが入り込める余地があるとは思いません。“富士フイルムならでは”の特徴を活かすところがありませんからね」

「しかしポートレート写真の世界では、自分たちが貢献できる部分があります。スーパーCCDハニカムSRを用いた、ポートレートに最適な色再現やトーン特性を持たせたカメラとして特徴的な製品を出せていると考えていますから、こちらは継続的に事業に取り組んでいきます」

――APS-CサイズのスーパーCCDハニカムSRの外販はどうでしょう?

「まず、それほど大きなマーケットではないでしょう。大型センサーの外販を拒否しているわけではありませんが、ニーズがいまのところないのでは」

――デジカメの“お店プリント”は価格の安さもあって、かなり定着してきました。これ以外に、家庭でのオンデマンドプリントの製品には取り組むのでしょうか? それとも、やはり力点は銀塩プリントでしょうか。

「富士フイルムにしかできないことをやらなければ、意味がありません。企業としての独自性を出すとともに、世の中への貢献にもなると考えるからです。他社と同じことをやるのではなく、フィルムメーカーらしく銀塩プリントをもっと楽しく便利に使ってもらうことに力を注いでいきます」

「世の中を見渡すと、アグファがなくなり、コニカミノルタも撤退し、コダックも銀塩フィルム、プリントの事業に対して距離を置き始めています。しかし、今回のPMAでも、富士フイルムは基調講演において100%銀塩にコミットしていくと宣言しました。銀塩カラープリントのペーパーは、仕上がりきれいで、一番安全に保存でき、コスト的にももっとも安い。品質でもコストでも安い銀塩プリントに、デジタルカメラの世の中になってもコミットし続けます」



URL
  富士フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  PMA 2006
  http://www.pmai.org/xpma2006/default.asp
  PMA 2006関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2006/03/01/3333.html


( 本田 雅一 )
2006/03/02 15:15
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